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超巨大オーロラが発生した木星 その原因が判明!?火山活動が続く衛星イオとの関係とは

木星に発生するオーロラ©NASA/ESA/J. Nichols

5月8日から連続して発生している太陽フレアにより、世界各地でオーロラが観測されています。日本でも北海道や東北など、多様な場所でオーロラの観測が報告されました。

実は、過去には木星でもオーロラの発生が観測されています。本記事では、太陽フレアではなく衛星「イオ」によりオーロラが発生した現象をご紹介します。

太陽フレアの影響でオーロラが世界各地で発生 その発生原理を紹介

■木星でオーロラが発生する原因は2022年まで不明だった!?

木星で発生するオーロラは、地球の1000倍を超えるほど明るいと言われています。

通常のオーロラは、太陽フレアで発せられた強力な太陽風が地球に到達し、そのプラズマ粒子が地球の大気と衝突することで発生します。

しかし、木星のオーロラ発生原理は解明されておらず、決定的な証拠に欠けていました。

そして2022年、遂にそのメカニズムが解明されました。それは木星衛星の一つである「イオ」の火山から噴火した溶岩が関係していたのです。

■激しい火山活動が続く衛星「イオ」

木星衛星「イオ」©Wikipedia
木星衛星「イオ」©Wikipedia

イオは4個のガリレオ衛星のうち、一番内側を回る衛星です。イオの内部では、木星の強すぎる重力により、激しい火山活動が生じています。表面が黄色く見えるのは火山から噴出した硫黄が表面を覆っているためです。

イオは地球に比べて1/3程の大きさの天体ですが、その表面には400個以上の活火山が存在すると推定されています。ボイジャー1号が発見したプロメテウス、ロキ、ペレなどの火山は、20年後にガリレオ探査機が観測した時も噴火をくりかえしていました。イオの火山がはきだす溶岩の総量は、なんと1秒間に4万5000トンにも上るといわれています。イオの表面は流れだす溶岩によっていつも更新されているため、クレーターはほとんど存在しません。

火口から噴出した溶岩は、高さ300kmまで舞い上がり希薄な大気を形成しています。その中でも特に、太陽系で最大級であるダイダロス火山は放射エネルギーの合計が10兆ワットと、地球の1/4程のエネルギーで活動を続けています。

ちなみに、イオとほぼ同じ大きさと密度である月も、誕生した直後は非常に高温の天体でした。しかし、40億年以上の年月を経て内部は既に冷めてしまい、火山活動はなくなってしまったのです。

■イオの溶岩が木星のオーロラ発生を引き起こしていた?

木星で発生するオーロラのイメージ©JAXA
木星で発生するオーロラのイメージ©JAXA

今回解明された木星でのオーロラ発生原因は、激しく火山活動が続くイオの溶岩が関係していました。イオから噴出した溶岩は宇宙空間でプラズマ化し、木星の強力な磁場に取り込まれてガスと反応することで、オーロラとして発光していたのです。

イオで発生するオーロラ©Wikipedia
イオで発生するオーロラ©Wikipedia

ちなみに、木星に影響を与えているイオ自身でもオーロラは発生しています。木星の磁場に捕らえられたプラズマ粒子と、イオが持つわずかな大気が衝突することで、発光現象が起きているのです。

地球とはスケールが桁違いな木星圏のオーロラ、いつか自分の目でも見てみたいですね。

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