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厳選!今季のなでしこリーグを彩った17のスーパーゴールをダイジェスト動画と共に振り返る

松原渓スポーツジャーナリスト
今季のなでしこリーグは見応えのあるゴールシーンが多かった(写真:アフロ)

 今季、なでしこリーグでは、全90試合で「273」のゴールが生まれた。見事な連係プレーから生まれたゴールもあれば、「わかっていても止められない」力強いゴールや、リプレイで何度も見返したくなるスキルフルなゴールもあった。

 なでしこリーグは男子サッカーや海外の女子サッカーに比べて、攻撃時にパスを細かく繋いでコンビネーションから崩して決めるゴールが多い。だが、今季は個の強さを感じさせるゴールも例年に比べて多かった印象だ。

 今季の全試合は、YouTubeの「なでしこリーグチャンネル」にて全試合ライブ配信され、アーカイブで今も見られる。また、ゴールをまとめたダイジェスト動画もあり、その中から厳選した17選手のスーパーゴールを紹介したい。各ゴールの動画は、記事内にある各節のURLから見られる。

 また、ダイジェスト映像の形で紹介できないため断念したが、守備の最後の砦であるゴールキーパーのビッグセーブも多かった。2部は動画配信サービス「mycujoo」で一部が放送され、こちらも多くのファインゴールが生まれたが、同様の理由で断念した。試合はアーカイブで見られる。

*引用は日本女子サッカーリーグの許可を得ています。

●7月25日 第2節 アルビレックス新潟レディース 2-3 浦和レッズレディース(新潟市陸上競技場) MF 塩越柚歩(浦和)

塩越柚歩
塩越柚歩

第2節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(0:55〜)

左サイドから得意のドリブルで切り込み、上半身を捻って振り抜いた渾身のミドルシュートは、インスイングのカーブを描いてポストに跳ね返り、ゴールネットを揺らした。終盤の82分に決まったこのゴールが値千金の逆転弾に。塩越は今季の浦和の攻撃力アップを支えたアタッカーの一人だ。

●8月2日 第3節 INAC神戸レオネッサ 2-0 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(ノエビアスタジアム神戸) FW 岩渕真奈(INAC)

岩渕真奈
岩渕真奈

第3節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(2:44〜)

押され気味だった試合の流れを変えた先制点。敵陣左サイドでFW田中美南のパスを受ける瞬間、右足のファーストタッチで相手をかわし、左足でファーサイドに決めた。相手との駆け引きやコースどりなど、国際経験豊富な“マナドーナ”の非凡さを感じさせるゴールだ。

●8月8日 第4節 伊賀FCくノ一三重 3-1 ノジマステラ神奈川相模原(三重交通G スポーツの杜 鈴鹿) MF 作間琴莉(伊賀)

作間琴莉
作間琴莉

第4節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(0:16〜)

ペナルティエリア右の角度のない位置から、内側に曲がるような軌道で右隅に決めた見事なキック。作間は、精度の高いパスやクロスでチャンスを演出するレフティーだ。2年前に中盤から左サイドバックにコンバートされ、直近の3シーズンフル出場で伊賀のアグレッシブな守備を支えている。

●8月22日 第6節 アルビレックス新潟レディース 2-0 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(新発田市五十公野公園陸上競技場) FW 児野楓香(新潟)

児野楓香
児野楓香

第6節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(2:39〜)

新潟でのルーキーイヤーながら、シーズン序盤からコンスタントにゴールを決めていた児野は、4節からこの試合まで3試合連続得点を記録。巧みにマークを外す動きに加え、細かいステップとこぼれ球への反応の速さが印象的な先制点。ゴール前で相手よりも一歩早くボールに反応して決める“嗅覚”は、サムライブルーのFW岡崎慎司選手を彷彿させる。

●8月30日 第7節 浦和レッズレディース 2-1 アルビレックス新潟レディース(浦和駒場スタジアム) FW 菅澤優衣香(浦和)

 菅澤優衣香
菅澤優衣香

第7節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(2:28〜/2:57〜)

今季得点女王になった菅澤は、この試合で前半終了間際の4分間に、強烈なインパクトを与える2ゴールで試合の流れを引き寄せた。1点目は胸トラップからの豪快なバイシクルシュート。2点目はFW清家貴子のシュート性の鋭いクロスを頭で押し込んだ。スピード溢れる突破を持ち味とする清家の力強いクロスも印象的だ。

●8月30日 第7節 日テレ・東京ヴェルディベレーザ 4-1 マイナビベガルタ仙台レディース(味の素フィールド西が丘) MF 長谷川唯(ベレーザ)

長谷川唯
長谷川唯

第7節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(4:05〜)

今季は自己最多の7得点でチームを牽引した長谷川。その多くが鮮やかなループシュートで、見る者を楽しませた。中でも、長谷川の高い技術と創造力が表れたこのゴールをベストゴールに挙げたい。完璧にコントロールされた正確無比な軌道で左サイドネットを揺らし、勝利を決定づけた。

●8月30日 第7節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース1-2 ノジマステラ神奈川相模原(フクダ電子アリーナ) MF松原有沙(ノジマ)

松原有沙
松原有沙

第7節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(5:03〜)

ゴールまで25m近くはありそうな位置からのミドルシュート。ライナー性のシュートかと思いきや、ボールはゴール手前で予想外の落ち方を見せ、鋭く曲がってゴール右隅へ。リーグ随一のキック力を誇る松原のシュートレンジの広さを再確認できた一発。しかも、利き足ではない左足だった。

●9月5日 第8節 愛媛FCレディース 1-5 日テレ・東京ヴェルディベレーザ(ニンジニアスタジアム) FW 小林里歌子(ベレーザ)

小林里歌子
小林里歌子

第8節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(0:08〜)

背中で相手との間合いを計り、鋭いターンから強烈なシュートをゴール右上に決めた。しなやかなボールタッチと判断力の良さを生かし、周りを生かすプレーだけでなく、個での打開も増えた小林。今季決定率ナンバー1のシュート技術の高さに加え、シュートレンジもさらに広くなった印象を受ける。

●9月6日 第8節 マイナビベガルタ仙台レディース 0-1 伊賀FCくノ一三重 (かくだスポーツビレッジ内角田市陸上競技場) MF 杉田亜未(伊賀)

杉田亜未
杉田亜未

第8節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(1:38〜)

相手選手の壁に当たって軌道が少し変化しており、GKにとってはほとんど死角になっている。ゴール右上の「ここしかない」というコースに鮮やかに決め、貴重な勝利を呼び込んだ。攻守に労を惜しまないハードワーカーは、時に鮮やかなテクニックでチームを支えた。

●11月1日 第9節 マイナビベガルタ仙台レディース 5-0 愛媛FCレディース(みやぎ生協めぐみ野サッカー場Aグラウンド) FW 浜田遥(仙台)

浜田遥
浜田遥

第9節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(4:00〜)

「2桁得点」という目標を達成するために具体的なプランを立て、タスクを着実にこなし続けた結果、15得点と有言実行のシーズンだった浜田。体を張ったポストプレーも光った。この試合ではハットトリックを達成。中でもMF佐藤瑞夏のライナー性のフリーキックを頭で決めたこのゴールは印象的だった。

●9月12日 第10節 浦和レッズレディース 2-1 伊賀FCくノ一三重(浦和駒場スタジアム) MF 猶本光(浦和)

猶本光
猶本光

第10節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(0:24〜)

インサイドで擦り上げるようにコンパクトに振り抜くと、ボールは壁の上を超え、直線的な軌道でゴールへ一直線。今季、リーグ女王に輝いた浦和の強さの一つがセットプレーの得点力だった。その陰には、正確なキックでターゲットに合わせ、多くのゴールを演出した猶本の存在がある。

●10月4日 第13節 セレッソ大阪堺レディース 2-1 アルビレックス新潟レディース(J-GREEN堺S1メインフィールド) FW 矢形海優(C大阪堺)

矢形海優
矢形海優

第13節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(2:34〜)

トップスピードで相手の背後に抜け出し、逆サイドネットを揺らしたスーパーゴール。今季のなでしこリーグに桜旋風を巻き起こしたC大阪堺で、矢形は全試合に先発。アグレッシブな守備やタイミングの良い抜け出しで攻撃を活性化し、チーム最多の8ゴールを挙げた。

●10月11日 第14節 伊賀FCくノ一三重 0-5 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(上野運動公園競技場) FW 大滝麻未(千葉)

大滝麻未
大滝麻未

第14節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(5:05〜)

右サイドからのクロスにバックステップを踏み、長い脚で落下地点を叩いたボレーが鮮やかに決まった。フランスの強豪オリンピック・リヨンをはじめ、海外経験も豊富なストライカーは今季、印象的なゴールを数多く決めている。中でも、このボレーは特に鮮やかだった。

●10月18日 第15節 INAC神戸レオネッサ 4-1 日テレ・東京ヴェルディベレーザ(ノエビアスタジアム神戸) FW 田中美南(INAC)

田中美南
田中美南

第15節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(7:15〜)

MF中島依美からのパスを下がりながらファーストタッチでコースを作り出すと、左の膝下を鋭く振り抜き、重さを感じさせる強烈なミドルシュート。田中は今季、ゴール前での仕事に加えて中盤でゲームを組み立てることが多くなり、エリア外からのシュートが増えた。スペースがない中でも確実に枠を捉えるところはさすがの一言だ。

●11月8日 第16節 浦和レッズレディース 5-1 愛媛FCレディース(浦和駒場スタジアム) FW 上野真実(愛媛)

上野真実
上野真実

第16節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(7:36〜)

左コーナーキックで、中央からニアサイドに走り、アウトサイドに当てて角度を変えて決めたスーパーゴール。今季最多の観客が入り、愛媛にとっては完全アウェーの雰囲気で行われた首位の浦和との一戦で、一矢報いる1点だった。難易度の高いゴールを自然体で決めてしまうところも上野らしい。

●11月15日 第17節 セレッソ大阪堺レディース 2-0 INAC神戸レオネッサ(ヤンマースタジアム長居)FW 浜野まいか(C大阪堺)

浜野まいか
浜野まいか

第17節ダイジェスト/なでしこリーグ公式チャンネル(8:13〜)

ペナルティエリア外から思い切りの良いシュートが鮮やかに決まった。14歳からトップチームでプレーし、16歳になった今季、1部で6点を決めた大器。オフザボールの質の高さやスピードを生かし、強豪チームや代表選手たちを相手にしても堂々たるプレーを見せた浜野の活躍は、今季のサプライズの一つだった。

※文中の写真はすべて筆者撮影

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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