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システム障害が起こった日、筆者も空港にいた一人だった。アメリカ国内の様子と今も続く「欠航」

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
19日、米中西部のミッチェル国際空港で(一部加工)。(c) Kasumi Abe

19日、米セキュリティーソフトの不具合により、日本やアメリカをはじめとする世界各地でシステム障害が同時多発した。これにより航空機の運航や物流、小売、金融、医療など幅広い分野に影響が及んだ。

実は筆者もこの日、アメリカ国内の空港にいた一人だった。

前日まで開催された大統領選の党大会取材でウィスコンシン州ミルウォーキーに滞在していた筆者は19日、飛行機でテネシー州ナッシュヴィルに向かう予定だった。

このシステム障害の発生については、地元テレビの朝のニュースで知った。ほかにニューヨークの空港が航空機の欠航で大混雑しているニュースも目にした。これからホテルをチェックアウトして向かうミッチェル国際空港も大混雑しているのか...。暗雲が垂れ込める予感がした。

ホテルから空港に向かうシャトルバス内でもこの話題で持ちきりだった。私は5年前、台風の影響で便が欠航となり大混雑した成田空港で乗客1万7000人と共に一夜を明かした経験がある。今回も同じようなことになるかもしれないと、心の準備をして空港へ向かった

(*フライトステータスはオンラインで確認できるが忙しくて確認する余裕がなかったのと、欠航であっても延泊はできなかったから空港に直接行くことにした)

午前11時半ごろ到着した空港には、やはりテレビニュースで見たように人々の長蛇の列が見られた。混乱ぶりをレポートしているカメラクルーの姿もある。前述の通りこの街は前日まで一大イベントが開催されていたから、今日は繁忙期の中でもとりわけ忙しい日だ。

筆者は恐る恐るフライトスケジュールを示す案内板を確認した。すると搭乗予定のサウスウエスト航空は“On time”(予定通り)とある。筆者の便だけではなく、ほかの便も同様に“On time”。「あれ?」と拍子抜けした。あの長蛇の列は一体何だろうと確認すると、フライトが“Cancelled”(欠航)になっている主要な便はデルタ航空だった。

搭乗予定の便が飛ばなくなり、人々は疲れた様子で代替便の手続きをしたり、電話で家族らしき人に報告したりしている。

19日、フライトがキャンセルになった人々で混雑するアメリカ国内の空港のロビー(一部加工済)。(c) Kasumi Abe
19日、フライトがキャンセルになった人々で混雑するアメリカ国内の空港のロビー(一部加工済)。(c) Kasumi Abe

筆者がその後、予定通りに到着したのはナッシュビル国際空港だが、この大きな空港もそして最終目的地のニューヨークのラガーディア空港も、到着ロビーを見渡す限りは一般的な夏の繁忙期の様子で、欠航により大混雑している人々の姿は見られなかった。ただし出発ロビーは出発地で見たような光景に似ており、普段より幾分混雑していた。

このデルタ航空に関しては、システム障害から3日が経った今も完全復旧には至っておらず、混乱が続いている。同社ではシステム障害が発生して以来、予定されていた運航本数の約30%が欠航したという。現地時間の今日(22日)午後1時半の時点でも、予定フライトの約20%にあたる778便が欠航になっていると米メディアは伝えている。

筆者が搭乗した航空会社はたまたま今回のシステム障害の影響を受けなかったが、アメリカ国内では今もまだ多くの人々が予定フライトに乗れず、空港で足止めになっている。一日も早い復旧を願う。

(Text and photos by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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