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第1次安倍政権のデジャブが甦ってきた?!

鈴木崇弘政策研究者、PHP総研特任フェロー
安倍政権の行方は?(写真:ロイター/アフロ)

最近の安倍政権(第3次安倍政権)をみていると、2006年に成立し短命に終わった第1次安倍政権の状況がデジャブ(既視感)のように甦ってきているのではないかと感じる。

2012年12月自民党は衆議院総選挙で大勝し、第2次安倍政権が誕生した。安倍晋三自民党総裁は、総理に就任すると、第1次安倍政権時における経験と失敗を踏まえて、自身のカラーを抑え、アベノミクスに象徴される、また国民の最大に関心事である経済政策や経済外交に特化・注力し、長らく低迷してきた日本経済に変化を生み、それなりの成果を収めた。そして国民からの内閣への高い支持を得ることに成功してきた。

ところが、安倍総理が、自身のカラーをより前面に出してきたといえる昨年7月の集団的自衛権の閣議決定以降(注1)、特に最近は議員などの失言や国民の反発や疑問などの多い問題が頻繁に起きてきており、若干の上下はあるが、全体としては急速かつ確実に内閣支持率が低下してきており、去る7月の世論調査では、内閣の支持不支持率が逆転したのである。

それは、第1次安倍政権における郵政造反組復党問題(注2)を巡っての対応とその後のさまざまなスキャンダルや対処の不味さに対して、国民の内閣への支持は一貫して低下し、その後内閣支持不支持率が逆転した状況に非常に酷似している。

詳しくは、表「第一次安倍政権」「第2、3次安倍政権」をみていただきたい。

そして、第1次安倍政権の結末をみるとわかるように、小泉政権時とは異なり、支持率を改善することはできず、支持不支持率の高低が逆転してからの内閣は非常に短命(短期に内閣が瓦解した)だったことである。

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現在起きつつある第1次安倍政権のデジャブ状態が今後さらに進行し、第3次安倍政権に一体何が起きるのか。今の流れをリバースあるいはリカバリーできるようなきっかけが全くといっていい程予想できないような現状において、非常に注目されるところである。

特に、9月という月は、日本の政治において、大きな変動が起きることが多い「魔の月」「激動の月」。自民党内では、同月の総裁選において、安倍氏の再選か無投票選出が予想され、その後の人事に関心が移っているようである。しかし、筆者はそう簡単かつ一直線に物事は進まないと考えている。むしろ、第1次安倍政権のように、秋の落日のつるべ落としのようになってしまうこともありうるのではと考えている。あるいは何か、奇策があるのかもしれない。目が離せないところだ。

(注1)この閣議決定に対しても国民の反発は非常に強かった。また「特定秘密保護法(案)」も国民の反対や反発は強いが、同法案はもともとは民主党政権の時に検討されていたものである。

(注2)2005年の郵政民営化選挙で、国民は小泉総理(当時)が行った民営化に反対する議員(造反議員)を自民党候補者として認めず、刺客(別の自民党候補者)を送るという対応を強力に支持した。造反組復党は、その国民の支持を否定することを意味した。

政策研究者、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。経済安全保障経営センター研究主幹等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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