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ネット・ゲーム以外の活動時間を増やそう 冬休みを親子で楽しく過ごすコミュニケーション

森山沙耶ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i 臨床心理士
(提供:toofuneko/イメージマート)

もうすぐ子どもの冬休みがやってきます。暖かい部屋で一日中、オンラインゲームや動画視聴、SNSなどをして過ごすケースも増えてくるのではないでしょうか。

長期休暇中に長時間の利用が続くと、生活リズムを崩す恐れや依存症のリスクにもなるので注意が必要です。

依存の予防という観点からも、ネット・ゲームの時間を制限したり、無理に減らそうとするよりも、ネット・ゲーム以外の活動をバランスよく取り入れていくことが大切です。

子どもにとってのネット・ゲームの魅力を探りましょう

お子さまとのやり取りでこんな経験はありませんか。

子どもにネットやゲーム以外にも何かやったらどう?と聞くと、子どもは「他にやることがない」と言う。「これやってみたら?」と遊びを提案するも断られる、やっても続かない、すぐに飽きてしまう・・。

筆者が行うカウンセリングでもこういったご相談を受けることが多いです。

そんなときにまず試してほしいことは、子どもがネット・ゲームの何に魅力を感じているのかを探ることです。そこからヒントを得ることがポイントになります。

ネット・ゲームと一言でいっても、何にハマっているかは子どもによって異なります。オンラインゲームであれば、シューティングゲーム、育成シミュレーション、MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)、サンドボックス系などさまざまなジャンルがあり、各ジャンルによって楽しめる要素はまったく異なります。

例えば、FortniteやAPEXなどのシューティングゲームであれば、銃などの武器で相手を倒したり、ミッションをこなしていきます。こういうゲームでは、スリルや興奮、チームでの達成感などを魅力に感じているのかもしれません。一方、マインクラフトに代表されるサンドボックス系のゲームでは、プレイヤーが自由に目標や目的を決めて遊びます。こういったゲームでは、創造性が刺激されたり、自分の作品ができたときの達成感を得たりするでしょう。

動画についても、ゲーム実況、お笑い、アニメなど動画の種類によってどのような気分になるかは違います。人によっては視聴だけでなく、自分で動画を編集したり、配信していたりする場合もあります。SNSであれば、オンライン上でのコミュニケーションに楽しみを感じる人もいれば、投稿して「いいね」をもらうなど承認されることで満たされた気分になる人もいます。

このように子どもがハマっているネットやゲームを具体的に把握することで、それぞれの子どもがどのようなことに楽しみや喜びを見出すのかを理解することができます。

写真:REX/アフロ

子どもの好きに合わせて楽しめる活動を選びましょう

筆者はネット・ゲーム依存の問題を抱えるお子さまやそのご家族のカウンセリングを行っています。ご本人やご家族とのカウンセリングの中で、ネット・ゲーム以外の健康的で楽しめる活動を考える際に用いているポイントは以下の4つです。

・本人が楽しいと感じられる活動

・時間や果たす役割がネット使用と拮抗する活動

・現在もたびたび起きている活動(もしくは将来的に起こりうる活動)

・家族も一緒に参加して楽しむことができる活動

子ども本人が楽しいと感じられるというのは、先ほどのネット・ゲームで得ている魅力をヒントに考えます。シューティングゲームが好きな場合は、スリルや爽快感を得られるような活動でできそうなものを考えていきます。例えば、ボードゲームやトランプであれば上記の要素を満たせるルールのものをチョイスする、運動であればジョギングよりも対戦型のスポーツの方がより楽しめるかもしれません。

時間や果たす役割が拮抗しているというのは、通常ゲームをしている時間を別の活動に置き換えてみる、ゲームと同じように楽しい気分、達成感を得られる別の活動に置き換えてみるということです。分かりやすい例をあげてみると、朝起きてすぐに育成シミュレーション系のゲームを始める代わりに、朝起きてから植物のお世話をすることを習慣にしてみる、などです。

もちろん宿題やお手伝いなどのいわゆる「しなければいけないこと」もバランスよくできるのが理想的でしょう。もし宿題や掃除などができたときには、「がんばったね」「ありがとう」「助かったよ」と承認や達成感を得られるような声がけをしてください。ただし、宿題やお手伝いばかりではなく、まずは子どもが楽しめる活動を増やしていくことで、子どもがポジティブな気分になり、心と身体が活性化して、結果的に少し億劫なことにも手がつけられることもあります。

写真:アフロ

誘い方や促し方を工夫しましょう

子どもがネットやゲームをしていてなかなか次の活動に取り掛からない、ということもあると思います。

そのようなときは、小さい一歩から始めるのがコツです。はじめから「遠くの公園まで移動してキャッチボールをする」ということを想像すると、「めんどくさいなぁ、家にいた方が気楽だなぁ」と思うのは子どもだけでなく大人も同じですよね。まず服に着替えてみる、家の外に出てみる、自転車に乗ってみる、など簡単に取り掛かかれるものから促してみましょう。行動しているうちに気分が変わって、自然とやる気や意欲が出てくるものです。

そして遊ぶときは、親も思いっきり楽しむことが大切です。また「お母さん(お父さん)はあなたと一緒にできて楽しいよ」というように、自分の嬉しい、楽しいといった素直な気持ちをアイメッセージで子どもに伝えてみてください。アイメッセージとは「私は」を主語したコミュニケーションの方法で、このような伝え方だと相手も受け取りやすくなると言われています。

学校や習い事など、日頃、子どもたちも頑張っていることと思います。

長期休暇のときこそ、ネットやゲームで楽しむ時間だけでなく、心と身体を家族一緒にリフレッシュする時間も作っていけるよう取り組んでみましょう。

ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i 臨床心理士

臨床心理士、公認心理師、社会福祉士。一般社団法人日本デジタルウェルビーイング協会代表理事。東京学芸大学大学院教育学研究科修了後、家庭裁判所調査官を経て、病院・福祉施設にて臨床心理士として勤務。2019年 独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターにて「インターネット/ゲーム依存の診断・治療等に関する研修(医療関係者向け)」を修了後、同年 ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)を立ち上げ。現在はネット・ゲーム依存専門のカウンセリングや予防啓発のための講演・セミナー活動を行う。2021年から特定非営利活動法人ASK認定 依存症予防教育アドバイザー。

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