ウクライナに希望を!元WBCライトヘビー級王者の戦い
ロンドン五輪、ライトヘビー級の銅メダリストとしてプロ入りし、WBC同級王座に就いたウクライナ人ファイター、オレクサンドル・グウォジク(37)。
17戦全勝14KOと順風満帆にキャリアを積んでいたグウォジクだが、2019年10月18日にIBF王者だったアルツール・ベテルビエフとの統一戦に敗れ、ベルトを失った。3度ダウンを奪われての完敗だった。
その後、引退をアナウンスし、3年余りのブランクを作った後にカムバック。2023年2月、5月、9月と試合をこなし、今週末、28戦全勝24KOのWBCスーパーミドル級暫定チャンピオン、デビッド・ベナビデスと対峙する。
サウル・"カネロ"・アルバレスとのメガ・ファイトを切望するベナビデスだが、敢えて1階級上げてリングに上がることを決めたのだ。グウォジクは、その<踏み台>として選ばれたように映る。
2022年5月にカネロがディミトリー・ビボルの持つWBAライトヘビー級タイトルに挑戦した折、4冠統一スーパーミドル王者でメキシコの伝説となった男は、グウォジクにスパーリングパートナーを依頼した。引退した身ではあったが、そこで手応えを感じた元WBCライトヘビー級チャンプは、リング復帰を決める。当時、グウォジクは語っていた。
「カネロがカムバックを決断させてくれたよ。彼に対してかなり良い内容のスパーをした。最初は苦しんだが、本来の自分に戻れた」
復帰後3連勝中のグウォジクは、現地時間12日に行われた記者会見で、次のように述べた。
「ラスベガス、MGMグランドガーデンは、私がプロデビューした場所だ。今も自分はここにいて、強敵との戦いを控えている。これ以上、刺激的なことはない。素晴らしいキャンプを終えた。言い訳はしない。今、私は間違いなく人生で最高の状態にいる。自分が最高であることを証明する準備ができた。
ベナビデスは私にプレッシャーをかけ、コンビネーションを繰り出すつもりだろうな。厳しい戦いが予想されるが、それに対処する策は練っている」
御存知のように、グウォジクの祖国は戦火に見舞われている。今日も同胞が命を落とす状況にある。ロシアの文化を愛し、ロシア語を使ってきた民族だが、戦争開始以降、それらを捨てた人が多い。
グウォジクは、ウクライナに希望の灯を燈そうとリングに上がるであろう。ベナビデスを相手に、どんな戦いを見せるだろうか。