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大谷翔平の33本塁打は2位と5本差。これはセーフティ・リードか。過去の例からすると、本塁打王は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(左)とブラディミール・ゲレーロJr. Apr 8, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、前半戦に33本のホームランを打った。ア・リーグで2番目に多いのは、28本塁打のブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)――もちろん、オールスター・ゲームの1本は含まない――なので、5本の差がある。ナ・リーグ1位のフェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)も、ゲレーロJr.と同じく28本塁打だ。

 1970年以降、リーグ2位に5本以上の差をつけて後半戦を迎えるのは、大谷が16人目。それまでの15人中、80.0%の12人は本塁打王を獲得している。

筆者作成
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 本塁打王を逃した3人のなかで、1976年のデーブ・キングマンと1992年のマーク・マグワイアは、後半戦に3週間以上の離脱があった。どちらも、本塁打王とは1本差。健康に過ごすことさえできていれば、タイトルを手にしていたのではないだろうか。

 また、同じスパンにおいて、リーグ2位に4本差をつけて前半戦を終えた8人のうち、本塁打王を獲得できなかったのは、1999年のサミー・ソーサだけだ。シーズン63本塁打の内訳は、前半戦が32本(10.5打数/本)、後半戦は31本(9.3打数/本)。ペースは上がったにもかかわらず、前半戦に28本塁打のマグワイアが、後半戦に37本のホームランを打ち、シーズン65本塁打としてソーサを上回った。ちなみに、前半戦はジェフ・バグウェルも2位の28本塁打ながら、こちらはシーズン42本塁打(5位タイ)にとどまった。

 なお、現時点のナ・リーグ2位と3位は、25本塁打のカイル・シュワーバー(ワシントン・ナショナルズ)と24本塁打のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)だ。2人とも、オールスター・ゲームに選ばれたものの、出場することはできなかった。シュワーバーは右の太腿裏を痛め、7月3日に故障者リストへ入った。アクーニャJr.は7月10日に右膝の前十字靱帯を断裂し、すでに今シーズンを終えている。彼らに次ぐ4位のハビア・バイエズ(シカゴ・カブス)は、タティースJr.と7本差の21本塁打だ。シュワーバーの欠場が長引くようであれば、大谷よりもタティースJr.のほうが本塁打王に近いかもしれない。

 ア・リーグの3位は、24本塁打のジョーイ・ギャロ(テキサス・レンジャーズ)だ。前半戦の終盤にホームランを量産し、6月26日以降の12試合で11本を記録した。ただ、大谷とは9本の差がある。しかも、ギャロはこの夏にトレードされる可能性が高く、ナ・リーグの球団へ移籍するかもしれない。

 今から24年前、マグワイアは7月末にオークランド・アスレティックスからセントルイス・カーディナルスへ移った。シーズン58本塁打は両リーグ最多ながら、移籍前の34本はア・リーグ9位、移籍後の24本はナ・リーグ22位タイ。ア・リーグは56本塁打のケン・グリフィーJr.、ナ・リーグは49本塁打のラリー・ウォーカーが、それぞれ本塁打王を獲得した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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