つかんだ答えの先にあるもの。菊池風磨『風 are you?』
連日盛り上がりを見せている『Johnnys' Summer Paradise 2016』。8月11日〜16日はSexy Zoneの菊池風磨が『風 are you?』と題して9公演を行い、21,600人を動員した。
自分は何者なのか
自分は何者なのか。どれが本当の自分なのか。はたして、今の自分は、自分がなりたかった自分なのか。学校、会社、友人、家族。他者とのさまざまな関わりのなかで生きるなか、誰もが抱くこの疑問。「自問自答」をテーマに掲げたコンサートは、デビュー以来、Sexy Zoneとしてその問いを続けてきただろう菊池が見つけた答の その先にあるものを確信させてくれるものだった。
昨年、「風 is a Doll?」という挑発的なタイトルで、アイドルとして抱える葛藤をエンターテイメントに昇華しつつ、特定のジャンルだけではない音楽そのものへの愛と先輩たちへのリスペクトに胸を熱くさせてくれた菊池。「風 are you?」と題した今年は、いわば“風”シリーズの第2弾である。
「おまえは誰なんだ?」という自問自答からスタートするコンサートは、菊池の英語ナレーションと芝居を交えたストーリー性のある構成で見せるスタイルを踏襲しつつ、パワーアップ&グレードアップ。今年は松村北斗、田中樹、森本慎太郎、森継亮太、目黒蓮、原嘉孝の参加メンバーとともに 浴衣姿でエアったジャニーズの伝統『SUMARRY』の名物であるフライングや、7人での座りトークで繰りひろげるMCなど、“風”シリーズのお楽しみも健在なら、一体感を大切にしたいと設けられた 観客からの質問コーナーも、等身大の悩みに対して 真剣に答えを探す7人のリアルな男子ぶりと誠実さがかいま見られて、ちょっと感動的ですらある。
こうしたバラエティに富んだ内容を、シルエットが浮かびあがるスタイリッシュなオープニングや、巧みに操るレーザー光線のパフォーマンスなど、ある時は洗練された演出で 、ある時は遊び心たっぷりに魅せながら、最新曲『…more』を含む自身のソロ8曲やSexy Zoneナンバーを聴かせるとともに、SMAPやTOKIO、V6、嵐、KAT-TUN、Hey!Say!JUMP、山下智久、赤西仁といった先輩たちの楽曲のかずかずも聴く者の胸に響かせる。その世界に、昨年以上に大きな広がりを感じたのは私だけではないだろう。何がどうと言葉で説明はできないけれど、「今回特別に許可をとって歌わせていただけるということなので」と明かして 歌いあげたNEWSの『恋を知らない君へ』がエンディングテーマだったドラマ『時をかける少女』に象徴されるように、俳優、タレント、アイドルとしてのさまざまな経験が、この一年で菊池風磨という人間をより豊かにしていることが ステージから確かに伝わってくるのだ。
Sexy Zoneになりたい
ジャニーズJr.が演じる 菊池たちの子供時代の風景が、「自分は何者なのか」と言う問いかけへの答えを鮮やかに浮かびあがらせるコンサート。
「ちっちゃい頃の将来の夢は、嵐になることでした。嵐になりたくて、どうやったら嵐になれるか一生懸命考えた結果、僕はこのステージに立っています。ただ、今の夢はちょっと違っていて。僕の今の夢はSexy Zoneになることです。僕がちっちゃい頃、嵐になりてえって思ってたように、僕も今度はいろんな人に夢を与えられる存在になりたいという意味をこめて」と語った菊池。
デビュー5年目。アイドル、アーティスト、俳優、タレント、さまざまな活動をするなかで、「風 are you?」という問いに菊池が見つけた答え。それは、そのどれもが菊池風磨という存在をかたちづくるものだということでもあるはずだ。
アイドルという枠に収まりきらない才能とセンスと、天性の歌声に恵まれた彼が、アイドルであることの意味も可能性も見い出したであろう現在。これからSexy Zoneとして見せてくれる風景は、きっと素晴らしいものになる。(8月15日17時公演を取材/TOKYO DOME CITY HALL)