涙の謝罪から再起へ 栗原慶太が語る引退撤回の真相とバンタム級での野望
OPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太(一力)が再起を目指す。栗原は7月にフィリピンバンタム級10位のエナン・ポルテスとノンタイトル8回戦で対戦し、8回2-1(78-74×2、74-78)の判定勝ちを収めた。
しかし、ポルテスに苦戦したこともあって試合後に「俺は勝ってない」と涙ながらに謝罪し引退を表明した。しかしその後、自身のSNSで現役続行を発表し、再びリングでの活躍を目指す栗原に話を聞いた。
木村: 最近の試合について振り返っていただけますか?
栗原: 前回は東洋の防衛戦をしたかったんですが、相手がなかなか決まらず、最終的に違う相手との試合になりました。準備不足もあって、試合の展開としては苦しかったですね。
木村: 試合自体はどう感じましたか?
栗原: 相手がディフェンシブな戦い方をしてきて、想像以上に手強かったです。最初から押し切ろうと思っていたんですが、なかなかそう簡単にはいかなくて。
特に、パンチをかわすのが非常に巧みで、序盤から自分のペースに持ち込めませんでした。ディフェンスに徹している相手に対して、どうしても自分が空回りしてしまった部分があります。焦りがあったのも事実ですね。
木村: そういう戦い方だと、戦術的に難しかったんですかね。
栗原: そうなんです。相手の手数も少なく、攻めに転じるタイミングを掴むのが難しかったです。何度も相手のディフェンスを崩そうとしましたが、思うように攻撃が当たらなくて、逆に無理なパンチが増えてしまった。結果的に、焦りがそのまま自分のミスにつながってしまった試合でした。
木村: その試合後に引退の話が出ていましたが、どんな気持ちでしたか?
栗原: 試合前から「もし負けたら引退」という覚悟で挑んでいました。試合が終わった瞬間、「ここで終わりかな」と思ったんです。でも試合映像を見返すうちに、まだやれると感じました。冷静に見ると、決して自分が負けていたわけではなかったんです。それで「引退はまだ早い」と思い直しました。
木村: 今のトレーニングについても聞かせてください。
栗原: 今はメイントレーナーの他に亀海喜寛さん(元東洋太平洋ウェルター級王者)に指導をして頂いています。他のプロボクサーは見ていないようで、特別に見てもらっていて助かっています。
亀海さんは、僕のスタイルに合った具体的な提案をしてくれます。自分の技術向上に直結するフィードバックをくれるんです。例えば、ディフェンスの強化や、攻撃のリズムを変えることによって相手にプレッシャーをかける方法など、実践的なアドバイスをもらっています。試合映像を見返しながら、ディフェンスや戦術面でのアドバイスも受けています。
木村: 次の試合はいつ頃を予定していますか?
栗原: 今は怪我の回復を図りながら調整中で、11月にはスパーリングを再開できる予定です。試合は早くても年明けになると思います。復帰戦でしっかりと勝ち、バンタム級の中で確実にステップアップしていきたいですね。
その後、那須川天心(帝拳)選手との対戦が実現すれば、さらに自分の実力を証明できる場になると思います。最近は、天心選手が地域タイトルの統一戦をしたいという話をしていて、それがもし実現するなら挑戦したいですね。彼との試合は自分にとって大きなステップアップになりますし、そこで結果を出せれば世界でもトップレベルで戦える自信がつきます。
木村: 天心選手との対戦が決まれば、大きな話題になりそうですね。現在バンタム級は日本人世界チャンピオンが4人いますが、戦ってみたい選手はいますか?
栗原: バンタム級は今、非常に層が厚いですよね。井上拓真(大橋)選手には一度対戦していて負けているのでリベンジをしたいです。他の選手で言うと中谷潤人(M.T)がこの階級でナンバーワンだと思っています。
天心選手もこれからバンタム級で存在感を示していくでしょうし、自分もその中でしっかりと結果を出していきたいです。もちろん、最終的には自分がバンタム級でナンバーワンになることが目標です。
木村: 最後にファンへのメッセージをお願いします。
栗原: まだ引退はしません。世界チャンピオンになるため、そしてバンタム級でナンバーワンになるために、これからも全力で頑張ります。引き続き応援よろしくお願いします。