Yahoo!ニュース

みやざきフェニックスリーグ・番外編 まずトークで魅せた関西人コンビ《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
13日のイベント、“軽妙な話術”で盛り上げた福永投手(右)と才木投手(右)。

 宮崎県内で開催中の『第14回 みやざきフェニックスリーグ』は、19日から第3クールに入っています。真夏のような暑さと晴天続きだった第1クールとは一転、14日からの第2クールは青空も日差しもない4日間でした。14日は予想を裏切って8試合すべて行われたのですが、15日は6試合が、16日は7試合が中止(うち1試合は降雨ノーゲーム)となり、17日はついに全滅。そして第3クールに入っても、きょう19日は6試合が中止でした。

 阪神タイガースも15日、16日、17日、19日と4試合連続の中止です。これから台風21号まで参戦してくるとか。ピッチャーのやりくりも大変でしょうね。15日の先発は竹安投手で、スライドした16日も流れ、16日先発の予定だった望月投手は翌17日に才木投手が入って、竹安投手と望月投手は仕切り直し。その才木投手も17日が中止になり、きょうの望月投手も流れたわけで…。

 さらに第3クールからは岩貞投手、藤浪投手、小野投手、石崎投手が加わりました。第2クールから行って、まだ投げていない投手もかなりいます。なお野手も坂本選手、大山選手、糸原選手、植田選手、高山選手、江越選手、中谷選手が18日に宮崎入り。そうそう、第2クールは緒方選手が唯一の“純外野手”だったんですよね。

 さて、私は13日から18日まで6日間滞在したものの4試合中1試合しか見られず、でも全滅覚悟だったので1試合でもよしと前向きに帰ってきました。その唯一の試合結果は前回の記事でご覧ください。→★<みやざきフェニックスリーグ 16チームで唯一の無敗!>

 次は26日からの参戦ですので、その間に“こぼれ話”や“番外編”として試合以外の話をご紹介します。

“つかみ”から全力!福永投手

 きょうは13日に行われた『街中スペシャルイベント』の話。毎年、フェニックスリーグ最初の休日に開催されるイベントで、ここ最近は宮崎市の若草通りでの開催です。昔は屋根のない場所でやっていましたが、雨で場所を変更することがあって(そう思うと雨は結構多いかも…)、アーケードで行うことになったと思われます。

阪神の前はオリックス。山本由伸投手と
阪神の前はオリックス。山本由伸投手と
山崎颯一郎投手の19歳コンビです。
山崎颯一郎投手の19歳コンビです。

 これはフェニックスリーグに参加している16チーム(NPB12、韓国プロ野球3、四国アイランドリーグplus選抜)から、代表の2選手ずつがステージに立ち、話をしたり抽選でプレゼントを渡したり、各チーム10分くらいの持ち時間です。登場順は、宿舎がイベント会場に遠いチームから。阪神は少し前に宿舎が近くなったので今は後ろから2番目、オリックスと中日の間です。

 オリックスは高校から入ったルーキー2人の出演、そのうち山本由伸投手(19)は宮崎県の都城高校出身とあって大歓声を浴びていました。山崎颯一郎投手(19)にも黄色い声援が飛び、これより前に出た楽天、四国アイランドリーグplus選抜、日本ハムも盛り上げていたので、阪神の福永春吾投手(23)と才木浩人投手(18)の関西人コンビとしては負けられないところだったでしょう。福永投手がエンジン全開でぶっ飛ばします!

 自己紹介までは普通に。でも司会の方から「なんだか、やっぱり阪神っぽいですね」と言われたところで、福永投手のスイッチが入りました。「そうですか?阪神の顔してますか?ガオーッて感じで?」と虎が吠える仕草を見せ、「そうなっていますか~やっぱり。まあ2人とも大阪、兵庫(と言いながら自身と才木投手を指差して)で、地元が甲子園に近いんでね、そうなりますね」と一気にたたみかけます。

壇上でも、まったく動じなかった福永投手(右)と才木投手(左)。
壇上でも、まったく動じなかった福永投手(右)と才木投手(左)。

 この話しぶりに、なんとなくプロ野球選手らしくないですねと言われ「僕の特技が“軽妙なトーク”なんで、みんな楽しんで帰ってもらいたいんです。しっかりしゃべっていきたいと思います」と返した福永投手に対し、最初は呆気に取られていたものの少しずつ慣れて拍手を送る才木投手。感想を聞かれて「さすがです!」とまた拍手していました。いや~福永投手の特技が軽妙なトークだったとは知らなかったですねえ。

 また、四国アイランドリーグから阪神タイガースへ入団した経緯を紹介されると「2年前もここ宮崎で、アイランドリーグ所属で試合をして、そこから一歩ずつ進んでここまで来たという感じですかね」としみじみ答える福永投手。四国アイランドリーグのみんなの目標になるでしょうねと言われて「そうですか!それは…しっかり頑張りたいと思います」と。ここは気の利いた言葉が浮かばなかったらしく、それはそれでウケていました。

如才ない答えの18歳・才木投手

 何を頑張ればそこまで行けますか?「結局、最後は“夢をあきらめない”こと」。このやり取りは拍手も起きたし、ええこと言うたなあと満足げな福永投手。でも司会の方から「そこはやっぱり『トークです』と言ってほしかった!」とダメだしをされて、「あははは」と爆笑したあと「すみません。野球のモードに真剣に入ってしまったんで。常にポジティブで頑張ってきて、やっと来られたんで。まだ、これからなんですけど」と神妙に答えます。

才木投手もしっかり楽しんでいました。
才木投手もしっかり楽しんでいました。

 相変わらず横で拍手しながら、うんうんと頷いていた才木投手は「才木さんはどうですか?」と振られて「はい?」(笑)。完全に油断していたんでしょう。ここでも十分な笑いが起きたので満足な関西人コンビ。なお質問は1年を振り返ってのことで、才木投手は「新しい生活で、すごく楽しかったです」とニコニコ。楽しい先輩もいるし?「はい。こんなおしゃべりの上手な先輩がいるので、いろんな良い話を聞かせてもらっています」

 なかなか如才ない回答で、できるところを見せた後輩は、チームのことを聞かれ「2位でCSに進出できたので、僕も最後は1軍で投げさせてもらったし、優勝に向けてチーム一丸となって頑張っていきたいと思います」と、これも上出来の返しでした。(※13日のことで、まだCSが始まっていないため、こういう質疑応答があります。そのまま書かせていただきました。ご了承ください)

そんな後輩の受け答えを、満足げに見やる福永先輩。
そんな後輩の受け答えを、満足げに見やる福永先輩。

 甲子園の、満員のお客様の前でプレーする気持ちについて、福永投手は「あの大観衆の中で投げられるなんて。四国アイランドリーグも入っていたんですよ。入っていたんですけど、ケタが違います。四国でもけっこう満員になるんですけど、ゼロ1個違う。ありがたいです。ファンの皆さんに支えられているということで」と言い、才木投手はまた拍手。

 その才木投手は同じ質問に「メチャクチャ最高です」と言ってから「ヤバイっす!ヤバイっす!」と繰り返し、場内も爆笑でした。ファンの方について聞かれると「阪神ファンはすごく熱い方が多いので、鳴尾浜で会った時とかも『頑張ってやー!』って言ってもらえたり。あざーす(笑)」。ヤジも多いのでは?「僕、ポジティブな事しか聞こえないんで」

 フェニックスリーグで何を得て帰りたい?と聞かれ、福永投手は「しっかり投げていくこと、なんですけど」と言った時に目がチラッと泳いだので、これはまた何か仕込んでくる?と思ったら案の定。「福永のピッチングを“どけんかせんといかん”ってことですね!」。笑いと拍手の中、司会の方と私は同じ突っこみをしましたよ。「古い」って。すると福永投手は「すみません。それしか知らなくて」と言いながら、少しご満悦。

 才木投手の答えはは、しれっと「きょうの福永さんのトーク術を奪いたいなと思います」でした。

新たなファンを確保しました

まず福永投手が会場の中を見渡して…
まず福永投手が会場の中を見渡して…
選んだのは、なんとジャイアンツファンの男の子!?
選んだのは、なんとジャイアンツファンの男の子!?

 続いてプレゼントタイムです。各チームとも選手は手に紙袋を持って登壇していて、中身は自分たちのチームグッズなどで、いわば福袋のような感じですね。2人がそれぞれ1人ずつ選んで手渡します。

 まず福永投手が、手を挙げる人たちの中から指名したのは…「そこ、ジャイアンツの君に!」。胸にGiantsとプリントされたTシャツを着た男の子です。これにはもう最高の盛り上がりとなった会場。「ぜひ阪神ファンになってもらいたいので。タイガースの福永が大好きと言ってもらうために選びました」。戸惑いながら出てきた男の子は福永投手に「応援してくれるかな?」と尋ねられて「はい!」と笑顔で返事。ありがとう。

 さあ、これは年下と言えども負けるわけにはいかない才木投手。いや別に勝負ではないし、しかもチームメイトなんですけどね。でも関西人のプライドが許しません。それ以上のウケは欲しいところです。どうするかな?と興味津々で見ていたら「えー、今から言う質問に一番熱い(反応をしてくれた)人を選びます!」と才木投手。なるほど、そうきましたか。

「僕のことが好きな人!」と才木投手。なかなか意表を突く質問です。
「僕のことが好きな人!」と才木投手。なかなか意表を突く質問です。
さらに、マイクで「好きです」と男の子に告白(笑)
さらに、マイクで「好きです」と男の子に告白(笑)

 ここで、ゆっくりと間を取り、大きな声で「僕のことが好きな人!」と言うと一斉に手が挙がりました。やがて才木投手は「君やね」と男の子を選びます。ステージに上がっても客席に背を向けたままの男の子に、才木投手は少ししゃがんで「好きです」と告白(笑)。何のことかよくわからなかったと思いますけど、ボクもこれから応援してあげてくださいね。

 締めで、福永投手は「1軍はあした(14日)からCSが始まります。応援していただいて阪神タイガースが日本一になれるよう、よろしくお願いします!」と挨拶。次に「阪神の応援もですが…」でいったん止まった才木投手。わ、この雰囲気。何か言っちゃいますか?「きょうの福永さんのトーク術を持って帰る、この才木浩人にも注目お願いします!」。負けていませんでした。

関西人×関西人のグッジョブ

 終ったあと、福永投手に「しゃべることは事前にしっかり準備していた?」と聞いたら「準備はしてません。どんな質問がくるかわからないんで、何も考えてないですよ」と言います。すごいですね。その対応力は試合に生きますね。「試合には生きないでしょう(笑)。なんとか盛り上げることができてよかったです!」。チームの代表として行ったからには、という使命感だったようで。お疲れ様です。

 そして、最初は圧倒されていたように見えたけど、しっかりついていきましたね!と声をかけたら、才木投手は「イージーです」と、ちょっとドヤ顔。やっぱり関西人×関西人だなあと思って、ちょっと調べてみました。2010年以降ですが、このイベントに参加した阪神の選手はこんな顔ぶれです。

トリを務めた中日の石垣雅海選手と
トリを務めた中日の石垣雅海選手と
木下雄介投手も、なかなかの盛り上げでした。
木下雄介投手も、なかなかの盛り上げでした。

 2010年が田上健一選手と清原大貴投手、2011年が二神一人投手と中谷将大選手、2012年が西田直斗選手と松田遼馬投手、2013年が金田和之投手と北條史也選手、2014年が岩貞祐太投手と陽川尚将選手、2015年が横田慎太郎選手と植田海選手、2016年が横山雄哉投手と望月惇志投手。2人ともが関西人というのは、意外とないものですね。

 チーム関西人…じゃなくてチーム阪神が引き揚げる時にステージから呼ばれたのは、大トリを務める中日の木下雄介投手(24)と石垣雅海選手(19)。すれ違う際に、木下投手は「福永、しゃべりすぎや~」とひとこと。でも福永投手にとっては誉め言葉に聞こえたことでしょう。いい笑顔を残して去っていきました。

 この2人も13日に宮崎へ入っていますが、まだ登板機会がありません。まずお天気を“どげんか”したいですね。

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事