立ったまま眠れる”仮眠ボックス”の特許出願に拒絶理由通知
今年の7月に「立ったまま眠れる”仮眠ボックス”の特許出願について」という記事を書いています。イトーキによる「人体収納用構造体及び睡眠用筐体」という名称の特許出願の話です。立ったまま仮眠を取るための電話ボックスのような構造に関する発明です。名称はものものしいのですが、あくまでも仮眠用なので、ベッドに横になって寝るよりも眠りが深くなり過ぎなくて良いのではないかとも思います。
別件で調べ物をしていたところ、つい先日(11月4日)にこの出願に新規性・進歩性欠如による拒絶理由が通知されていたことがわかりました。先行文献は、特開2016-52488(「フローティングベッドシステム」)です(タイトル画像参照)。出願人は個人の方です。審査請求をしていないので自動取下になっています。人体に浮き袋のようなものを付けて水の中で立ったまま眠れるようにしていることがポイントです。
イトーキの特許出願は、収納空間に収納された人体の重量の少なくとも一部を下方から支持するように人体の臀部を支持する第一支持部と、上半身の水平方向における移動を阻止するように上半身を支持する第二支持部等とを備えることが特徴の一部になっていますが、この先行文献にも同様の構造が開示されている点が拒絶理由の重要なポイントになっています。
イトーキはまだ応答していないので、この出願がどうなるかはわかりませんが、仮に拒絶になっても、この種の仮眠ボックスの製造販売が禁止されるわけではありません(イトーキによる独占ができなくなるだけです)。
ところで、先行技術のフローティングベッドシステムは「床ずれ、寝返りの違和感、関節痛、腰痛、寝冷えなどが無い、良好な寝心地が得られるように、(体温と同じに温度調整された)水の中で眠るためのベッドシステム」ということですが、実際問題として、体がふやけてしまってどうしようもないのではないでしょうか?