児童手当の誕生月格差。生まれ月で最大12万円の差は公平?不公平?どっち?
このテーマで最初に書いたコラムを確認したら2010年でした。その頃から指摘してきた、古くて新しい問題。児童手当は誕生月の違いで受け取り額に差があります。
■4月(4月2日以降)生まれと3月生まれでは11万円の差に!
児童手当は、誕生から満15歳に達してから最初の3月31日までの児童を対象として、支給されます(4月1日生まれの場合は、15歳の誕生日前日の3月31日)。
手当額は、3歳未満が月1万5000円、3歳以上小学生までが月1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律月1万円を受け取れます。所得制限を超える世帯は月5000円の特例給付が支給されますが、2022年10月からは世帯主の年収が1200万円以上の場合は支給停止となります。
申請をした翌月から支払われます(月末誕生等は、特例で出産翌日から15日以内に申請すれば翌月から支払われます)。支給月は2月、6月、10月で、前月までの4カ月分がまとめて支払われます。
<児童手当額>
3歳未満:月1万5000円
3歳以上~小学生:月1万円(第3子以降は1万5000円)
中学生:月1万円
※所得制限を超えると月5000円の特例給付(2022年10月から世帯主の年収が1200万円以上の場合は支給停止)
この児童手当、実は生まれた月によって、受け取れる合計額が異なります。もらい始める時期は誕生月で異なるのに、手当を受け取れるのは中学修了までと決まっているためです。
同じ学年になる、4月(4月2日以降)生まれの子と翌年3月生まれの子では、すぐに手続きをしたとして、11万円(特例給付の場合は5万5000円)の差になります。
▼4月(4月2日以降)生まれ(第1子・第2子)
誕生翌月から2歳11カ月まで:1万5000円×35カ月=52万5000円
3歳から15歳11カ月まで:1万円×156カ月=156万円
合計:208万5000円
(特例給付の場合は、5000円×191カ月=95万5000円)
▼3月生まれ(第1子・第2子)
誕生翌月から2歳11カ月まで:1万5000円×35カ月=52万5000円
3歳から15歳まで:1万円×145カ月=145万円
合計:197万5000円
(特例給付の場合は、5000円×180カ月=90万円)
■4月1日生まれと4月2日生まれでは12万円の差!!
前述の部分はこれまでも何度か書かせていただいた内容です。ですが、今回気付いたのですが、4月1日生まれと4月2日生まれの差は12カ月分ではないでしょうか。
というのは、4月1日生まれと4月2日生まれは、児童手当をもらい始める時期は同じ5月からである一方で、学年が1つ異なるからです。4月1日生まれの児童に何か特例などがないか児童手当法も確認しましたが、見当たらずでした。
自治体によっては、児童手当の給付期限に関して「4月1日が15歳の誕生日である場合、誕生日の前日、3月31日まで」などと明記しているところもあります。つまり、4月1日生まれの児童は、14歳11カ月までしか児童手当が受け取れないのです。
▼4月1日生まれ(第1子・第2子)
誕生翌月から2歳11カ月まで:1万5000円×35カ月=52万5000円
3歳から14歳11カ月まで:1万円×144カ月=144万円
合計:196万5000円
(特例給付の場合は、5000円×179カ月=89万5000円)
4月1日生まれは、4月2日以降の4月生まれと比べて12万円(特例給付で6万円)少ないということになります。
■不公平?不公平でない?どっち?
生まれ月で11万円、12万円の差があることに関して、「児童手当は中学を卒業するまでの生活費を支援するものだから不公平ではない」という主張もあり、それももっともだとは思います。しかし、生活費の支援だとするなら、なぜ学年で切るのでしょう。15歳の誕生月まで平等に支援すればいいのではないでしょうか。
それに、子供にかかるのは生活費だけではなく、教育費もあります。むしろ、教育費の方が負担が大きいと言えます。習い事や塾代などは、生まれ月が違ってもほぼ同じ額がかかります。「児童手当を貯めて大学・専門学校期の教育資金のベースを作ろう」と長く主張し続けている立場としては、やはり「公平じゃないよね?」と思ってしまいます。
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