台風16号から変わった低気圧が寒気を南下させて北海道の山は雪?
北日本を中心に冬型
伊豆諸島南部や房総半島に暴風雨をもたらした台風16号は、10月2日9時に日本の東で温帯低気圧に変わり、その後、カムチャッカ半島で発達する見込みです(図1)。
このため、北日本を中心に、上空約5500メートルで氷点下18度以下というやや強い寒気が南下しています。
標高が高いところでは十分に雪が降る温度です。
例年、初冠雪の便りが一番早いのは、北海道の旭川地方気象台が発表する旭岳の初冠雪です(表)。
現在の所、初冠雪が観測されているのは富士山だけですが、この寒気南下で各地から初冠雪の便りが届くかもしれません。
ちなみに、富山県立山の初冠雪の記録は、昭和14年(1939年)以降、去年、令和2年(2020年)まで、82回の観測がありますが、最も早かったのは、昭和56年(1981年)の9月14日です(図2)。
そして、最も遅かったのは、昭和52年の11月9日です。
このように、冬の訪れの目安の指標となっている初冠雪は、最も早い日と最も遅い日の差が大きい現象なのです。
初冠雪
初冠雪の定義は、「山の一部が雪等の固形降水により白くなった状態が初めて見えたとき」ですが、この観測をしているのは、付近にある有人の測候所や気象台です。
令和3年(2021年)9月7日、甲府地方気象台は富士山の初冠雪(速報)を発表しましたが、富士山頂では気温の観測が行われており、9月20日に日平均気温10.3度を観測しました(図3)。
このため、日平均気温の年最高値以降が次の冬シーズンの始まりということから、富士山頂では9月20日が「令和3~4年(2021~2022年)寒候年」の始まりとなり、初冠雪の発表は取り消されました。
そして、9月26日に改めて初冠雪が発表となりました。
富士山頂での気温観測がなければ、他の山の初冠雪と同様、8月1日が「令和3~4年(2021~2022年)寒候年」の始まりになったところです。
図1の出典:ウェザーマップ提供。
図2、図3、表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。