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NMB48『これが愛なのか?』塩月希依音、坂田心咲、川上千尋、芳賀礼インタビュー

宗像明将音楽評論家
左から川上千尋、坂田心咲、塩月希依音、芳賀礼(筆者撮影)

ニュー・シングル『これが愛なのか?』を2024年5月22日にリリースしたNMB48。Wセンターを務めるのは、18歳の塩月希依音と坂田心咲だ。さらに5月14日からはNMB48劇場オリジナル新公演「天使のユートピア」もスタートするなど、2023年の渋谷凪咲の卒業後、NMB48の新生面を見せようとしているかのようだ。現在のNMB48について、塩月希依音、坂田心咲、川上千尋、芳賀礼に聞いた。

約10年半ぶりのオリジナル新公演「天使のユートピア」

――5月14日から約10年半ぶりとなるオリジナル新公演「天使のユートピア」が始まりましたが、OGの山本彩さん、ぶっ恋呂百花(木下百花)さんも楽曲を提供していて、これまでのNMB48の歴史を踏まえたかのような公演になっていますね。

川上千尋(筆者撮影)
川上千尋(筆者撮影)

川上千尋 そうですね。10年半前にオリジナル公演をもらったチームNを当時もうらやましく思っていて、オリジナル公演への憧れがすごいあったからこそ、今回の10年半ぶりの新公演はすごく嬉しかったです。新しい一面を見せようって、スタッフのみなさんが動いてくれることが嬉しかったですし、より良い方向にしていこうって気持ちが一致していることが、今後の糧になるなと感じてます。

塩月希依音(筆者撮影)
塩月希依音(筆者撮影)

塩月希依音 「ここにだって天使はいる」公演(初日は2013年11月)は、1期生さんを中心としたチームNの公演で、誰に聞いても神公演だと語り継がれてるけど、私たちは途中から加入してるので、オリジナル・メンバーになることはできなかったんです。でも、今回こうして自分たちがオリジナル・メンバーとして公演を作っていただけたのがすごく嬉しくて。自分たちの代で何かがスタートするっていうのはなかったので、私たちが最初になれる公演ができて嬉しいです。

芳賀礼(筆者撮影)
芳賀礼(筆者撮影)

芳賀礼 最初は「なんか始まるんや」ぐらいの軽い気持ちでしかなくて。でも、ふたつ目のオリジナル公演になる楽しみもあり、いざ初日に出演できるってなったときは、すごく嬉しくて。9期生として入って、一番年下の後輩だからこそ、私にしかできない魅せ方みたいなのもあると思うので、これからのNMB48にもっともっと力を注いで頑張っていきたいなと思いました。今はがむしゃらに全力で少しずつできることを増やしていって、同期や先輩メンバーさんの刺激になっていけたらいいなって思います。

坂田心咲(筆者撮影)
坂田心咲(筆者撮影)

坂田心咲 私も最初はオリジナル公演をやることがどれだけ大きなことなのかをあんまりわかってなくて、全曲オリジナルと言われても、「あー、そうなんや」ぐらいにしか思わなくて。でも、初日メンバーとして選んでいただいてレッスンをしていくうちに、NMB48の歴史に残るような出来事に自分が参加できてるんだって、だんだんと実感してきて、初日メンバーとして、オリジナル・メンバーとして出演できたことが嬉しかったです。

――「天使のユートピア」公演をサウンド・プロデュースしているCarlos K.さんにはどんなことをアドバイスされましたか?

川上千尋 「OUR STORY」のボーカルディレクションをしていただいて。ふだんと違うひとりずつのレコーディングだったんですよ。自分の持ってる良さを全面に引きだしてくれて、新鮮なレコーディングをしてくださって。「めっちゃいいよ」って、とにかく褒めてくれる方で、だからみんなの良さが詰まってる音源になってるんじゃないかと思います。

芳賀礼 私はレコーディングの経験があんまりないので、すごく緊張しててカチコチだったんですけど、「ここのフレーズのときは息を吹きかけたらいいよ」とか、歌ううえでのアドバイスをたくさんくださって、思いっきりやれたので助けられました。

塩月希依音 私は一番最初のフレーズをひとりで歌うことになって、そんな大役をやったことがないのでどうしようみたいな不安があって。練習では出ていた高さの声が、こわばりすぎて出なかったんですけど、Carlosさんが「一回休んで落ち着いてからで大丈夫」って緊張をほぐしながらやってくださって。やっぱり有名な方なので「どんな方なのかな?」と最初は少し緊張していたんですが、優しい方で安心しました。

坂田心咲 レコーディングのとき待機してた部屋では、みんな緊張してたんですよ。でも、レコーディングを終えた人が、みんな「もう全部出してきました」みたいに清々しい顔をしてて、いざ私の番になったときに、Carlosさんが「自信がなくても下手でもいいから、大きな声で思いきり歌ってみて」って言ってくださって、うまくいったら「さっきより全然良くなってる」とたくさん言っていただいたりして、楽しくレコーディングすることができました。

川上千尋、芳賀礼(筆者撮影)
川上千尋、芳賀礼(筆者撮影)

NMB48はみんなが「顔」

――大喜利を武器にバラエティーでも活躍していた渋谷凪咲さんが2023年に卒業しましたが、今のNMB48の武器はどんなものだと思いますか?

川上千尋 私は同期だから言えると思うんですけど、凪咲がNMB48の顔だったかもしれないけど、個人的にはみんなが顔だと思いながら活動してるんです。地道に個人の活動をして、ソロ仕事もありますし。強みと言えば、バラエティーに対するやる気があるとか(笑)、振りが揃ってたりとか、それこそNMB48というグループができあがってから、イメージは大きく変わりはないんです。それをみんなが繋いでいってるのが強みかな。

塩月希依音 みんなが顔っていうのももちろんあるんですけど、やっぱり凪咲さんはメディアの露出度や知名度があって、そういう方が抜けたのは本当に大きいことで、それはメンバー自身も感じているので、だからこそよりみんなでひとつになって頑張ろうっていう意志を最近は感じていて。だからこそ「大阪から世界へ」っていう明確なテーマを掲げてて、みんなでひとつになろうという姿勢があるのが強みかなって思います。

坂田心咲 やっぱり凪咲さんはグループの顔として活躍されてたと思うんですけど、でも凪咲さんが卒業される前も、卒業された後も、メンバーひとりひとりの「もっと上を目指したい、負けたくない、自分が一番てっぺんになりたい」っていう思いはみんなあると思うので、まだまだ上を目指していけるんじゃないかなって私は思ってます。

芳賀礼 先輩メンバーさんや凪咲さんが作ってくださった道をそのまま歩くというより、今はNMB48みんなで横一列で歩いていくみたいに、みんなと心で通じ合ってるのを最近感じてて、みんなの気持ちがひとつになって同じところに向かって歩いていけてるのが今のNMB48の強みかなって思います。

坂田心咲、塩月希依音(筆者撮影)
坂田心咲、塩月希依音(筆者撮影)

この人たちはどう進化してってくれるんや

――今回「これが愛なのか?」で塩月さん、坂田さんがセンターに選ばれたのはなぜだと思いますか?

塩月希依音 理由って明確にはわかってないんです。だけど、同い年の10代の2人がWセンターだし、今の年齢だからこその勢いとかコンビ感、相性でいいものができるんじゃないかって選んでくださったのかなと思います。正直、実力や知名度ではないんです。でも、「このふたりが合わさったら何を起こすんだろう」っていうワクワク感で選んでいただいたんじゃないかなって思ってます。

坂田心咲 すごく難しい質問ですね。やっぱり10代っていう年齢の面は大きいんじゃないかなって思います。まだ若いし、未来が明るそうというか、「これからこの人たちはどう進化してってくれるんや」っていう期待じゃないかなって思います。今センターに立てる実力があるんじゃなくて、今回賭けに出てくれたのかなって思います。センターというポジションは重要ですし、そんな簡単に立てる場所ではないと思うので、その期待に応えられるように、私も頑張っていかないとなって思います。

左から川上千尋、坂田心咲、塩月希依音、芳賀礼(筆者撮影)
左から川上千尋、坂田心咲、塩月希依音、芳賀礼(筆者撮影)

――川上さんや芳賀さんから見て、いかがですか?

川上千尋 年齢って言ってますけど、実力もあるからこそ選ばれてますし、ふたりだから任せられる空気感が以前からあったんです。本当に勢いのある、未来を任せられるふたりがセンターになってるなって思います。

芳賀礼 同い年っていうのもあるかもしれないんですけど、すごく相性が良く見えて、お二方の勢いとかコンビ性に「いいなー」ってずっと思ってて。未来が明るくて、ついていきたいって思ってるようなお二方だったので、凪咲さんも卒業された新しいNMB48のタイミングでのセンターがお二方ですごく良かったです。

――1歳下のだけで「お二方」っていうんですね。

芳賀礼 でも、同い年なんです、私が早生まれで。

――芳賀さんは2006年生まれで、「2006年なんてこの間じゃん!?」と思っちゃいます。それはともかく、「これが愛なのか?」を聴いたときの感想を教えてください。

塩月希依音 主人公が初めて愛に気づいて「これが愛なのかな?」っていう感情になる曲なんですけど、こういう感情を表すとなると、48はかわいくて王道アイドルサウンドになることが多かったと思うんです。だけど、「これが愛なのか?」は真反対のかっこよくてクールで自問自答してるような感じなんです。Wセンターで18歳の私たちがちょっと大人になっていくタイミングに合わせて、ちょっと大人ぶってるというか(笑)、背伸びしたような曲をいただけたのかなって思います。

坂田心咲 私も、子供ながらに大人ぶった感じで背伸びしてる歌詞だなっていうのはすごく印象にあって。この中に出てくる登場人物は愛をまだ知ってなくて、でも「愛=好き」っていう気持ちがあったから、「これが愛なのか?」って自問自答して自己完結してて。たぶん少年だと思うんですけど、もう「好き」の気持ちがあふれて爆発しちゃってるのが愛だと思ってる単純さが、子供らしくて純粋な感じがしますね。

川上千尋 インパクトが残る部分がひとつあるのがNMB48らしくていいなって。「好きだ」ってめっちゃ繰り返すところも、一回聞いたら忘れられないですし、振り付けでもユニークさが散りばめられたりして、けっこうスルメ曲といいますか、聴けば聴くほど、見れば見るほど好きになる曲かなと思いますね。

芳賀礼 初めて聴いたときはロック調のかっこいい曲で、でも歌詞を読むと、背伸びしてるかわいらしい一面も見れたり。この曲は、ファンの方とか、自分にとっての大切な人と出会った瞬間をもう一回思いださせてくれるような曲になってるので、大切な人と出会った尊さをもう一回感じることができて、そういう曲の聴き方があるのもすごくいいなと思いました。

左から川上千尋、坂田心咲、塩月希依音、芳賀礼(筆者撮影)
左から川上千尋、坂田心咲、塩月希依音、芳賀礼(筆者撮影)

海外からの観光客にNMB48劇場に遊びに来てほしい

――今から2024年後半にかけて、NMB48としての目標があれば教えてください。

川上千尋 大阪にはたくさん海外からの旅行客の方が来てくださっていて、NMB48劇場も海外の方も来れる制度が整ってきてて、実際に先日もチームN公演に海外の方が4人ぐらいいらっしゃったんです。日本語は通じないと思うんですけど、言葉の壁を越えるのってパフォーマンスだと思っていて、パフォーマンスを見て気になってくれたら絶対口コミって広がると思うから、海外の方にだんだん広がっていけばいいなと思いながら活動していて。その口コミが広がったことによって、海外のファンの方が増えて、海外にライヴをしに行けたり、繋がったらいいなって思います。

――その人たちはNMB48のファンだったんですか?

川上千尋 海外から日本に移住してるNMB48ファンの方の友達っていうのは聞きました。旅行で時間が空いたから、何も知らないのに来てくださったりもしてて、繋がってるなと思ったりします。だからこそパフォーマンス力をもっと上げて、つかんだら離さないグループになれたらなと思います。

塩月希依音 私はいろんなところでイベントをしたいなと思っていて。昨年はジャカルタでもイベントをさせていただいたりもしてるんです。大阪か東京がメインで、四国にも行かせていただいたんですけど、実際に見て感じてもらったほうがNMB48の魅力って伝わるんじゃないかなって思うので、いろんなところでステージに立てる機会が増えていったらいいなって思います。

――ジャカルタでの反応っていかがでしたか?

川上千尋 めっちゃ良かったです。日本のアイドルに熱狂的になってくれて、歌も日本語でめっちゃ歌ってくださるんです。アイドル文化が認められてるっていう世界線がすごく嬉しかったです。

――坂田さんと芳賀さんの目標はどんなものでしょうか?

坂田心咲 NMB48のYouTubeチャンネルの企画で、めちゃくちゃ英語ができる帰国子女の芳野心咲さんと、英語が何もできない坂田心咲が、難波にいる外国人の方を助けてあげて、最終的にはNMB48シアターに遊びに来てもらうっていう目標があるんです。私もちょっと英語を勉強して、必要最低限のコミュニケーションを取れるようになりたいです。NMB48シアターに遊びに来てもらうっていう最終目標を達成して、海外から来てくれた方が自分の国に帰ったときに「大阪のNMB48めっちゃ面白かったよ」って各国に広まっていけたらなって思います。

――気軽に劇場に来てくれたら、それはそれで企画が成立しなさそうですね。

坂田心咲 何回か撮影しに行ったんですけど、やっぱり難しかったですね。大変でした。やっぱりみなさん予定もありますし、そもそも私は英語ができなさすぎるから怪しい人だと思われて「No, thank you」と断られたり。本当に撮れ高もないですし、進展も全然なかったりして、けっこう過酷な撮影ではあったんですけど、私自身のコミュ力の成長にも繋がっていけたらなって思います。

芳賀礼 今の時代、SNSでのアピールも大切だと思うんですけど、熱意やパフォーマンスの迫力は、SNSじゃなくて直接見てもらうのが一番やなって思うので、劇場に来る最初の一歩が踏みだせない方のために、無料で見れる野外のイベントを増やしたり、自分たちでビラを配ってたりして、すごく地道だとは思うんですけど、SNSも頑張りつつ、今の時代だからこそ逆に直接熱意を伝えて、少しずつNMB48を知ってもらいたいです。

公演情報

NMB48 Summer LIVE 2024@Zepp Osaka Bayside 開催決定!

・8/15(木)18:00開演 NMB48 真夏の紅白祭り2024

・8/16日(金)18:00開演 NMB48 SUMMER PARTY 2024 1st night

・8/17日(土)13:00開演 NMB48 NEXT GENERATION LIVE 2024

・8/17日(土)17:00開演 NMB48 SUMMER PARTY 2024 2nd night

詳しくはオフィシャルHPまで

http://www.nmb48.com/

リリース情報

NMB48 29th Single『これが愛なのか?』

発売日:2024年5月22日(水)

形態数:通常盤全3形態(Type-A,Type-B,Type-C):CD+DVD

劇場盤2形態(劇場盤/テトラver.):CDのみ+イベント参加券(権利)付き

価格:通常盤¥1,760(税込)

劇場盤¥1,100(税込)

収録曲:

通常盤(Type-A)

【CD】

1.これが愛なのか?

2.Now

3.夏のDestination (Team N)

4.これが愛なのか? (off vocal ver.)

5.Now (off vocal ver.)

6.夏のDestination (off vocal ver.)

【DVD】

〜大阪から世界へ〜 NMB48プロモーションムービー プレゼン企画 前編

提供:ユニバーサル ミュージック
提供:ユニバーサル ミュージック

通常盤(Type-B)

【CD】

1.これが愛なのか?

2.Now

3.青春ジャンプ (Team M)

4.これが愛なのか? (off vocal ver.)

5.Now (off vocal ver.)

6.青春ジャンプ (off vocal ver.)

【DVD】

〜大阪から世界へ〜 NMB48プロモーションムービー プレゼン企画 中編

提供:ユニバーサル ミュージック
提供:ユニバーサル ミュージック

通常盤(Type-C)

【CD】

1.これが愛なのか?

2.Now

3.ヘドバンタイム (Team BⅡ)

4.これが愛なのか? (off vocal ver.)

5.Now (off vocal ver.)

6.ヘドバンタイム (off vocal ver.)

【DVD】

〜大阪から世界へ〜 NMB48プロモーションムービー プレゼン企画 後編

提供:ユニバーサル ミュージック
提供:ユニバーサル ミュージック

劇場盤(通常)

1.これが愛なのか?

2.Now

3.これが愛なのか? (off vocal ver.)

4.Now (off vocal ver.)

提供:ユニバーサル ミュージック
提供:ユニバーサル ミュージック

劇場盤(テトラver.)

1.これが愛なのか?

2.Now

3.青春テトラポット (テトラ)

4.おとめのアイス (テトラ)

5.これが愛なのか? (off vocal ver.)

6.Now (off vocal ver.)

提供:ユニバーサル ミュージック
提供:ユニバーサル ミュージック

音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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