熱中症か、高松市の女児二人死亡、車内で意識失い救急搬送:子供の車内事故の心理学
■熱中症か 高松市で6歳と3歳女児が死亡 車の後部座席で意識失い救急搬送
残暑が続く中、また悲しい事故が起きました。
2人の子供は、どんなに苦しかったことでしょうか。通報した母親は、今どんなに辛い思いをしていることでしょうか。
*母親逮捕の続報を受け、新しいページもアップしました(9/8)。
■人々の反応と効果的な対策
このようなニュースのたびに、「馬鹿な親」とか「愛がない」「注意力がない」「信じられない」などの非難が起きます。
たしかにそうかもしれませんが、そうでないかもしれません。
「これだけ報道されてもまだわからんのか!!!」
「車の中は相当暑くなる。ドライバーなら常識」
「信じられない~母親としてあり得ません」
ヤフーコメントにも、こんな言葉が並びます。
今回の出来事の詳細は分からないのですが、被害の悲惨さを思えば、親を非難したくなる気持ちもわかります。
けれども、その個人を責めるだけでは、ヒューマンエラー(人間によるミス、失敗)は防げません。子育て中の親に、いくら注意を促しても、説教をしても、それで防げるものでもありません。
ヒューマンエラーを防ぐためには、なぜこんな悲劇が起きたのかを考え、次の悲劇を防ぐ工夫をしなければなりません。
■車内で子供が熱中症になるケース
エンジンをかけエアコンをつけても、何かの拍子でエンジンが止まることもあります。
エアコンがついていても、子供のいる後部座席まで涼しくならず、直射日光が当たり熱中症になることもあります。
親がドアを閉めるときのキーの閉じ込めもあります。また子供がロックしてしまうこともります。
そして、親が子供を車内に置き忘れることもあります。考えられないと思うかもしれませんが、愛も能力もある親が、忘れることもあるのです。
海外では「赤ちゃん忘れ症候群」と呼ばれることもあります。
<子ども車内置き忘れは私にも!?:赤ちゃん忘れ症候群:記憶とヒューマンエラーの心理学>
■悲しい事故を防ぐために
たとえば飛行機は、事故が起きるたびに、問題が改善され安全性が増していきました。
金属が突然破壊される「金属疲労」も、飛行機事故の調査からわかった現象です。
パイロットは、高度な訓練を受け、普通の人以上に責任感が強い人でしょう。しかも大きな旅客機なら、複数の人がコクピットにいます。
それにもかかわらず、様々なヒューマンエラーで、飛行機事故は起きてきました。着陸時に車輪を出し忘れた事故もあります。
離陸時にフラップ(翼の後ろについていて揚力を高める装置)を出し忘れ、離陸できずに大きな事故が起きたこともあります。
考ええられないミスですが、起きてしまいまうのです。飛行機事故の場合は、莫大な予算と労力をかけ、徹底的に機械的な故障の有無を調べ、そのあとで、ヒューマンエラーを疑います。
ヒューマンエラーだと結論付けられれば、当人の処罰だけでなく、今後のミスを防ぐために、訓練課程が変わったり、チェック方式が変えられてきました。
ところが、家庭内の個人によるヒューマンエラーは、個人を責めるだけで終わりがちです。これでは、同様の事故が防げません。
多くのヒューマンエラーの背景には、焦りや疲れがあります。時には、まじめな人ほど、焦りや疲れが生まれることもあります。
寝ている子供を起こすのはかわいそうと思う優しさが、悲しい事故につながることもあります。
めったにないことだけれども、起きれば命にかかわるミスを防ぐことは、簡単ではありません。機械のハード的な面と、人間の心理と行動のソフト的な面の、両方の対策が必要です。
冷静で詳細な調査と考察から、効果的な対策を練っていきたいと思います。
*補足:母親が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されました。
報道を受けて、ページをアップしました。