「モンハン」新作「ワイルズ」 テストプレーで感じた「徹底した配慮」
「モンハン」の愛称で知られ、累計出荷数が1億本を超える人気ゲーム「モンスターハンター」シリーズ。最新作「モンスターハンターワイルズ」(2025年2月28日発売予定)のオープンベータテスト(テストプレー)がPS5先行で29日から始まり、盛り上がっています。実際にゲームをプレーして感じたことに触れてみます。
「モンスターハンター」シリーズは、雄大な自然を舞台に仲間と協力、巨大で強力なモンスターを倒す「ハンティング(狩り)」に重きを置いたアクションゲームです。今回はベータテストのため制約があり、さらに製品版では変わる可能性があるものの、ゲームファンにとってはゲームを直接体験できる機会です。かつSNSでの宣伝効果も期待できます。既に人気シリーズですが、口コミの後押しは、ぜひとも欲しいところでしょう。
ベータテストはPS5を持ち、有料ネットワークサービス「プレイステーションプラス」の加入者が条件ですが、広く遊べます。11月1日からはXbox Series X/SとSteam(PC)からも参加でき、11月4日まで遊べます。
元々実績のあるゲームだけに、内容に疑問符をつける人はあまりいないでしょう。問題は実際に動かして、楽しく遊べるかです。SNSでは緻密なキャラメーキングを活用して有名人に似せることも話題のようです。また実際のゲームプレーはやはり楽しく、ネットワークでの協力プレーは盛り上がります。PS5になり、より遠くの景色を見渡せますし、協力プレー時にネット接続をするときの「待機時間」も短く快適に遊べました。これが来月発売の「PS5 Pro」や高スペックなゲーミングPCなら、さらに快適なのかが気になります。
PS4などで発売された「モンスターハンター:ワールド」は、世界出荷数が2500万本という大ヒットを飛ばしたわけで、新作「ワイルド」も同規模、もしくはそれ以上の期待がかかります。
そして新作「ワイルズ」のベータテストを遊んだ印象ですが、これまで以上に売るため、より「徹底した配慮」が感じられます。
キャラメーキングでは性別に「男女」が表示されないのはもちろん、意識せずに済む設計にしていました。また人によっては嫌悪感を示すであろう蜘蛛(クモ)のような小型多脚モンスター、環境生物(虫のような生物)などを非表示にすることも可能。そして広いフィールドを早くスムーズに移動でき、遊ぶ人にストレスをできるだけかけない作りになっています。
元々「ワールド」の時も、世界で売るために、巨大市場である欧米への意見を取り込んでいました。開発陣に負担がかかるのを承知で発売時期を世界同時にしたのもそうです。また、ゲーム内でモンスターに与えたダメージの数字を実感しやすくしてほしいという意見を取り入れて、表示できるようにしました。従来シリーズでは「ダメージは非表示」だっただけに懸念の声もありましたが、世界中で爆発的に売れた結果を考えると、大成功だったと言えます。
そもそもゲームはプレーヤーごとに好み、こだわりがある分、万人が納得する仕様にするのは極めて難しく、さらに「徹底した配慮」は場合によって批判に変わることもありえます。それは、ゲームに限らず、コンテンツビジネス全般にある難しさですが……。
それでも「ワイルズ」では、嫌悪感を抱かれない、何かを理由にして敬遠されないよう、「徹底した配慮」をしながら作られているように見えました。「モンハン」シリーズは知名度アップを図る施策、映像化やイベントなどを含めて、少しでも多くの人を取り込む機会を得られるよう努力をしています。その姿勢は、今回のベータテストでも強く感じるところです。