中国で流行の「ヒトメタニューモウイルス感染症」とは。過度に注意する必要はないが感染症対策には留意を #専門家のまとめ
中国で感染者が増えているヒトメタニューモウイルス感染症が話題ですが、この病気と留意点などについて考えてみます。ヒトメタニューモウイルス感染症は、咳や発熱などの風邪の症状が特徴で、乳幼児や高齢者、基礎疾患がある人などがかかると重症化することがある感染症の一種です。耳なじみのない病気ですが、ウイルス自体は以前からあった風邪を引き起こす病原体であり、中国から新たに出現した感染症でもなければ現時点で特に大流行しているわけでもなさそうです。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は2001年に呼吸器感染症を引き起こすウイルスとして発見されましたが、それ以前もずっとヒトに風邪症状を引き起こす病原体として存在していたものです。
ヒトメタニューモウイルス感染症は、成人や健康な人などが感染しても風邪症状ですみ、数日から一週間程度、栄養を摂って安静にしていれば自然に治る病気です。
ただ、乳幼児や小児、高齢者、基礎疾患のある人が感染すると、気管支炎や肺炎などの重篤な呼吸器感染症につながることがあり、高齢者施設で集団感染の事例もあるので、そうした人へ感染させないように注意が必要です。
ヒトメタニューモウイルス感染症は欧米で冬季に患者の増加が示され、中国における流行の規模も今のところ例年と同じ程度とされ、過度に注意する必要はなさそうです。
ヒトメタニューモウイルスはエンベロープという膜を持っているため、アルコールによる減菌や石鹸による手洗いなどが有効です。
こまめな手洗いとうがい、公共交通機関や人混みの中でのマスクの着用、定期的な換気など、ヒトメタニューモウイルス感染症に対しても同じような感染拡大防止対策が効果的とされています。