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3年連続90敗以上でも30歳のスラッガーをトレードに出さないのは、ラスベガス移転前に勝ちにいく!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブレント・ルッカー(オークランド・アスレティックス)Aug 24, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 オークランド・アスレティックスは、ここ3シーズンとも、大きく負け越した。2022年が60勝102敗、2023年が50勝112敗、2024年は69勝93敗だ。

 これまで、アスレティックスは、フィラデルフィア→カンザスシティ→オークランドと移転してきた。さらに、2025~27年のサクラメントを経て、2028年からはラスベガスに本拠を置く。

 チーム名は、すでに「オークランド・アスレティックス」ではなくなっている。「サクラメント・アスレティックス」とも違い、単に「アスレティックス」だ。これは、サクラメントにいるのは、あくまでもつなぎ、ラスベガスに新球場が完成するまでの間、という意味だろう。

 アスレティックスには、ここ2シーズンとも30本塁打以上のスラッガーがいる。DH&外野手のブレント・ルッカーがそうだ。2023年が30本塁打、2024年は39本塁打。2024年は、ホームランを前年から9本増やしただけでなく、他の数値もアップさせた。例えば、打率が.246→.293、出塁率が.329→.365、OPSは.817→.927だ。

 ルッカーは、レイト・ブルーマー(遅咲き)と形容することができる。メジャーリーグ最初の3シーズン、2020~22年は、計81試合で10本塁打、出塁率.289に過ぎなかった。ミネソタ・ツインズ、サンディエゴ・パドレス、カンザスティ・ロイヤルズを経て、2022年のオフにウェーバー経由でアスレティックスに移り、28歳にして、ドラフト全体35位の資質を開花させた。そして、ブレイクを1シーズン限りで終わらせなかった。

 そのため、今月初めに30歳の誕生日を迎えたが、FAになるのは、2027年のオフだ。アスレティックスは、あと3シーズン、ルッカーを保有できる。

 ただ、ラスベガス時代がスタートする直前に、ルッカーは、FAとなる。その時には、年齢も33歳だ。

 2028年に焦点を合わせるのなら、今が売り時だろう。トレードに出せば、見返りにプロスペクトを手に入れることができる。実際、この夏も、トレードの噂は飛び交っていた。

 だが、ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンによると、今月初旬にGMミーティングに出席したデビッド・フォーストGMは、ルッカーについて「キープし続ける」と言ったという。そのとおりであれば、ラスベガス移転を待たず、サクラメントにいる間も勝ちにいき、2020年以来のポストシーズン進出をめざす、ということになる。少なくとも、そう受け取るのが普通のような気がする。

 ちなみに、100マイル以上を連発する、クローザーのメイソン・ミラーは、こちらもトレードで高く売れそうだが、2029年のオフまでFAにならないので、ラスベガスに移ってからも保有できる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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