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真っ白なキャンバスが全国ツアー完走、解散ライヴは幕張メッセイベントホール

宗像明将音楽評論家
真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

2024年6月28日、真っ白なキャンバスの「真っ白なキャンバス全国ツアー 2024『私とわたし』」東京公演がEX THEATER ROPPONGIで開催され、11月4日に開催される解散ライヴの会場が、かねてから目標としていた幕張メッセ幕張イベントホールであることが発表された。

今回の全国ツアーは4月7日の大阪を皮切りに、仙台、名古屋、北海道、福岡、東京で公演を行ってきた。大阪公演、仙台公演については以下のライヴレポートを参照してほしい。

3か月ぶりの7人体制でノンストップライヴ――真っ白なキャンバス全国ツアー大阪公演レポート

ユニット曲の披露、小野寺梓の凱旋――真っ白なキャンバス全国ツアー仙台公演レポート

そして全国ツアー中の5月22日、白キャンはYouTube配信を行い、解散を発表した。

真っ白なキャンバスが解散を発表、2024年11月4日にラストライヴを開催

今回の全国ツアーが、白キャンにとって最後のツアーになるかもしれない状況のなか、白キャンは最終公演の地であるEX THEATER ROPPONGIに辿り着いた。

真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

開演60秒前からステージ上のスクリーンにはカウントダウンが流れ、開演とともに通常とは異なるアレンジのSEが流れたかと思うと、代表曲「SHOUT」のリミックスへと続き、スクリーンには白キャンのこれまでの映像と、新たに撮影されたメンバー紹介の映像が流された。「私とわたし」という、過去と未来を意味するツアー・タイトルの謎解きのような幕開けだ。メンバーが登場すると、そのまま「SHOUT」へと流れ込んだ。

そこから「闘う門には幸来たる」「ダンスインザライン」と、最近の対バンでも多く披露されている楽曲が続いてフロアを盛り上げた。「メンションガール」では間奏が延ばされ、「#白キャンに夢中」を付けてXへ投稿するようファンに求め、その投稿がスクリーンに表示される演出も。「ポイポイパッ」では、メンバーがステージを降り、フロアのファンの間を歩いていった。「ダウター」ではイントロが延ばされ、そのイントロでメンバー7人それぞれが今夜の抱負を語った。

真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

ファンの間を歩く浜辺ゆりな(手前)と西野千明(奥)(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
ファンの間を歩く浜辺ゆりな(手前)と西野千明(奥)(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

「Whatever, happens happens.」の冒頭では、西野千明が「最後かもしれない全国ツアー、こんなもんで終わらせていいのか、ブチ上げてくぞ!」と叫び、間奏で鈴木えまも「今は今しかねえんだぞ!」と叫んで、フロアをさらに盛り上げ、「オーバーセンシティブ」へと続けた。

三浦菜々子(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
三浦菜々子(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

その流れを変えたのが「わたしとばけもの」だった。2021年11月20日の4周年ワンマンライヴ「わたしとばけもの」に合わせて発表されたこの楽曲は、コロナ禍をも描いている楽曲だ。2024年6月15日の「麦田ひかる生誕祭2024」でも披露されたが、いわゆるレア曲であり、今夜も冒頭での麦田ひかるのパフォーマンスが冴えわたっていた。

麦田ひかる(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
麦田ひかる(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

「わたしとばけもの」が終わると一旦メンバーがステージを去り、映像が流された後に、ステージに現れたのは三浦菜々子と小野寺梓。まず、ふたりのアカペラで「全身全霊」が歌われ、登場した他のメンバーとともに披露された。この「全身全霊」からは新衣装だ。

「世界犯」は、2022年11月18日 の5周年ワンマンライヴ「希望、挫折、驚嘆、絶望、感謝 それが、私。」で発表された楽曲だ。「楽しくて幸せで / 笑い声絶えない日々 / 噛み締めて生きている/ 当たり前じゃないこと」という歌詞が、解散が決まった今となっては聴く者の胸に重く響く。

浜辺ゆりな(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
浜辺ゆりな(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

「空色パズルピース」に続く「HAPPY HAPPY TOMORROW」では間奏が延ばされ、橋本美桜の「せーの!」という声とともに、ファンに配布された紙飛行機が一斉に投げられ、EX THEATER ROPPONGIのフロアに大量の紙飛行機が飛び交った。

橋本美桜(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
橋本美桜(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

開演から70分を越えたところで、ようやくメンバーの自己紹介に。小野寺梓が「この夏は白キャンにとって最後の夏で、今までみんなといっぱい思い出を作ってきたけど、今年も一緒に作ってくれるよね? みんな白キャンと夏、始める準備できてますか? みんなで想い、届けてくれますか? みんなの想いと私たちの想いをコラボさせてみんなに響かせたいです」というMCから、新曲「Summer Echoes」へ。続く「いま踏み出せ夏」では、メンバーが再びフロアに降り、ボールをファンに投げ、終盤ではメンバーもファンも肩を組み、EX THEATER ROPPONGIの誰もが左右に揺れた。

真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
真っ白なキャンバス(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

「アイデンティティ」「キャンディタフト」と人気曲が続き、「キャンディタフト」では「来年も再来年も一緒に / 同じ日を過ごせたらきっと嬉しいだろう」という歌詞が歌われた。間奏で小野寺梓はこの歌詞に触れ、「この全国ツアーのなかで私たちは解散発表をして、『来年も再来年も一緒に』って歌ってるのに、来年の今頃はきっと一緒にいれないけど、だから今、このみんなの顔も声も全部記憶して忘れたくないです、みんなも私たち真っ白なキャンバスのことをずっと覚えててください」と語った。

西野千明(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
西野千明(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

「キャンディタフト」の後、三浦菜々子は語った。「真っ白なキャンバス全国ツアー、次で最後の曲になります。私たちはこれまでみんなと手を取り合って、たくさんの季節を駆け抜けてきました。今日、この全国ツアーが終わったら、私たちの最後の夏が始まります。今日またここから私たちとみんなで手を取り合って、これから始まる夏を、そして11月の最後のライヴ、最後の瞬間まで、最高の景色、同じ夢を見ていきましょう」。そして始まったのは「PART-TIME-DREAMER」だった。「いつか同じ夢見よう 醒めなくてもいい夢を」と歌われる楽曲だ。

アンコールは「Heroine hour」で始まった。続く「自由帳」は大事な節目に歌われる楽曲だ。「自由帳」を歌い終わった後、橋本美桜はこう語った。「今回のツアーは、『私とわたし』っていうタイトルで回ってきたんですけど、このタイトルには過去と未来という意味が含まれていて、今日まで白キャンが歩んできた軌跡がみんなの力になっていたら嬉しいし、そして終焉の日が決まってはいるんですけど、私たちのこの歌を私たちのこの声で全力で届けていきたいという気持ちは変わっていないので、これからもこの7人で全力でたくさんの歌声を、たくさんの表現をみなさんに届けていきたいと思っています」。

小野寺梓(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
小野寺梓(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

そして記念撮影の後、解散ライヴの場所が幕張メッセ幕張イベントホールであることが映像で発表された。

アンコール最後の楽曲は「桜色カメラロール」。別れといつの日かの再会を歌った楽曲である。三浦菜々子が歌いながら涙を見せるのは珍しい。浜辺ゆりなは、自分の歌のパートが来る前に、涙を両手でぬぐっていた。

鈴木えま(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
鈴木えま(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

こうして、「真っ白なキャンバス全国ツアー 2024『私とわたし』」東京公演は、明るい雰囲気を保ちつつも、終わりへと向かう空気を色濃くまといながら幕を閉じた。解散まで、すでに約4か月。白キャンとの日々を最後まで追いたい。

セットリスト

01 SHOUT

02 闘う門には幸来たる

03 ダンスインザライン

04 メンションガール

05 ポイポイパッ

06 ダウター

07 Whatever, happens happens.

08 オーバーセンシティブ

09 わたしとばけもの

10 全身全霊

11 世界犯

12 空色パズルピース

13 HAPPY HAPPY TOMORROW

14 Summer Echoes

15 いま踏み出せ夏

16 アイデンティティ

17 キャンディタフト

18 PART-TIME-DREAMER

EN1 Heroine hour

EN2 自由帳

EN3 桜色カメラロール

音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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