『If you build it, he will come』ジーターが建てた家をブレイディが借りる
"If you build it, he will come"(それを造れば、彼は来る)とは名作映画『フィールド・オブ・ドリームス』の有名なフレーズだが、NFLタンパベイ・バッカニアーズのファンは、海に面した高級住宅地に豪邸を建設したデレク・ジーターに感謝しなければならない。
フリーエージェントだったトム・ブレイディが20年所属したニューイングランド・ペイトリオッツを離れてバッカニアーズ移籍を決断した決め手はジーターだった?
タンパベイ・タイムズ紙の報道によると、バッカニアーズに移籍したトム・ブレイディがジーターの豪邸を借りることが明らかになった。
現役時代はニューヨーク・ヤンキース一筋で20年間プレーして、ワールドシリーズに5度優勝したジーターは現役時代からオフはヤンキースの春季キャンプ地でもあるフロリダ州タンパに住んでいた。
ジーターのように大金を稼ぐセレブの中には、住民税と州の相続税が高いニューヨーク州から住民税も州の相続税もないフロリダ州に引っ越すケースが少なくない。昨年末にはドナルド・トランプ大統領がニューヨーク州からフロリダ州への引っ越しを発表した。(ちなみにジーターは現役時代のシーズン中にはニューヨークにあるトランプ・ワールド・タワーに住んでいた)
ジーターは2011年にタンパのデイビス・アイランズと呼ばれる超高級住宅街に約900坪、寝室7つの豪邸を建設。海に面したオーシャンビューのこの豪邸は、タンパで最も大きな豪邸として知られ、プールはもちろんのこと、ビリヤード部屋やエンターテインメント部屋も付いている。敷地内には無数のセキュリティカメラが設置され、タンパ市から特別に許可を得た約2メートルの高い壁が豪邸を囲む。
ロサンゼルス・エンゼルスのジョー・マドン監督がタンパベイ・レイズの監督時代に「ジーターの豪邸にレイズの新球場を建てればいい」と冗談を飛ばしたほどの広さを誇る。
現役引退後にフロリダ・マーリンズの最高経営責任者に就任したジーターは、タンパを離れて、同じフロリダ州内のマイアミに拠点を移した。
地元の不動産屋によるとジーターの豪邸家推定価格は1400万ドル(約15億4000万円)で、家賃は月7万5000ドル(約825万円)から10万ドル(約1100万円)になると言う。
MLBでヤンキースの黄金時代の中心的役割を担ったジーターと、NFLでペイトリオッツ王朝を築いたブレイディには「ミシガン繋がり」という共通項がある。
ニューヨークのお隣、ニュージャージー州で生まれたジーターは、4歳のときにミシガン州へ引っ越して、ヤンキースにドラフト1巡目全体6位で指名されるまでミシガン州に住んでいた。ミシガン州内の高校を卒業した1992年にはミシガン大学への進学が内定していたが、ヤンキースから指名を受けたために、ミシガン大学入学を見送った。
ブレイディはカリフォルニア州のサンフランシスコ近郊で生まれ育ったが、高校を卒業した1996年にミシガン大学へ入学。ミシガン大学で4年間プレーした後、2000年のドラフト6巡目全体199位でペイトリオッツから指名されて入団した。
ブレイディがバッカニアーズ移籍を決める直前にはジーターと会食していたという情報もあり、この席上でジーターがブレイディに対して自分の豪邸に住むように勧めた可能性はとても高い。
映画「フィールド・オブ・ドリームス」では主人公のレイ・キンセラがなにもないとうもろこし畑に野球場を造り上げたことから、スーパースターのシューレス・ジョー・ジャクソンが現れて、物語はドラマチックなエンディングを迎える。
長年低迷を続けてきたバッカニアーズのファンはブレイディの移籍を「フィールド・オブ・ドリームス」に重ねることができる。ジーターが豪邸を建てたことによって、ブレイディというスーパースターが現れた。
バッカニアーズがスーパーボウルを制覇してハッピー・エンディングを迎えられるかどうかはブレイディの手に委ねられている。