ジャニーズ、チャン・グンソク、源頼朝…売れっ子に「感謝に∞」 変なことをしたい――ダジャレ漫才進化論
【シリーズ・令和時代を闘う芸人(4)】
じぐざぐインタビュー
個性的で注目の若手芸人を紹介するシリーズ連載。今回は阿部未来とジャンプからなる人力舎所属のコンビ「じぐざぐ」。
「はじまりまじまり夏木マリ」「感謝に∞(エイト)」「お疲れチャン・グンソク」「おしまい Ft2(フットツー)」といったダジャレを矢継ぎ早に繰り広げる彼らの漫才はカズレーザーやアンタッチャブル柴田をはじめとする多くの先輩芸人が絶賛する。
昨年の『M-1グランプリ』では準々決勝進出。今年に入って『ヒルナンデス!』(日本テレビ)、『有田ジェネレーション』(TBS)、『ネタパレ』(フジテレビ)などに相次いで出演を果たし、注目度が高まってきている。
科学漫才からダジャレ漫才
じぐざぐのダジャレ漫才は、その場ではめちゃくちゃ笑ってしまうが、終わった後は何も記憶に残らない。
ジャンプ: それが最高の褒め言葉です。冷静に振り返ってほしくない(笑)。“不意打ちで残像”がベストですよね。
阿部: 何だったんだろうという。
ジャンプ: 意味なんてないんですから。だから、阿部くんが冒頭で「感覚で見てください」って言ってるのは一応伏線ですから。
じぐざぐは、ジャンプが筑波大学出身、阿部が日本大学・理工学部で「ブラックホール」を研究していたという、いわばインテリ芸人コンビ。その2人がどうしてダジャレネタに行き着いたのだろうか。
ジャンプ: 僕は、大学の卒業論文でお笑いについて書いたんですよ。「お笑い界におけるシュールレアリズムについて」。いわゆるシュールという概念の発生みたいなものを研究しました。松本人志さんが出てきて、こんなことが起こったみたいなのを延々と書いていて。いろいろ研究はしたんですけれども、行き着いたのはダジャレだった(笑)。結果あまりシュールじゃなかったですね。
阿部: シュールを考え過ぎたら、ダジャレになった(笑)。
ジャンプ: 最初は今と全然違う漫才をやっていたんですよ。1回目の養成所のライブの手応えがゼロで、来月はどうしようかってときに、阿部くんが、大学時代にブラックホールを研究していたって言っていたのを思い出して、それを生かしたネタをやったら面白いかなと思ったんですよ。そのときの担当の先生が「これいいんじゃない。これなら推せるよ」と言われたので、正解なんだと思って。僕が軽くボケて、阿部くんが「なんでだよ」ってツッコむ代わりに「おまえのドーパミンどうなってんだよ」みたいなツッコミをする。「理系の知識を活かしたツッコミが入ると、ツッコミのほうがボケっぽく見えて、ダブルボケみたいでいいんじゃない?」と言われて、若干手応えはあったんです。けど、ネタは僕が書いているんですけれども、いかんせん僕がゴリゴリの文系なんですよ(笑)。だから、本当に知識がないので、毎月ネタを1本作ろうってなったら、まず図書館に行く。物理コーナーみたいなところでずっと本を読んで、この知識を使うかって。作っていて苦しいし、いざ舞台でやってもそんなにウケないんですね。先生からは「そういうスタイルだったらすぐはウケないけど、長い目で見たほうがいい」と言われていたんですけれども、こっちは毎月スベって嫌だから目先の笑いが欲し過ぎて。
阿部: 科学漫才も最初、テーマは僕が考えていたんです。穴あき問題みたいに作って、そこにジャンプさんに話がつながるようにボケを考えて欲しい、と。そしたらある時、ジャンプさんが「これじゃあ、俺つまんないな」って言い出して「確かにジャンプさんのことを考えてなかったです」と。だからジャンプさんにテーマを考えてもらうようにしたんですけど、「いや俺、『おならで空を飛ぶ』ってのしか想像できないな」と(笑)。「ジャンプさん、それは難しいわ」「他のなんか頂戴よ」ってなって、図書館に通い出したんです。
ジャンプ: 色々作りましたよ。「金星で女子寮を作る」とか。
阿部: 「男子金星(禁制)」が言いたいだけでね(笑)。
ジャンプ: 最終的に金星に寮を建てようとしたら圧力が強すぎて「マツコ・デラックスさんが1,000人ぐらい乗っているような感じになっちゃうんだよ」みたいにツッコむとか。
―― めっちゃ面白そう(笑)。
阿部: でも作っているうちに数字の羅列みたいになったりして、作っていくのがしんどくなって。
ジャンプ: 「男子金星」とかの方向のほうがいいんじゃないかって。同期ライブがあったときに、そんな毎月科学のネタは作れないし、2人とも窮屈な感じがしてたので、普段のジャンプっぽいやつを入れてみようってダジャレをポンポン入れた漫才をやったら、ウケはそこそこだったんですけれども、やっていてすごいナチュラルにできたので、こっちが正解かなと。周りの後輩の子たちも、「あれ良かったですね」ってなって「これだ!」と思ったら、先生にはめちゃくちゃ怒られました(笑)。でももうこれで行くとその時決めました。それが3年目くらい。僕としては、やっと見つけた、救われたって感じでしたね。
阿部: そう、あれがなかったら多分、今がないので。
ジャンプ: 冒頭の「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャンプ」とかもその頃から始めました。普通に本名の加藤英明だったら自己紹介なくネタをやってもいいんですけど、漫才の途中で急に阿部くんが「でも、ジャンプさんはさ……」って急に言ったら、お客さんはやっぱり「え?」ってなってしまいますから。
ジャンプ: もともとダジャレは好きだったんですけど、周りからはオヤジギャグと言われて評判が良くなかった。でも僕は勝手にオヤジギャグじゃなくて「ちょいブスダジャレ」って呼んでるんです。例えば「感謝に∞」とかって音で聞いたときに、「関ジャニエイト」からずらしているんだなというのが伝わる。ちょっと不格好でブスなくらいが一番面白いと思うんですよ。「うまい!」ってなると損なんです。笑いにつながらない。「うれ椎名桔平」みたいにちょっと崩したほうが面白い。
―― ジャニーズの方の名前を使うことが多いですよね?
ジャンプ: 「ありがタッキー&翼」とかね。やっぱりみんなの認知度が高いとウケやすい。源頼朝さんとかは「源のズッ友」ってずらせるし。平清盛さんも、「平でか盛り」とかでずらせますし。売れている人にありがたく乗っかってる感じですね。
阿部: あの人たちは「売れてる」わけじゃない(笑)。逆にネタにしている人が事件とか不祥事とか起こしちゃうとイジってる感じになるからあまり使えなくなりますけどね。
ジャンプ: ダジャレは、バイトしてるときによく思い浮かぶんです。無心で焼肉屋でずっと延々働いているときに急にぽろっと落ちてくるパターンがある。カズレーザーさんはメイプル超合金が『M-1』決勝に行く前からライブで一緒でお世話になってるんです。僕らの同期のフカミドリの矢巻くんがカズさんと一緒に住んでて「ジャンプさん、カズさんが、今月のダジャレを献上してほしいらしいんだけど、何かない?」って。この間は「ボランティアき」を献上しました(笑)。カズさんは「ジャンプくんは天才だ」って褒めてくださいます。
進化するダジャレ漫才
ダジャレを駆使した漫才といえばオジンオズボーンや新宿カウボーイなどの先駆者がいる。彼らとの差別化はどの様に考えているのだろうか。
ジャンプ: 僕はもともと篠宮さんに憧れてまして。『THE MANZAI』でオジンオズボーンさんの漫才を見た時、衝撃が走ったんです。漫才でこれがアリなんだ!って。すごく影響を受けてますね。だから昨年の『M-1』の予選の動画を見て篠宮さんが「ダジャレ漫才の最先端」って言ってくださったときは、焼肉屋のバイト中だったんですけど久々に泣いちゃいました。常連さんに「どうしたの?」って聞かれて「煙です」ってごまかしたんですけど。
ジャンプ: オジンオズボーンさんや新宿カウボーイさんの漫才ってツッコミの高松さんや石沢さんが話を進めて、篠宮さんやかねきよさんが茶々を入れるじゃないですか。でも僕らは、僕が大体9割喋って、阿部くんがたまにリアクションをするという形だったから、主に阿部くんが喋って、僕が茶々を入れるようにすると窮屈そうだったんです。阿部くんは普段そんなに喋らないのにって。だったら自分でガーッと喋って、自分で脱線していくほうが自然で僕ららしいなと。最初に始めたときは、周りからも「なんでおまえ自分でしゃべって自分で脱線するの?」って言われました。確かに冷静に考えたらそうなんですけれども、これがジャンプだからなって。
それで、脱線していくと阿部くんがツッコんで戻すみたいにしていたんですけど、どうもそこで笑いが盛り下がってしまう。なんとかしたいなって思ってたら阿部くんから「ジャンプさんが自分で戻ってきたほうがいいんじゃない?」って言われて、自分が脱線しておいて「そんなことより」っていうのをライブで試したら笑いが持続したんです。これは結構新しいスタイルだなと。
阿部: 僕も一緒にダジャレを言うっていうパターンもできましたね。
ジャンプ: 「売り子・F・売り雄」とかのくだりを阿部くんが言う。もともと僕が考えたダジャレなので、自分の子は自分で世に出したいって気持ちがずっと強かったんです。でも、別に阿部が言ってウケて、うちの子が認めてもらえるなら、コンビの手柄だなと思って。そのパターンだとクイズっぽくなるんですね。僕のフリがあって、阿部が答えを言って、またその後、僕が間髪入れずにまた別のネタに行ける。「マジカルバナナ」みたいな感じでどんどん派生していく。これはいいシステムを見つけたなと。もし自分で「売り子・F・売り雄」と言って阿部くんのツッコミを待って展開させると、ワンテンポ遅れちゃうんですよ。これが昨年の『M-1』の予選で形になってみんなから面白いって言ってもらえるようになった。
阿部: 僕もダジャレに対して何を言えばいいのか分かってなかったんで、窮屈というか限界を感じてたんです。「何言ってんだよ」「くだらないな」くらいしかないんですよ。だから自分もダジャレを言うっていう選択肢が増えたことでだいぶ楽になりましたね。
ジャンプ: 最近、全部阿部が言うパターンを作っちゃって「さすがに多い」って怒られて(笑)。
阿部: そう。やっぱり恥ずかしい。
ジャンプ: ダジャレって言うのは恥ずかしさが伴うんです。くだらないの「駄」がついてるくらいですから。堂々と言える人は、本当に狂っていると思います。面白いと思っているんですけど、ちょっと恥ずかしい気持ちもあるので、どうしてもグラサンは必須になってきます。言ったときの目を見てほしくないんですよね(笑)。
阿部: これまでの人たちとの大きな差といったら、シャイなやつがダジャレを言っているってことですかね。
エンタメ大学デビュー
じぐざぐといえば、サングラス姿に青くて丈の長いジャケットといったインパクト絶大のジャンプの風貌がまず目につく。サングラスをかけたのはユウキロックの一言がきっかけだという。
ジャンプ: 4年くらい前のネタ見せの時、ユウキロックさんに「ジャンプの目元が泳いじゃって、不安に見えちゃうよ」と言われたんです。それで僕が「グラサンとかいいと思ってんですよね」と言ったら、ユウキロックさんが一瞬絶句して「俺は否定できんから」と(笑)。
阿部: 「ま、いいんじゃない?」みたいな。
ジャンプ: かけたらちゃんと落ち着くんですよね。当初はお客さんもざわっとしましたけど。だって、グラサン着けて見た目が変わったのに、ネタは全然変わってないから(笑)。
阿部: サングラスに触れもしなかったよね。
ジャンプ: 先輩には「表情が見えなくなるからよくない」って言われたんですけど、僕はそもそも表情筋が弱過ぎて表情が動かないんですよ。だからむしろいいかなと。大谷翔平くんモデルのスポーツタイプのグラサンなんですけど、これは大好きなガンプラのアニメ(『ガンダムビルドファイターズ』)のメイジン・カワグチってキャラクターをイメージしてるんです。衣装も全部そうです。なかなかこの変な長さの丈のジャケットが見つからなかったんですけど、衣装屋さんで普通に売られてるのを見つけて「これだ! 近づいた!」と。
阿部: アニメのはコートだけどね。
ジャンプ: ちょっと飽きちゃうので、どんどん衣装を足していくんですよね。
アニメが好きというジャンプだが、そもそも彼らはどんなものに影響を受けてこの世界に入ってきたのだろうか。
ジャンプ: うちは結構親が厳しくて。夜9時以降はテレビをつけられないような家でした。だから、バラエティ番組は親が認めていた『世界まる見え!(テレビ特捜部)』くらいしか見られなかったんです。中学くらいにモーニング娘。が流行ったときも「辻ちゃん派? 加護ちゃん派?」っていうクエスチョンの意味もわからなかった。それで、大学に入って一人暮らしを始めて狂ったようにテレビを見始めたんです。
阿部: “エンタメ大学デビュー”だね。
ジャンプ: 筑波大も行って、いろんな就職活動をしようとは思ったんですけれども、もともとちょっと人を笑かすみたいなことが好きだったんです。クラスの中心で笑かすというかは、ちょっとぼそっと一言言って笑いを取るみたいな。実際に大学3年で就職活動を始めたころに、面接でふざけちゃうんです。これは笑かしたほうがええやろうって思ってやると、笑いは取れるんですけれども、そんなやつは要らないってなって、ことごとく落ちるんですね。こんなことばかりやってるなら、いっそ、お笑いに進んだほうがいいんじゃないかと思って、ちょっと親に1回相談したら、めちゃくちゃ反対されちゃいまして。「大学も行かせてるのに何言ってんの!」と。僕は口下手で説得できなかったので、作文にしようと思って。
阿部: 手紙じゃなくて作文。
ジャンプ: 500字の15枚ぐらい書いて。そうしたら「とりあえず好きなようにやってみなさい」と言われて。人力舎の養成所(スクールJCA)の募集がちょうどあったので、そこに応募しました。
阿部: 僕は、8個離れている兄貴がいるんですけれども、兄が好きだったのでずっとテレビでバラエティーが流れているみたいな環境でした。
ジャンプ: だから阿部くんのほうが、お笑いに触れたのが早い。
阿部: 中学ぐらいのとき、周りには『(爆笑)オンエアバトル』とか『はねトび(はねるのトびら)』とかを見ている人があまりいなかったんですよ。で、見てる人の中で小さいコミュニティーを作ってお笑いの話をしているみたい感じでした。高校ぐらいで『M-1』ブームが来たときに、そのコミュニティーのやつの1人から「お笑いやんないか」って誘われて、そのときにJCAっていうのがあるって聞いたんですよ。でも、「大学は出て欲しい」と親に言われて、とりあえず大学に行ったら、その4年間のうちに誘ってくれたやつが「やっぱお笑いでやってくのは、ちょっと現実的じゃないよ」って心変わりしちゃった。けど、こっちはもうその気になってるから、もう意地みたいな感じでJCAに入りました。
養成所で出会った2人だが、ジャンプはすぐに阿部を相方にすると決めた。
ジャンプ: これを話すたびにちょっと気持ち悪いエピソードと言われるんですけれども、阿部くんのことを夢で見たんですよ。
阿部: 自己紹介の授業があったんですけど、僕は「阿部」で「あ」なので最初のほうに順番が回ってきたんですけど、ジャンプさんに回る前に1コマが終わっちゃったんですよ。だから、ジャンプさんは僕のことを認識してるけど、僕は知らないという状況で。
ジャンプ: 「ジャンプは誰か組みたい人とかいる?」と言われたときに、ちょうどその前の日ぐらいに阿部くんが夢に出てきて、2人で舞台でやっているビジョンを見まして、これはちょっと運命だなと思って、「阿部くんと組みたいです」と。本当にその日まで一切話したことがなかったのに。
阿部: 急に前に出てきた大きいやつが、「あの人と組みたいです」って言うから、怖いなと思って。でもヤバい人に声を掛けられたけど、僕も別に組む相手もいなかったので、とりあえず組んでみようかみたいな感じで組んで、あれよあれよと今、という感じですね。
ジャンプ: お試しで組んだので、コンビ名も適当に「じぐざぐ」って付けたんですけど、なんせ見ていたバラエティーが『世界まる見え』くらいですから、お笑いのこと詳しくなかったんです。失礼ながらその時はジグザグジギーさんを知らなかった。『まる見え』に出てなかったので(笑)。「じぐざぐです」と言ったときに、周りがちょっとなんか変な反応だなとは思ったんです。今思えば「ジギーがいるのに」みたいな反応だった(笑)。
僕らは「第7ジェダイ」
この適当に決めたコンビ名が、意外にも彼らにチャンスをもたらすこととなった。
ジャンプ: ジグザグジギーさんの単独ライブの幕間VTRに出させていただきました。ザ・ギースさん、コロチキ(コロコロチキチキペッパーズ)さん、ラブレターズさんの後に僕らが出てくる構成だったので「じぐざぐ?」みたいになって(笑)。でもそれが縁で、マセキさんとの事務所対抗戦みたいなライブで、まずじぐざぐを呼んでくれたり。もともと僕らって人力舎っぽくないじゃないですか。
阿部: 人力舎ってコントっていうイメージがありますからね。
ジャンプ: だから「人力舎なんです」っていうのがフリになって、他事務所のライブに行くとウケるんですよね(笑)。マセキのマネージャーさんのおかげで『ヒルナンデス!』にも出られましたし(※「マネージャーが薦める他事務所の芸人」という企画で出演)。あの番組はめちゃくちゃ反響がありました。「お疲れチャン・グンソク」って最後にポロっと言ったのが主婦の方々にめちゃくちゃ響いたらしくて。
『ヒルナンデス!』や『有田ジェネレーション』、『ネタパレ』など確実にチャンスを掴み始めたじぐざぐだが、これまでコンビの危機はなかったのだろうか。
阿部: 何回か解散を考えたことはあるんですよ。ここが限界かなとか。でもそういうときに限って良いことがあったりするんですよ。
ジャンプ: 2人ともあまりお笑いに熱くないので。「このままじゃ売れないから解散」みたいな周りの人を見ていると、「なんで?」って思っちゃうんです。申し訳ないですけれども、そこまで熱い気持ちはないので、逆にだらだらとやっちゃっているのはありますかね。
阿部: まあいいかの連続なんですよね。
ジャンプ: 熱すぎたらキツいなと思いますし、冷めすぎていてもキツいなと思います。『キングオブコント』を毎年地方で受けるというボケをしているんですよ。変なことをしたいなという思いが強かったので。
阿部: 3年前から行っていますね。
ジャンプ: 沖縄、北海道、福岡に「キングオブ旅行ント」って言って行った(笑)。人と違うことがしたいんです。だから、この間も東京芸人みんなで一緒に大阪へ行くみたいなライブがあったんですけど、それで行くと目立たないなと思って。「交通費とかも出すんで行きます」って別で自分で交渉して大阪のライブに出演しました。「地方のお笑いの大会とか総なめしたら、面白いんじゃないか」とも思って、色々調べたら全部、鬼越トマホークさんが出てるんです(笑)。
阿部: 先にやられている。
こうした脱力感は令和時代特有なのか、あるいは、じぐざぐだからなのか。いずれにせよ、心地よい空気を生んでいる。
ジャンプ: 昨年の『M-1』が「めちゃくちゃ惜しかった」と言われまして。ただ、噂ですけど、審査員の方たちに僕らが何故かラストイヤーだって勘違いされてたらしいんです。まだ9年目なのに(笑)。
阿部: 見た目とやってることがベテランっぽいからね。
ジャンプ: 阿部くんとジャンプ師匠みたいな(笑)。これで20代だったらもっと面白かったけどね。
阿部: 最悪、今年は書類で落とされるかもしれない(笑)。
―― 同期では誰がいるんですか?
ジャンプ: 他事務所では、ゆにばーすとか、コロチキさんとか、霜降り明星さんとかなんですけどね。
―― じゃあ、いわゆる「第7世代」といわれる世代ですよね。
ジャンプ: そこらへんのカテゴライズがよくわからないんですけど、第7世代というか、僕らは「第7ジェダイ」(笑)。
阿部: 第7世代は、平成生まれなイメージがあるんですよね。僕らはゴリゴリの昭和なので。
ジャンプ: 昨年準々決勝まで行けたのは、「おお!」って気持ちではあるので、今年は準決勝の景色を見たいなと思います。準決へ行って、敗者復活とかに行ってね。とりあえず今のスタイルを突き詰めつつ、テレビにも出られるようになりたいです。結構今は、一言でポンと笑わせるのを求められることが多いじゃないですか。ダジャレで放り込むポジションを担えたらいいですよね。食レポで「うまいやキャリー」「辛いやキャリー」とか「辛味大島」とか言いたい(笑)。
阿部: ジャンプさんが変わっているので、そういう2人でのロケみたいなのは、ちょっと面白そうだなとは思いますね。
ジャンプ: 僕は『モヤさま(モヤモヤさまぁ~ず2)』が好きなんです。だから街ブラをしたい。冠番組のMCを持ちたいみたいな人がいますけれども、想像できないですもんね。だから、じぐざぐの最終ゴールは、街ブラです!
■じぐざぐ
スクールJCA19期生。2010年結成。人力舎所属。
http://www.p-jinriki.com/talent/jiguzagu/
ジャンプ(@BLUEJUMP8):主にボケ担当。1986年8月生まれ。埼玉県出身。
阿部未来(@ziguzagu_abe):主にツッコミ担当。1988年3月生まれ。埼玉県出身。
(取材・文)てれびのスキマ (編集・撮影)大森あキ
(取材日)2020年1月下旬
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