この先発投手の放出はもったいない!? 今年は防御率5点台も2021~22年は3点台前半。年齢は20代
11月17日、クリーブランド・ガーディアンズは、先発投手のカル・クオントリルをコロラド・ロッキーズへ放出し、マイナーリーガーの捕手、コディ・ハフを獲得した。
今シーズン、クオントリルは故障者リストに2度入り、先発19登板で防御率5.24に終わった。トレードの数日前に、ガーディアンズからDFAとされた。
ただ、昨シーズンは、先発32登板で防御率3.38を記録している。その前の2021年は、先発22登板とリリーフ18登板で防御率2.89。先発登板に限っても、防御率は3.12だ。
プロ入り前の評価は高く、2016年のドラフトで、全体8位としてサンディエゴ・パドレスに指名された。年齢は、まだ20代。来年2月に29歳となる。
来シーズン、復活を遂げてもおかしくはない。FAになるのは、2シーズン後。2025年のオフだ。
クオントリルと交換にガーディアンズが得たハフ――2人とも、スタンフォード大出身――は、昨年のドラフト7巡目・全体206位。今シーズンは、Aで86試合に出場し、打率.262と出塁率.357、5本塁打、OPS.731を記録した。
ガーディアンズがクオントリルを手放した理由の一つは、年俸だろう。クオントリルは、年俸調停の申請権を持っている。来シーズンの年俸は、今シーズンの555万ドルから100万ドル前後のアップが予想される。
また、今シーズン、ガーディアンズでは、先発15登板以上の5人中、クオントリル以外の4人が防御率3.85未満を記録した。タナー・バイビーが防御率2.98(25登板)、ギャビン・ウィリアムズが防御率3.29(16登板)、シェーン・ビーバーが防御率3.80(21登板)、ローガン・アレンは防御率3.81(24登板)だ。そこに、今シーズンは4登板のトリスタン・マッケンジーが加わり、ローテーションの5枠は埋まる。昨シーズン、マッケンジーは、先発30登板とリリーフ1登板で防御率2.96を記録している。
彼らのうち、バイビー、ウィリアムズ、アレンの3人は、今シーズンがメジャーリーグ1年目だった。マッケンジーも、FAになるのはまだ先。2026年のオフだ。FAまであと1年のビーバーは、今オフの放出もありそうだが、その場合も、ローテーションの候補には、プロスペクトのダニエル・エスピーノやジョーイ・キャンティーロ、あるいは、メジャーリーグ2年目を終えたエクゼビオン・カーリーがいる。
今シーズンのバイビーらもそうだが、近年のガーディアンズは、先発投手の発掘・育成において、成功を収めている。
一方、ロッキーズへ移ったクオントリルは、打者天国のクアーズ・フィールドがホームとなる。復活に向け、理想的な環境とは言い難い。
だが、クオントリルの主要2球種は、シンカーとカッターだ。奪三振は少ない上に、ゴロ率も特筆するほど高くなく、ファングラフスとスタットキャストによると、ここ3シーズンとも40%台前半ながら、これまで以上に多くのゴロを打たせれば、防御率を今シーズンから1点下げることは可能だろう。
ロッキーズで4点台前半の防御率なら、悪い数値ではない。昨シーズンも今シーズンも、ロッキーズには、先発15登板以上で防御率4.50未満の投手がいなかった。