「頭上でクルクル」保育園の監視カメラ先生からはどう見えている?あのママ1日3回カメラ見るね
現役の保育士&幼保英検1級です。
保育園や幼稚園に設置が進んでいる監視カメラ。
リアルタイムで保育園内の様子が見られるため、保護者からは歓迎されているようです。
一方、この監視カメラは、監視される先生たちの側からはどう見えているのでしょうか。
今回は、現役の保育士の立場から、監視される先生から見たカメラの動きをエピソードを交えながら紹介します。
頭上でクルクル!どの保護者が見ているのかが分かる
監視カメラの種類は保育園により様々ですが、概ね天井付近に取り付けられているパターンが多いでしょう。
画像引用/パナソニック ホールディングス株式会社
そして、Web経由で、保護者がスマホなどからどこででもカメラの映像を確認できるタイプが大半です。
このような監視カメラでは、保護者がスマホ上の監視カメラの画面で十字キーを押すと、その指示どおりに保育園内のカメラが向きを変えます。
ズームキーを押せば、我が子を拡大して見ることができます。
よって、保育室内にいる保育士から見たら、頭上で監視カメラがグルグル向きを変えるので、今どの子の保護者が監視カメラを見ているのかが分かるのです。
「あー、今、サクラちゃんの方にカメラが向いたなー」とか「ユウキ君のお家は給食の時間になると、カメラ見るよね」とか、思いながら保育にあたっています。
子ども同士が揉めたら即監視カメラを見る先生たち
常にカメラで監視されているため、変なクセがついてしまったなと思うことがあります。
小さな子がよろけてしまうことや、子ども同士のおもちゃの取り合いは四六時中あることですが、そんなとき子どもに手を貸すと同時に、監視カメラの向きをすぐにチェックすることです。
例えば、Aちゃんが使っていたおもちゃをBちゃんが取り上げて、Aちゃんが抵抗した場合、Aちゃんが抵抗していた場面だけをたまたまBちゃんの保護者がカメラで見ていたということがあります。
保護者によっては「うちの子が何もしていないのにAちゃんに詰め寄られていた」「先生がなぜかうちの子に注意したように見えた」などとクレームを言ってくる場合があります。
そんなクレームを恐れて、子ども同士が揉めるたびに監視カメラの位置を確認するクセがついてしまいましたよ。
監視カメラは本来見えない場所を見える化する道具ですが、全体像ではなく一部を切り取った場面を見て真実かのように取り違えてしまう危険性があるといつも思います。
保育士は子どもを保育するのが本来の仕事。
監視カメラではなくて目の前の子どもを見ることに集中したいですね。
新入園の4月は監視カメラの取り合い
特に4月や5月、監視カメラの映像を見ようとスマホから位置を操作してもカメラが動かなかったという経験がある保護者もいらっしゃるでしょう。
0歳児クラスや1歳児クラスから保育園に入園する子が多いですが、入園直後は保護者も心配なのでしょう。
監視カメラが常時動いています。
保育室1室に監視カメラが1台ついているのが標準なので、カメラの向きを動かせるのは1人までです。
この時期は見たい保護者があまりにも多いので、カメラの取り合いになっているのですね。
また、保育園への入園直後は慣らし保育がありますが、慣らし保育中はまだ仕事復帰していない方が大半です。
自宅にいながら育児もなく仕事もまだなので時間を持て余し、監視カメラを長時間見るようです。
保育士の側から見ると、カメラが取り合いになっている状態も分かります。
「カスミちゃんちとユウ君ち、取り合い頑張っているな」などと心の中で思っています。
監視カメラにも死角がある
監視カメラの導入時は、保育室内のすべての様子が分かるかのように謳われているため、部屋の隅々まで見えると思われがちです。
監視カメラは保育室の四隅のいずれかに設置されていることが多いですが、監視カメラの直下はカメラが回れないため死角になっていたりします。
いつも午睡中に監視カメラをチェックするレン君のお家。
その日はレン君はカメラの真下付近で寝ていたため、ママから「うちの子がいない!」とお問い合わせをいただいたことがあります。
保育室内で活動しているときは、クラス全員の人数を常に保育士が確認していますので、監視カメラで確認できなくても安心していただきたいですね。
一番監視カメラが動く時間は昼寝中
園児が午睡(昼寝)する時間は、ちょうど保護者も昼休憩の時間。
休憩時間に我が子の様子を見るかとなるのは当然で、どのクラスも一番監視カメラが動いています。
保育士にとっては午睡の時間は、休憩時間兼、会議の時間兼、事務作業の時間兼、保育準備などができる貴重な時間です。
ところが、我が子の姿を見るといっても、午睡中は寝ているだけなのでしばらくすると、監視カメラが保育士の方に向いてきます。
先生たちが怪しいことしていないか少し監視しておこうと思うのかもしれません。
5分で食事をかき込み、手で連絡帳に返事を書きつつ、寝られずにラックに横になっている子のラックを足で前後に揺らす・・・この姿を見たらどう思うのかなと思ったりもします。
「うちの子が寝ているラックを足で揺らすなんて許せない!」というクレームをいただくのなら、そのときは筆者は保育士を廃業するかもしれません。
労働基準法では労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を取ると定められています。
保育士もこの基準法に従っているはずですが、元々ほとんどない休憩時間をいつでもカメラで監視され放題なのは、労働基準法としてはどうなのかと疑問には思いますよ。
まとめ
現役の保育士の立場から、監視される先生からはカメラがどう見えているのかをエピソードを交えながら紹介してきました。
監視カメラは映像で事実を映し出す道具ですが、ストーリーの一部分だけを見てそれが真実だと誤解されてしまうケースが散見されます。
保育の内容で疑問に思うことがあれば、率直に保育園の先生に聞いて、コミュニケーションを取りつつ真実を見極めていただければと願っています。
なお、監視カメラ以外で保育園の様子をうかがえる方法について、「こっそり保育園をチェックする方法を現役保育士が伝授」という記事で紹介しています。
参考にしていただければ幸いです。