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女性の星・西山朋佳女流三冠 VS アマチュアの星・小山怜央さん 注目の竜王戦6組準々決勝は乱戦に

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月24日10時。東京・将棋会館において竜王戦6組準々決勝▲小山怜央アマ-△西山朋佳女流三冠戦が始まりました。

 小山さんはアマ名人戦、アマ王将戦、赤旗名人戦など、数多くの全国大会優勝経験を持ち、アマトップクラスの一角を占めています。またアマ竜王戦では準優勝3回という戦績を収めています。

 小山アマは竜王戦6組には4回目の参加。今期は泉正樹八段、門倉啓太五段、出口若武四段(現五段)に勝ち、ベスト8に進出しています。

 西山女流三冠は前期、ベスト4進出でフィーバーを巻き起こしました。そして今期もベスト8進出です。

 現在は奨励会で三段リーグに所属している西山女流三冠。もし竜王戦6組で優勝すれば新規定により、三段リーグでの次点1が付与されます。

 つまりはこのルートでも女性初の棋士(四段)誕生の可能性が明文化されたことになります。

 一方の小山アマがもし優勝すれば、棋士編入試験の受験資格が与えられます。

 竜王戦6組準々決勝で、女性とアマチュアが対戦した例はありません。本局は将棋史上においても、大変意義深い一局と言えます。とはいえ、本局がさほどニュースにならないのは、女性やアマチュアのレベルが向上していることを端的に示しているとも言えそうです。

 竜王戦6組では過去に、女性とアマチュアが決勝に進出した例はありません。両者ともにその「竜王戦ドリーム」を叶える実力は十分です。

 振り駒の結果、本局の先手は小山アマと決まりました。

 両者ともに角筋を開けたあとの3手目、小山アマは玉を上がります。相手が振り飛車党であることを踏まえた上での駆け引きです。

 西山女流三冠は居飛車で指す選択肢もあるところ、棋風通り三間飛車にしました。以下は角交換から互いに馬を作り合う乱戦となっています。

 14時10分過ぎ、西山女流三冠はじっと飛車を引きました。形勢はほぼ互角。立ち上がりは激しかったものの、互いに陣形を整備して、まだまだこれからの戦いとなりそうです。

 竜王ランキング戦の持ち時間は各5時間。昼食休憩、夕食休憩をはさんで、通例では夜に終局となります。

 本日は2組準決勝もおこなわれるなど、竜王ランキング戦はどの組も佳境を迎えています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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