Meta(旧Facebook)のロゴかぶり問題について
Facebookが社名(および、Oculus関連商品・サービス名)の変更にあたり、Metaというありがちな名称を選択してしまったことにより生じる課題については既に書きました。名称に加えて、ロゴデザインもめちゃくちゃありがちなので、世界的な商標権の確保、および、他社からの権利行使という点では課題が多いと想像されます。
実際、今日の「めざまし8」では、日本のMinittというウェブ業務アプリケーションのスタートアップ企業が先月に発表したばかりのロゴと激似であることが話題になっていました(元ネタはたぶんこちら)。
Minitt社は、商標登録出願はしていないとのことです。一方、Metaの方は当然ながら、米国で10月28日に出願しています(加えて、欧州連合知的財産庁に11月5日付けで出願しています)。パリ条約の優先権の規定により、6カ月以内に国際登録出願(マドリッド・プロトコル出願)あるいは各国への個別出願を行なうことにより、日本を含む世界各国で10月28日の出願日を確保できるので(おそらくもう行なっているでしょう)、Minitt社がこれから出願しても後願となってしまい商標登録は困難です(そればかりか、Meta社に権利行使される可能性すらあります)。
この件は、どちらにも悪意はなかったので、不幸な出来事であったと言う他はありません。ただ、Minitt社が先んじてロゴを商標登録出願していれば商標登録できた可能性が高いですし、下世話な話をすれば、Meta社が巨額で買い取ってくれた可能性もあります。ポジショントークと言われるのは承知の上で言いますが、早目の商標登録出願は保険として重要です。
さて、この話以外にも、冒頭に述べたとおり、新ロゴはいかにもありがちなデザインのため今後も問題は生じそうです。欧州連合知的財産庁が提供するグローバルな商標データベースTMViewの類似図形検索で検索してみると、さすがにそのものずばりの商標はないですが(いくらなんでも私がサクッと検索して見付けられるようなものをFacebookの法務チームが見逃すことはないでしょう)、似たような先登録商標は結構あります(タイトル画像参照)。
これから世界各国で商標登録を進めていく上で多少のもめ事はあるかもしれません(特に相手方が著名商標だったりするとやっかいです)。もちろん、Facebookとしては、多少のリスクは承知の上で、敢えてMetaという一般性が強い名前とこのありがちなロゴを選んだということなのでしょう。