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北欧の先住民族サーミのクリスマスマーケットに行ってみた

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
伝統的な手工芸品「Duodji」(デュオジ)には特別な意味がある 筆者撮影

「家族へのクリスマスプレゼントを今から買おう」と、週末になると買い物する市民の姿がノルウェーでは増えている。

「オリジナルで特別な」プレゼントが見つかる場として、クリスマスマーケットは市民の間でも人気だ。

今年はフィンランド・ノルウェー・スウェーデン・ロシアに住む先住民族サーミの人々を取材することが多く、「伝統的なサーミのクリスマスマーケット」が開催されると耳にした。「どんなものが売られているんだろう?」とわくわくして行ってみた。

首都オスロにある「サーミの家」で開催されたクリスマスマーケット 筆者撮影
首都オスロにある「サーミの家」で開催されたクリスマスマーケット 筆者撮影

サーミの伝統的な手工芸品は「Duodji」(デュオジ)と呼ばれている。

銀細工、木工細工、毛皮・木・根・トナカイの角や骨などの天然素材・ガラスビーズや羊毛品を使った工芸品など「Duodji」の種類は幅広い。

クリスマスマーケットはサーミの人々が手作りした「Duodji」に溢れ、サーミの伝統衣装とセットともなるアクセサリーも多数あった。

筆者撮影
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Duodjiはサーミの人々にとっての「アイデンティティ」でもあるので、サーミの文化や歴史の理解なくして第三者が商業目的で販売したり、その利益がサーミのコミュニティに還元されない場合は「文化の盗用」と捉えられることもある。

北欧では「観光者向けのお土産」としても人気のサーミ関連の商品だが、サーミのコミュニティに利益が還元されているかどうかの確認は難しい。このようなサーミの人々が開催されるクリスマスマーケットで買うことは、「文化の盗用」を避けたい筆者としても安心する。

筆者撮影
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クリスマスマーケットの会場は満員となっており、主催者側もそのポテンシャルを感じ、来年は開催期間を1日から2日間にしようと検討中だそうだ。

最近は若い世代の作り手によって、「Duodji」の作品がSNSで広まったりと、その魅力に改めて注目が集まっている。

筆者撮影
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サーミの人々による政府などに対する抗議活動では、民族衣装や「Duodji」は欠かすことができない「闘いの装備」でもある。

かつては抑圧政策の影響で、着用していることを見られること事態が「恥」として避けられていた衣服は、今はこうして「堂々と誇りを持って着用するもの」と変化している。

もしサーミの衣食住に関連したものにお金を払うならば、「それは誰によって作られたのか」「サーミの歴史へのリスペクトが払われているか」「抑圧されてきたコミュニティに利益が還元されているか」は、意識して選ぶようにしたいものだ。

筆者撮影
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北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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