化学兵器機関(OPWC)は6日(金曜日)、4月7日に東グータ地方ドゥーマー市(ダマスカス郊外県)で発生し、13日の米英仏によるシリア爆撃の根拠となった化学兵器攻撃疑惑事件に関する事実調査の中間報告書を発表した。
OPCWの声明の内容は以下の通り:
ドゥーマー市での化学兵器使用疑惑事件をめぐっては、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放委員会(シャームの民のヌスラ戦線)などからなる反体制派支配地域で救援活動を行っているとされるホワイト・ヘルメットが、インターネットを通じて事件現場の画像や映像を公開した。
米国はホワイト・ヘルメットなどの情報をもとに、シリア軍が同地で化学兵器を使用したと断定し、英国、フランスとともに13日にシリアの複数カ所に対してミサイル攻撃を敢行した。
一方、シリア政府、ロシアは、事件がホワイト・ヘルメットの偽作で、化学兵器は使用されていないと反論、4月26日にオランダのハーグにあるOPCW本部に、ホワイト・ヘルメットが配信した映像に映っていた住民を招聘し、ホワイト・ヘルメットの主張を覆す記者会見を行った。
なお、事件をめぐっては、40人以上とされる犠牲者の遺体が発見されていないなど不可解な点が多いほか、シリア政府の支配下に復帰したドゥーマー市で証拠隠滅や捏造が行われたとの指摘もなされている。
事件の詳細の謎については、拙稿「ドゥーマー市での化学兵器使用疑惑事件をめぐって利用され続けるシリアの子供たち」、「シリア化学兵器(塩素ガス)使用疑惑事件と米英仏の攻撃をめぐる“謎”」を参照されたい。