「美女たち」の政治利用?ファッション誌ViViとコラボ 自民党の狙いを聞いた
単なるファッション誌のキャンペーンかと思いきや…
ViViといえば有名な老舗の女性ファッション誌。そのViViが10日からキャンペーンを始めました。
「わたしたちの時代がやってくる!権利平等、動物保護、文化共生。みんなはどんな世の中にしたい?【PR】」
タイトルの最後に「PR」とありますが、何のPRかはここでは明示されていません。
「社会はわたしたちが作っていくのだから、自分の意見を自信持って発言してみてもいんじゃない?」と呼びかけて、モデルやタレントなどの女性9人のメッセージを紹介しています。
「Open Heart お年寄りや外国人に親切な国でありますように」
「Diversity いろんな文化が共生できる社会に」
「Express Yourself 自分らしくいられる世界にしたい」
「Happy & Smile みんなが幸せで笑顔あふれる素敵な国に」
こうしたメッセージの英語部分をプリントしたTシャツを計13枚用意。どんな世の中にしていきたいかを投稿して応募してほしいと呼びかけています。
実は自民党とのコラボ企画でした
と、これだけであればごく普通のキャンペーンで誰も文句をつける筋合いはないでしょう。ところが、その先に書かれているのは…
【応募詳細】
どんな世の中にしたいか、自分の気持ちを #自民党2019 #メッセージTシャツプレゼント の二つのハッシュタグをつけてTwitterもしくはInstagramに投稿してね。
ここで初めて読者は「これって自民党のキャンペーンだったのか」と気づくことになります。問い合わせ先も「#自民党2019」プロジェクト事務局です。これはViViと自民党のコラボ企画なのです。
大阪の女性たちから痛烈なメッセージ
このコラボ企画に対し、私の周辺では、大阪の女性たちから痛烈なメッセージが上がっています。
「最後まで読んでみて! #自民党2019 って入れたらTシャツもらえるようになってるねん。知らんうちに自民党のアピールするようになってるねん!怖い!!」
「こんなんやってるの知りませんでした。きもちわるい。洗脳されていく感じ」
「出てるモデルさん?たちは自民党が何してるか知らないまま自分の思いを書いてるんですかね?わざと嫌みを言ってるわけじゃないですよね?それにしてもセコイやり方ですね。これで若い女性に人気あるみたいに描くのかな?」
あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)の大阪のメンバー、橋本智子弁護士からはこのような言葉が。
●女性を「産む機械」とか「女の子」としか意識しない、対等な個人と考えない「オジサン」たちが、若い「女の子」たちをだまくらかしてるの図でしかない。彼女たちのコメントと正反対の方向性で政治やってるのが自民党だというのに。いかにも、うちの商品はいいですよ~って言って粗悪品買わすのと変わらん。
あすわかはこの件で以下のようなコメントを出しています。
●サイトを見てみると、若い女性たちがキラキラ☆彡っと、「差別のない文化共生の社会」「お年寄りや外国人に親切な国」「自分らしく生きられる世界」を夢見て、語っています。どれも大事なことだなぁと感心します…が。。。周辺国を無駄に敵視して憎悪を煽り、優生思想を容認し、ジェンダー平等にも無関心な現政権下では、到底実現不可能な社会です。それをまず、この女性たちや、彼女たちの夢に共感する方々に知ってほしいところです。そもそも、#自民党2019がどんなキャンペーンなのかの説明もありませんね。こんな、政党と正反対の姿勢をコラボ相手(ViViの女性たち)が打ち出していても平然と「コラボでーす」と続けているということは、女性たちが何を語っているかについては「どうでもいい」ということ。ただただ政党名を世間にまき散らしたい、という目的でしょうか。
ツイッターでも抗議殺到 大炎上
このキャンペーンを告知したViViの公式ツイッターには抗議の投稿が殺到しました。
「一夜にしてネトウヨ雑誌に」
「で、自民党からいくらかもらったのですか?お食事付きで」
「ViViは金につられて、たぶんブランドイメージで大損しているね」
「講談社(ViViの発行社)と自民党ってお友達?」
「ViVi世代を自民党に取り込みたいんだろけどTシャツより年金欲しいですね」
「死ぬまで働かなくても、2000万円貯められていなくても、納めてきた税金と年金で不安なく暮らせる世の中」
「出版社が、ときの権力におもねらず、媚びず、忖度せず、個人の自由でしなやかな生き方を後押しするような雑誌書籍を出版できる社会」
講談社「若い女性が自由な意見を表明する場を提供」
こうした声に講談社はどう答えるのでしょうか? 取材に対し、以下のコメントを送ってきました。
「このたびの自民党との広告企画につきましては、ViViの読者世代のような若い女性が現代の社会的な関心事について自由な意見を表明する場を提供したいと考えました。政治的な背景や意図はまったくございません。読者の皆様から寄せられておりますご意見は、今後の編集活動に生かしてまいりたいと思います。講談社 広報室」
これで納得できる読者がどれほどいるでしょうか?
自民党「批判は直接届いていない」「若い女性の利用ではない」
このキャンペーンを行っている#自民党2019プロジェクトの事務局に取材しました。
相澤)どういう狙いでこのキャンペーンを始めたんですか?
自民)みなさんの声に耳を傾ける、というところから始まっていますから、声を聞かせて下さいと、ハッシュタグ付けて、どういう国になってほしいか聞かせて下さいということです。
相澤)自民党にハッシュタグつけて投稿させることで自民党のことを浸透させる狙いがあるのでは?
自民)そういうことではりません。ハッシュタグは応募を検索して拾い出すためです。
相澤)このキャンペーンに批判が殺到して炎上していることはご存じですか?
自民)炎上というか、いろいろなご意見が出ていることはSNSで拝見しています。
相澤)自民党にも批判は来ているんですか?
自民)我々の元には直接届いていませんね。
相澤)こうした批判の声についてどう受けとめていますか?
自民)いろんな声は何事にもあることなので、こうした声を受けとめて今後活用していきます。
相澤)若い女性を利用しているという批判もあります。
自民)そういうことではありません。これはタイアップ広告で、PRと表記もしていますので、利用ということにはあたらないと思います。
相澤)この企画は自民党から言い出したんですか?ViViの方から言い出したんですか?
自民)どちらから声をかけたかはお答えできません。
相澤)ネット上では電通が関与しているという見方もありますが、関わりはあるんですか?
自民)それもお答えできません。
相澤)このプロジェクトの責任者は誰ですか?
自民)甘利先生(甘利明自民党選挙対策委員長)がプロジェクトリーダーです。
相澤)キャンペーンはいつまで行うんですか?
自民)6月21日に終了予定です。
相澤)プロジェクトとして今後もこうしたことをしていくんですか?
自民)若い世代に政治に興味を持って頂きたいという狙いですので、音楽やアートを使ってこれからも考えていきます。
自民党には直接批判の声が届いていない。SNS上の批判はいろんな声として受けとめる。そういう話でした。このキャンペーン、21日まで続くそうです。あと10日間、どうなるんでしょうか?