楽天カード改悪? 1%還元を「買い物ごと」に変更する理由
年会費無料の1%還元で知られる「楽天カード」が、11月の請求分からポイントの計算方法を変更することを発表し、話題になっています。
利用者にとっては獲得できるポイントが減る可能性がある変更といえますが、その理由について運営会社に聞いてみました。
「他社カードと足並み揃える」
楽天カードは、年会費無料で1%のポイント還元が得られるクレジットカードとして人気を博しており、ショッピング取扱高は国内No.1、合計の発行枚数は2800万枚を超えています。
しかし、同じ「1%還元」とはいっても、細かい計算方法には微妙な違いがありました。大きく分けると、月間の利用金額の合計に対して100円で1ポイントを付与するものと、1回の買い物ごとに100円で1ポイントを付与するものがあります。
どちらも100円未満の端数は切り捨てになるとはいえ、前者における端数の発生は毎月1回で済むのに対し、後者は買い物の回数に応じて端数が積み重なっていくため、利用者にとっては不利といえます。
楽天カードは前者の方式を採用しており、ポイントをより多くもらえる可能性が高いカードの1つとして知られていました。しかし今回の変更により、11月の請求分からは後者の方式になります。
ユーザーには不利益が生じる可能性が高いものの、なぜこのような変更に踏み切ったのでしょうか。運営会社に聞いてみたところ、「クレジットカードの業界動向を見ながら検討し、他社と足並みを揃えた」(楽天カード広報)と説明しています。
業界動向としては、たとえばdカードは利用ごとに100円未満を切り捨て、PayPayカードは7月から利用ごとに200円未満を切り捨てる方式になっています。楽天カードとしては、他社と同じ条件で競争するために変更せざるを得なかった、というのが実情のようです。
気になるのは、毎月獲得できるポイントがどれくらい減るのかという点でしょう。楽天カードによる説明では、1か月に4回の買い物をした場合、2ポイント減るだけで済むという例が示されています。
もう少し利用が多いケースとして、月に30回の買い物をしている場合はどうでしょうか。買い物のたびに利用額から平均50円が切り捨てられると仮定すると、1か月で15ポイント前後を失う計算になります。
最近の物価上昇などを背景に、ポイ活や節約の話題は大きな注目を集めています。こうした不利益変更に対しては、PayPayにおける他社クレカ騒動のように、過敏に反応する人が多いかもしれません。
ただ、実際に影響を受けるポイントはわずかとみられることから、楽天経済圏から得られるポイントの総額を考えれば、他社カードに乗り換えを考えるほどの変更ではなさそうです。
ポイント付与の「調整」が続く
楽天のポイント還元を俯瞰的に見てみると、単に付与するポイントを減らすのではなく、より効果的にポイントを付与できるよう調整したいという思惑が感じられます。
たとえば楽天カードの場合、6月から投信積立のポイント還元率を引き上げる変更が入っています。
楽天市場の「SPU」では、7月からホームルーターが追加される一方、9月からは「十分に普及した」ことを背景に、スマホアプリの利用が対象外になっています。
また、8月2日には楽天グループとOpenAIとの提携が発表されました。こうしたAIによるデータ分析が進むことで、ポイント付与の定期的なバランス調整も続いていくと考えられます。