リクルートとサイバーエージェントの企業文化の比較と共通点
少し前のニュースにはなってしまいますが、株式会社リクルートホールディングスと株式会社サイバーエージェントが共同で合弁会社を設立したというニュースが流れました。
両社共同の新規事業創出プロジェクト「FUSION(フュージョン)」発の事業として生まれた従業員のコンディション変化の兆しを発見する企業向けツール「Geppo(ゲッポウ)」の事業化を決定したそうです。
ここ数年で両社のアライアンスが進んでおり、距離がかなり近くなっていると感じています。サイバーエージェントは以前から買収や統合をせずに、自分たちでゼロから創って伸ばす方針を採用していました。
なぜリクルートだけとは積極的に手を組むのでしょうか。
両社を経験した私が、転職エージェントの立場として見た共通点をまとめました。
リクルートとサイバーエージェントの関係
サイバーエージェントは2006年まで社外取締役がいましたが、そこからは不在が続いていました。これは藤田晋社長が、形式的な社外取締役の設置は不要だと考え、社外取締役にも自社の企業理念や企業文化への理解を重要視してきたからです。
そういった中で選ばれたのが中村恒一氏です。株式会社リクルートホールディングス取締役相談役を務めていた中村恒一さんが、2016年にサイバーエージェントの社外取締役に就任しました。この就任の経緯は日経新聞WEB版の「藤田晋氏の経営者ブログ」に詳しく書かれています。
またサイバーエージェントはリクルートが長年運営していたフリーペーパーとWebサイト「R25」を譲り受けており、2017年9月19日にニュース解説メディア「新R25」ブランドとして再出発しています。
これらは両社の企業文化が非常に似ているからこそ実現できているのではないでしょうか。
なぜそれほどまで両社の文化は似ているのでしょうか。
リクルートとサイバーエージェントの企業文化
そもそも藤田晋社長が新卒で入社した株式会社インテリジェンスは宇野康秀さんや鎌田和彦さんなどリクルートグループOBが設立した会社です。
※藤田社長が学生時代にアルバイトしていたベンチャー企業株式会社クラウドポイント(旧オックスプランニング)もリクルート出身者が創業した会社です。
サイバーエージェント共同創業者の日高裕介さんもインテリジェンス出身であり、藤田社長とは同期入社の間柄です。
藤田社長も日高専務もインテリジェンスにはわずか1年ばかりの在籍ですが、仕事への取り組み方や仕事の価値観は新卒で入社した会社にかなり影響されます。
図らずもサイバーエージェントはリクルート文化を受け継いだことになりました。
リクルートとサイバーエージェントの共通点
企業文化や企業風土というのは目に見えないため、本来はわかりづらいものです。
会社の中にいると、より見えづらくなるため、「転職して初めて辞めた会社の良さがわかった」という人も多いのではないでしょうか。
しかし、リクルートやサイバーエージェントは企業文化が明確になっており、「見える化」が出来ています。
リクルートとサイバーエージェントも「起業家精神をもっている人が多い」「フラットなコミュニケーション風土」「若いうちから大きな仕事の機会がある」等の数多くの共通点が挙げられますが、一貫性があるのも共通点です。
会社によっては成果主義や実力主義を価値観やルールで謳っていても、実際のところは人事評価が年功序列だったり、昇格条件において成果以外の割合が大きかったりします。いくら明文化していても体現できていなければ何の意味もありません。
リクルートとサイバーエージェントは両社とも価値観やビジョンに一貫性があり、従業員がそれを体現できているのが強みです。
ブレがない経営は働く従業員にとっても高いモチベーションに繋がります。その結果、高い愛社精神にも繋がっていきます。最初から愛社精神を求める経営者もいますが、まずは経営者の信念がしっかりしていなければ愛社精神は生まれません。
共通した企業文化は相乗効果を生む
転職活動ではスキル経験・本人の性格・待遇条件などの複数視点のマッチングが必要ですが、ここ最近の20代/30代の若手ビジネスパーソンの中では特に企業文化のマッチングに対して優先度は高いです。
いくら本人のスキルや経験が高くても、企業文化が合わなければ実力を発揮する事は難しく、単純に「居心地の悪い会社」になってしまいます。
その点で言えばリクルートからサイバーエージェントに転職する人、逆にサイバーエージェントからリクルートに転職する人は一定数いますが、企業文化が近いため、すんなり溶け込む人が多いように思えます。
両社はお互いに認め合っている良き理解者と言えるかもしれません。
まとめ
アライアンスの目的として「お互いの足りていない部分を補う」という側面もあります。
リクルートとサイバーエージェントの場合は、お互いの良い部分を認め合い、さらに高め合うことで相乗効果を期待できからこそ、両社共同の新規事業創出プロジェクトという難題に挑戦できていると思います。
両社の新規事業が社会に対して新しい価値を提供し、成功することを祈っています。