【京都市】京都のオーバーツーリズムどう解決? 元大学長や住民らが真剣に討論 街中ではアジサイが満開!
「ひと・まち交流館 京都」で開催されているシンポジウムに参加するため、2024年6月22日に会場に向かっていると、御池ブルーともいわれる御池通沿いのアジサイ群や河原町通りに点在する街中のアジサイたちが満開で色とりどりの花を咲かせ、街ゆく人たちを和ませていました。
一方で現在、東山や嵐山など京都の名だたる観光地では、訪日客らの急増が京都の市民生活に影響するオーバーツーリズムと呼ばれる問題が起きています。どうすれば解決できるのかを文化知識人や住民、企業、メディア関係者などが集い真剣に話し合うシンポジウムが、オーバーツーリズムシンポ in Kyotoの主催によって「ひと・まち交流館京都」で開催されていました。
東山地域の住民からの「地元の人たちがバスに乗れない、自転車で走れない」、「世界遺産・仁和寺の門前に高級ホテルを建設する計画をめぐり住民が提訴した」、不動産業界から「ホテルラッシュと異常な地価上昇がある」などの発言があり、基調講演に登壇した広原盛明京都府立大学元学長は、「観光に対する地域住民の反感や嫌悪感が生まれる第3段階から京都の伝統と文化が破壊され、地域住民の生活が荒廃する第4段階へ移行しようとしている」と指摘しました。
京都市域などの景観問題や観光問題、都市計画史研究の第一人者でもある中林浩神戸松蔭女子学院大学元教授から、世界遺産の拡充、景観や文化財のより厳格な保全と観光の質の向上、富裕層に景勝地を独占させるようなホテルの総量規制、自動車を規制した上でのレンタサイクル観光の推進や歩行者専用道路の拡充など市民生活を守る交通対策、観光の分散政策などの具体策が政策提言されました。
メディアや交通関係者、洛西地域の住民らから、歴史ロマンにあふれ、自然豊かな風土にもかかわらず、まだ光の当たっていない京都西山地域への観光客誘致や市民の立場での芸大跡地の有効利用、観光客と住民がともに利用できる桂駅などからの西山コミュニティーバスの運行など具体的な提言などもあり、会場は大いに盛り上がりました。
広原元学長は、「祇園祭は神事でありショーではない」とした八坂神社宮司の京都市観光協会に対する毅然とした対応にもふれ、「京都らしさや伝統、市民の日常生活を守りながら、観光客も受け入れる必要がある。今こそ行政も市民も一緒に21世紀の京都を創る新しいブランドデザインのような思い切った都市計画や交通計画を打ち立てよう」と語りました。
「ひと・まち交流館 京都」京都市下京区梅湊町83-1 075-354-8711