シリア内務省は新型コロナ対策として日本など26カ国からの入国を禁止、軍は物流を停止、戦闘は小康状態
シリア内務省の決定
シリア内務省は20日、新型コロナウィルス感染予防策として、中国、イタリア、イラン、韓国、スペイン、ドイツ、フランス、米国、日本、ベルギー、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランドの国民の入国を2ヶ月禁止することを決定したと発表した。
また、アラブ連盟加盟国のカタール、バハレーン、UAE、クウェート、エジプト、イラク、レバノン、サウジアラビア、アルジェリア、チュニジア、モロッコの国民についても、入国を1ヶ月禁止すると合わせて発表した。
入国規制は、シリアの在住資格、事前の入国許可の有無にかかわらず行われる。
一方、これらの国から帰国するシリア人については、疾病の症状がない場合は、14日間外出を控えて自宅に待機し、調査チームの経過観察を受けることを、症状がある場合は、ダマスカス郊外県のドゥワイル地区にある隔離施設に滞在することを決定した。
国営のシリア・アラブ通信(SANA)が伝えた。
なお、シリア保健省によると、政府支配地域で新型コロナウィルスの感染は確認されていない。また、クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)が主導する北・東シリア自治局支配地域、トルコの占領下にある北部のいわゆる「ユーフラテスの盾」地域、「オリーブの枝」地域、「平和の盾」地域、そしてシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が主導する反体制派地域(イドリブ県)でも、新型コロナウィルスの感染者は確認されていないという。
シリア軍の決定
シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、新型コロナウィルス感染予防策として、4月22日までの約1ヶ月間、すべての物流・兵站を停止することを決定したと発表した。
また、物流・兵站にかかる延滞への一切の法的措置についても停止すると発表した。
戦闘は小康状態に
英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、5日のロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効してから15日目となる3月20日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。
シリア軍はイドリブ県のファッティーラ村を砲撃、反体制武装集団もイドリブ県とラタキア県のシリア軍拠点を散発的に砲撃したが、死傷者はなかった。
一方、ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件(すべてアレッポ県)確認したと発表した。
トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)