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週末は関東甲信の梅雨寒解消と西日本太平洋側の梅雨入り

饒村曜気象予報士
沖縄付近の東西にのびる前線と、関東~東北の不安定な大気による雲(6月8日15時)

梅雨寒

 梅雨期にしばしば訪れる季節外れの寒さを「梅雨寒(つゆさむ・つゆざむ)」といいます。

 オホーツク海高気圧がことさら強まったときに生じますが、令和4年(2022年)の関東甲信地方は、梅雨入りした6月6日から梅雨寒でした。

 東京の最高気温の推移をみると、4月中旬以降、最高気温が25度以上の夏日がときおり出現しています(図1)。

図1 東京の最高気温と最低気温の推移(6月9日~15日は気象庁、6月16日~24日はウェザーマップの予報)
図1 東京の最高気温と最低気温の推移(6月9日~15日は気象庁、6月16日~24日はウェザーマップの予報)

 しかし、その後は、気温が上がっても夏日で、最高気温が30度以上という真夏日は、31.2度を観測した5月29日のみでした。

 4月中旬以降、2か月間は気温があまり上昇しませんでした。

 しかし、梅雨入りした6月6日は、気温が大きく下がり、最高気温が18.4度と4月上旬並みの梅雨寒でした。

 一方、最低気温は、4月中旬以降、周期的に15度以上になっていますが、20度を超えるまでは上がっていません。

 そして、5月下旬以降は、15度から20度の間を推移し、6月6日に梅雨入りした後も、最低気温は15度から20度の間を推移しています。

 そして、太平洋高気圧が強まってくる今週後半には、梅雨寒が若干解消しそうです。

 さらに、来週後半以降は、最高気温、最低気温ともに、平年値を大きく上回ってくる見込みです。

 ウェザーマップの16日先までの東京の天気予報によれば、6月16日までは黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)や傘マーク(雨)の日が多いのですが、17日以降は白雲マーク(雨の可能性がほとんどない曇り)やお日様マーク(晴れ)が増えてきます(図2)。

図2 東京の16日先までの天気予報
図2 東京の16日先までの天気予報

 つまり17日頃に梅雨の中休みに入り、最高気温が29度前後まで上昇することで完全に梅雨寒が解消です。

西日本の梅雨入り

 沖縄付近に南下していた梅雨前線は、週末にかけて北上し、この前線上を6月10日から12日と、13日から15日に低気圧が通過する見込みです(図3)。

図3 予想天気図(6月10日21時(左上)から15日21時(右下)、網掛けは降水域・矢印は南岸低気圧の移動)
図3 予想天気図(6月10日21時(左上)から15日21時(右下)、網掛けは降水域・矢印は南岸低気圧の移動)

 このため、鹿児島の16日先までの天気予報で、6月10日から21日まで傘マークの日が続くなど、西日本の太平洋側では雨の日が続く見込みです(図4)。

図4 鹿児島の16日先までの天気予報
図4 鹿児島の16日先までの天気予報

 今週末には、九州南部など、西日本の太平洋側では梅雨入りしそうです。

 九州南部の梅雨入りの平年は5月30日ですので、6月10日に九州南部が梅雨入りした場合は、平年より11日遅い梅雨入りということになります。

春から夏へ

 令和4年(2022年)は、4月2日に全国の気温を観測している914地点のうち485地点(約53パーセント)で最低気温が氷点下という冬日でしたが、5月に入ると冬日がほとんどなくなっています(図5)。

図5 全国の冬日観測地点数と夏日観測地点数の推移
図5 全国の冬日観測地点数と夏日観測地点数の推移

 変わって、4月中旬頃から、最高気温が25度以上の夏日が全国の約50パーセントを占める日が周期的に表れています。

 そして、5月25日には、673地点(約74パーセント)が夏日になっています。

 6月に入り、夏日の観測地点が減っていますが、今週末以降は再び夏日の観測地点が増えそうです。

沖縄・奄美の梅雨明け

 令和4年(2022年)は、5月4日に沖縄地方で平年より6日早い梅雨入りとなり、5月11日には鹿児島県奄美地方で平年より1日早く梅雨入りとなりました(表)。

表 令和4年(2022年)の梅雨入りと梅雨明け
表 令和4年(2022年)の梅雨入りと梅雨明け

 太平洋高気圧が強まり、梅雨前線が押し上げられ、西日本~東日本で梅雨入りとなると、沖縄・奄美地方は、そろそろ梅雨明けとなります。

 那覇の16日先までの天気予報によると、6月14日以降は連日お日様マークです(図6)。

図6 那覇の16日先までの天気予報
図6 那覇の16日先までの天気予報

 また、白雲マークも増えてくることから、来週は沖縄地方で梅雨明けしそうです。

 沖縄の梅雨明けの平年は6月21日ですので、来週梅雨明けした場合は、平年より早い梅雨明けということになります(図7)。

図7 沖縄の梅雨入り(昭和26年(1951年)以降の72年間)と梅雨明け(昭和26年(1951年)以降の71年間
図7 沖縄の梅雨入り(昭和26年(1951年)以降の72年間)と梅雨明け(昭和26年(1951年)以降の71年間

 季節は、着実に夏に向かっています。

タイトル画像、図2、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁資料に筆者加筆。

図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図7の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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