バスケ選手権に台湾が出場できず。スポーツでも中国の台湾イジメか?
9月に開催予定のバスケットボールU16男子のアジア選手権をめぐり、同選手権を目指して練習を重ねていた台湾代表チームが出場できないことが明らかになった。台湾側に事前に知らせないまま、中国人のバスケットボールの元スター選手、姚明氏が会長を務める協会が独断的に出場資格のルールを変更したためという。
2023年のFIBA(国際バスケットボール連盟)U16男子のアジア選手権は中東カタールで9月17日から24日まで開催予定。日本代表も出場する。
複数の台湾メディアが、中国出身の姚明氏らが一方的に同選手権への参加規定を変更したため台湾代表が出場できなくなったと報じた。
台湾の中央通訊社によれば、元々はどの加盟チームも参加できるはずだったが、今年になって東アジアバスケットボール協会の会長の姚明氏と秘書長の胡淑芬氏が2人だけで規定を変更したという。新たな規定に従えば、東アジアから出場できるのはFIBAのランキング上位の3か国のみ。上から3チームは中国、韓国、日本で、4位にあたる台湾は出場資格を失った。
台湾代表のコーチは中央通訊社の取材に対しこう話している。
「今回のチームでまず東アジアユース大会に参加しました。その目的は今年のU16アジア選手権のためで、出場できないとは思ってもいませんでした。もちろん残念です」
台湾代表は、5月にメンバーを決め、8月から練習を重ねていたという。
東アジアバスケットボール協会の姚明氏は中国人でアメリカのプロバスケットボールリーグでも活躍した元スター選手。中国では国会議員にあたる全国人民代表大会の代表にも選ばれている。胡淑芬氏はマカオのバスケット協会の秘書長という。マカオは中国の強い影響下にある。そのため中国の政治的な影響を想起させ、台湾の新聞「自由時報」は「中国の横暴がアジア選手権の路を断った」などと報じている。
台湾バスケットボール協会は6日、参加資格に対しアジアバスケットボール協会と東アジアバスケットボール協会に正式に問い合わせた上で「U16のアジア選手権期間中、東アジア地区で予選を行う可能性が限られているため、東アジア地区からの参加資格はFIBAランキングによって決定される」などと回答を得たと発表した。
また東アジアバスケットボール協会は、「今回の変更は会長と秘書長との協議で決めた」として、加盟チームに知らせなかったことなどを認め「不適切だった」と謝罪したという。台湾バスケットボール協会は、今回のやり方に対し厳正に抗議したという。
筆者は今年7月、中国の成都で行われたユニバーシティーゲームズの開幕式の生中継を台湾の飲み屋で見ていた。その店にいた若者は、中国チームには見向きもしなかったが、台湾チームの入場には大きな歓声を上げた。今回の結果を中国側が意図したかどうかは不明だが、台湾チームの活躍を期待していた人たちをがっかりさせる効果があったことは間違い無い。