菅総理と文大統領の支持率比較:逆転、また逆転の「低支持率競争」
韓国同様に日本もメディアの調査によっては世論調査の結果が異なるケースが多い。
菅義偉政権の支持率は読売新聞の調査(7~9日)では43.0%、JNNの調査(8~9日)では40.0%と、40%台をキープしているが、NHK(7~9日)では35.0%、そして昨日公表された時事通信(7~10日)の調査では32.2%にまで下がっていた。
いずれの調査でも2020年9月の政権発足以来「最低」となっていた。支持率低下の原因が新型コロナウイルスの感染収束のめどが立たないことへの国民の苛立ち、不満にあることは言うまでもない。
一方、文在寅大統領の支持率は1月から30%台が続いているが、直近の調査では世論調査会社「リアルメータ―」が5月3日~7日に行った調査では36.0%、「韓国ギャラップ」の調査(4~6日)では34.0%、そして韓国社会世論研究所の調査(7日)では33.9%である。最も低い数字でも時事通信のそれよりも1.7%ほど高い。
両者の支持率を比較すると、昨年までは圧倒的に菅首相が上回っていた。
菅政権発足から1か月が経った昨年10月に行った各メディアの調査では菅首相への支持率は53%(朝日新聞)、55%(NHK)、57%(テレビ朝日)と平均して55%前後もあった。どんなに低くても51.2%(時事通信)で、「共同通信」の調査では60%を上回り、60.5%もあった。これに対して文大統領の支持率は45.8%(リアルメータ―)、47.0%(韓国ギャラップ)と40%台に留まっていた。
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昨年12月末の時点でも菅首相の支持率はNNN(読売新聞との共同)では45%、ANNでも38.4%もあり、いずれも年末の文大統領の支持率(36.7%)を上回っていた。
それが、年が変わって逆転し、1月の日韓メディアの世論調査では菅首相の支持率はANNの調査で34.8%、NNNの調査で39%、NHKの調査で40%なのに対して文大統領は「リアルメータ―」の調査(18―20日)で43.6%もあった。
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その後、文大統領は不動産政策の失敗や「韓国土地住宅公社スキャンダル」で3月には34.1%と、2017年5月の政権発足以来、最低を記録し、さらに4月末には30%を割り、29.0%まで下落するなど44%あった菅首相よりも15ポイントも下回っていた。それが、今また、再び逆転したことになる。
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菅首相が文大統領よりもましなのは不支持の率が低いことだ。文大統領の不支持は「リアルメータ―」の調査では60.3%、韓国社会世論研究所の調査でも62.0%といずれも60%台を超えているのに対して菅首相は43.0%(NHK)、44.6%(時事通信)と、40%台に留まっている。
それと、もうひとつ、政権政党の支持率では圧倒的な差があることだ。
与党・自民党の支持率は33.7%(NHK)21.4(時事通信)と、5.8%、4.4%の野党第1党の立憲民主党を大きく引き離している。
これに対して文政権の与党「共に民主党」はどの調査をみても、野党第1党の「国民の力」を下回っている。
「リアルメータ―」の調査では「共に民主党」の30.2%に対して「国民の力」は35.3%。また「韓国社会世論研究所」の調査でも「共に民主党」の29.4%に対して「国民の力」は34.0%と、どちらも野党が5%前後上回っている。
韓国の大統領の場合、支持率が40%を割れば「黄色信号」が、30%前半にまで落ち込めば「赤信号」が灯り、20%台で「死に体」(レイムダック)となる。文大統領はレイムダックに入る直前で下げ止まり状態となっている。
菅首相が危険水域に入ったのかどうか定かではないが、おそらく一番気に留めているのは同じ境遇の文大統領ではないだろうか。