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新年度からのスマホ利用 親子で注意したいトラブルを防ぐ4つのポイント

森山沙耶ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i 臨床心理士
(写真:イメージマート)

新年度が始まり,子どもに専用のスマホを持たせ始める家庭も多いのではないでしょうか。そこで,子どもがスマホを持ち始める際に様々なトラブルを防ぐために注意しておくべきポイントをまとめました。小学生や中学生など学年によって重要なポイントが異なることもあると思いますが,ある程度共通しておさえておきたい点を紹介します。

ポイント1 長時間使用・使いすぎを防ぐ

子どものスマホ使用で心配されることの一つにスマホの使いすぎが挙げられます。

家庭用ゲーム機でのゲームやTV画面に繋げてのYouTube視聴の場合,ゲーム機の見守り機能で使用時間を設定できたり,TV画面であればキリの良いタイミングを親が把握できたりして,対策を取りやすい面があったかもしれません。

しかし,スマホとなると親は子どもがスマホで何をしているのか把握しにくくなり,キリの良いタイミングで声をかけるのが難しくなります。また,SNSなどのアプリの通知やスマホゲームのログインボーナスなどついつい使いたくなる仕掛けがあるため,他のデバイスよりも使いすぎになりがちです。

長時間使いすぎる状況が続くと,睡眠リズムの乱れ,学習や楽しみの時間の減少,筋力の低下など心身や日常生活に問題が生じます。そして,それでもスマホの使用をコントロールできないと依存の状態になることがあります。

したがって,使いすぎや依存の予防のためにも日頃から時間管理をすることが大切になります。「夜は◯時まで」というように終わりにする時間や「1日◯時間まで」と使用時間数を親子で決めて,スクリーンタイムなどの機能を活用しながら使用をコントロールするスキルを育んでいきましょう。

ポイント2 コミュニケーショントラブルを防ぐ

スマホを持つと,オンラインでコミュニケーションをとる機会が格段に増えます。現実の会話よりもオンライン上の文字中心での会話の方が得意という人もいると思いますが,非言語情報(声のトーン,表情,しぐさ等)がないためうまく相手に伝わらないことや,相手の顔が見えないことで怒りやイラつきをより感情的に伝えてしまうこともあります。また,SNSで悪口や中傷をすることは相手を傷つけてしまうのはもちろんのこと,場合によって訴えられる可能性もあります。

このようなコミュニケーションに関するトラブルを防ぐために,小学生であればまずは家族同士のやり取りで練習をしておくことがおすすめです。オンラインゲームでのチャットでも親が知らないところで繋がれないように設定する必要があります。中学生くらいでは,友人とのやり取りのためにSNSを使う機会も出てくると思います。その際もアプリごとに公開範囲を親子で設定しましょう(参考サイトで示したような各種SNSの保護者向けページも参照してみてください)。

ポイント3 ゲームの高額課金を防ぐ

子どものオンラインゲームへの高額課金が社会的に問題となっています。子どものスマホに親のクレジットカードが登録されていたことで課金できてしまう場合や親のお金を盗ってプリペイドカードを購入し課金する場合もあります。最初は数千円程度ならバレないだろうと軽い気持ちで課金をするのですが,特にスマホゲームのガチャはギャンブル性があるため,ガチャにハマって抜け出せなくなった結果,数十万円の課金をしたという深刻なケースも少なくありません。

ゲーム課金はお金を使った感覚が得られにくく,親のクレジットカードであればなおさら困難です。さらに1ヶ月など短期間に数万〜数十万の課金をしてしまうこともあり,親もその場で課金されていることに気づきにくいものです。

対策としては,まず子どもの端末にクレジットカードが登録されていないかを確認しておくこと,スマホゲームを始める際には課金要素があるのかをチェックし,課金できるゲームであれば課金の状況を親子で定期的に把握しておくことです。

なお,ライブ配信やYouTubeでも投げ銭などサービスがあり,推しの配信者に課金して高額になってしまうケースもありますので,スマホでのお金の使い方について家庭で把握しつつ,金銭管理の方法を学んでいくことが大切であると考えます。

ポイント4 有害な情報への暴露を防ぐ

ネット上では多種多様な情報にアクセスすることができます。もちろん様々な価値観に触れたり,すぐに知りたい情報にアクセスできたりするなど利点は多くあります。しかし,子どもにとって過激なものや有害な情報に簡単にアクセスできてしまうことは懸念すべき点です。例えば,オーバードーズやリストカット,摂食障害に関することなどが挙げられます。また,検索したり,よく見たりする情報はSNSのアルゴリズムによってさらに頻繁にタイムラインに流れてくるようになるため,まるでそれが一般的かのように勘違いしてしまうこともあります。

こうした有害となりうる情報から子どもたちを守るためには,携帯電話会社が提供しているフィルタリング設定をすること,アプリごとに年齢設定をして不適切な情報が閲覧できないような設定をすることなどが考えられます。そして,制限機能の活用だけでなく,親子で見てもよいもの,見てはいけないものの区別をつけることができるように話し合っていくことも大切です。そのためには,ネット上でどのような情報を見ているかオープンに話せるようにしておいてほしいと思います。

下記のサイトも参照の上,家庭内で子どもに合ったルールを決め,必要な制限機能を活用していけると安心です。

参考サイト

総務省:インターネットトラブル事例集2024年版

消費者庁:オンラインゲームの課金トラブルにご注意ください!

Instagram:お子さんにInstagramを安全にご利用いただくために

TikTok:保護者向けガイド

YouTube Kids:ご家族向けのヒントとツール

ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i 臨床心理士

臨床心理士、公認心理師、社会福祉士。一般社団法人日本デジタルウェルビーイング協会代表理事。東京学芸大学大学院教育学研究科修了後、家庭裁判所調査官を経て、病院・福祉施設にて臨床心理士として勤務。2019年 独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターにて「インターネット/ゲーム依存の診断・治療等に関する研修(医療関係者向け)」を修了後、同年 ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)を立ち上げ。現在はネット・ゲーム依存専門のカウンセリングや予防啓発のための講演・セミナー活動を行う。2021年から特定非営利活動法人ASK認定 依存症予防教育アドバイザー。

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