自分を変える強烈な「2種類のインパクト」とは?
大量の「きっかけ」を通じて自分を変える
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。企業の現場に入り、人を変え、組織を変えるのが仕事です。とはいえ、人を変える「きっかけ(トリガー)」は1種類ではありませんし、1回の「きっかけ」で人が劇的に変わることはないと言えるでしょう。
思考パターンは「インパクト×回数」でできています。
自分の考え方、価値観を変えるのであればインパクトのある「きっかけ」よりも、回数を意識し、いろいろな体験を通じて小さな「きっかけ」をたくさん手に入れることで徐々に自分を変えることができます。
(※参考記事:人が大きく変わる53種類の「きっかけ」とは?)
しかし、明白な何かに変わりたいというのではないし、
「今の自分ではない、別の何者かにはやく変わりたい」
と急いでいるなら、あえて「インパクト」を意識してもいいでしょう。
そもそも「インパクト」とは何か?
インパクトとは「ギャップ」のことを指します。いつも衝撃的なニュースが自分の思考パターンを変える「インパクト」になるかというと、必ずしもそうではありません。日ごろ慣れ親しんだ状態とのギャップを体験すれば、それが「インパクト」となるのです。
刺激のない日常に、刺激のある体験をすれば、その体験が「インパクト」です。
刺激のある日常に、刺激のない体験をすれば、その体験が「インパクト」です。
ちなみに私はノイジーで多忙な毎日を送っているため、ひとたび「穏やかで変化のない時間」を1日でも体験すると、私には強烈な「インパクト」となります。ネットワークが繋がらない南の島に、紙とペンだけを持って訪れたら、たった1週間であったとしても、私の思考パターンは劇的に変わることでしょう。
次に、刺激の「ある」「なし」ではなく、刺激の種類に着目してみます。その種類とは「快」と「痛み」です。
快適な日常に、痛みを伴う体験をすれば、その体験が「インパクト」です。
ツライ日常に、快楽を伴う体験をすれば、その体験が「インパクト」です。
私は優秀な経営者に対し、かなり激しく「もっと高い目標を設定して絶対達成しろ!」と煽ったりします。そう言われてドン引きする人は、残念ながら現在うまくいっている社長ではありません。すでに成功している社長やトップセールスほど、激しく言われれば言われると「よーし! やってやろうじゃないか!」と燃えてくるものです。なぜならすでに現状が「快適」であるからです。手に入れたいものを手にし、すでに満足した日常を送っているため「痛みを伴う刺激的な体験」が、効果的に思考パターンを変化させる「インパクト」になるのです。
反対に、うまくいっていない経営者や会社員であれば、快適で幸せな未来をイメージさせる体験が「インパクト」に繋がるでしょう。「痛み」を伴う刺激ではなく、体の感覚器官に「快」の刺激を与えるのです。
自分の「優位感覚」を知ろう
人間は感覚器官を通して刺激を受け取っています。「五感」によって世界を認識しているのです。五感とは、「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「臭覚」を指します。そのため「快」と「痛み」の刺激を意識するとき、これらの感覚が複数混ざり合っていると、さらに「インパクト」が大きくなります。
不快な映像だけでなく、そこに心無い言葉や、身体的な打撃、酷いニオイなどが加わると、その「インパクト」はこの上なく強烈になります。いっぽうで、美しい景色、心を穏やかにする音楽や自然界の響き、香り、頬を撫でる風……が同居すると、同じように「インパクト」は大きく強くなります。
ただ、それほど複数の感覚を同時に得る体験はなかなかないでしょう。そこで自分に優位な感覚を特定し、その感覚に焦点を合わせた刺激を選ぶのがてっとりばやいと言えます。
これを「優位感覚」と言います。「視覚(Visual)」「聴覚(Auditory)」「体感覚(Kinesthetic)」の頭文字をとって「VAK」と呼ばれ、自分にとって、どの感覚が一番敏感に反応するかを知る手掛かりになります。
(味覚と嗅覚は体感覚に含まれる)
自分自身の「優位感覚」を知るテストのようなものもあります。探してやってみましょう。優位度テストをすることで、自分は「視覚情報」によく反応するのか、それとも「聴覚情報」に反応しやすいのか、それともそれ以外の何か別の「感覚的な情報」に反応するのか、知ることができます。
ただ、ラストの「感覚的な情報」というのは、やはり視覚器官か聴覚器官を通じて入手することが一般的です。したがって、インパクトのある刺激で自分を変えたいと思うなら、いつも慣れ親しんだものよりもギャップのあるビジュアルか、言葉・音楽などに触れることです。いつもと違うファッションをしてもいい。周囲の人とは違う言葉を発する人との交流がわかりやすいと言えるでしょう。