「令和の米騒動」から考える人材不足とリスキリングによる解決
こんにちは。アクシス株式会社 代表・転職エージェントの末永雄大です。
中途の人材採用支援をしつつ、月60万人以上の読者を持つ「すべらない転職」という転職メディアを運営している中で、Yahoo!ニュースでは2013年から「働き方3.0」というテーマでキャリアや雇用分野について発信させてもらっています。
日本で米不足が深刻化している中、家庭や外食産業に大きな影響が広がっています。昨年の猛暑や需要の増加が相まって、米の価格は過去20年で最大の上昇を記録し、買い占めのような行為がみられたり、それと同時に本当に必要とする人へいきわたりにくくなったりと、多くの家庭が頭を悩ませています。
米3袋を持ってレジに並んだら「買い占めやだね~」 4児の母の苦悩 品薄騒動が起こるたびに注がれる冷めた目(Hint-Pot) - Yahoo!ニュース
需要の高まりとは反対に、減反政策や農家の高齢化による生産量の減少、気候変動による異常気象などを原因に、供給は減少傾向にあります。
第一次産業に携わる人の高齢化は深刻な問題です。また、第一次産業に限らず、多くの業界で人材不足が深刻な問題となっています。
特に専門的な技術や知識を要する分野では、即戦力となる人材の確保が難しいと言えます。こうした状況に対応するために、リスキリング(再教育・再スキル習得)の必要性が強く求められています。
ここでは企業社会の人材不足について、リスキリングという観点からのアプローチを考えていきたいと思います。
人材不足の原因と企業への影響
まず、人材不足の根本的な原因として挙げられるのが、少子高齢化です。それを受けて、新たな働き手の減少、労働者の高齢化、労働人口全体の減少も見られ、多くの企業が人材の確保に苦労しています。
また、技術の進歩に伴う産業構造の変化も影響を与えています。従来の業務が自動化やAI技術の導入によって変化しており、企業は新たなスキルを持つ人材を求めていますが、現場のニーズに合致するスキルを持つ人材は不足しているのが現状です。
このような人材不足が続くと、生産性の低下にもつながり、企業の成長を妨げることになります。
さらに、人材が不足することで、一人ひとりにかかる業務負担が増え、社員のモチベーションの低下や、長時間労働による健康問題なども引き起こされます。結果として、さらなる離職率の上昇を招き、人材不足がさらに深刻化するという悪循環に陥る可能性もあります。
リスキリングによる解決策
こうした状況下で、企業が人材不足に対応するために有効な手段の一つがリスキリングです。リスキリングとは、既存の社員に新しいスキルや知識を習得させることを言い、企業の
IT化や技術の発展に伴い新たに必要となった業務や職種に順応するという目的があります。
リスキリングには大きく二つのメリットがあります。
まず、既存の労働力を最大限に活用できることです。
新たに人材を採用することが難しい場合、既存の社員を育成し、彼らのスキルを向上させることで、人材不足を補うことができます。
例えば、デジタル技術の進展によりITスキルが求められる現代では、社内でのデジタルトレーニングやプログラミング教育を行うことで、社員がより多様な業務に対応できるようになります。
また、リスキリングは社員のキャリアパスの多様化にもつながります。
一つの職務に縛られることなく、複数の分野で活躍できる社員を育成することで、企業は急な業務変更や事業拡大にも柔軟に対応できる組織を構築することができます。
これにより、離職率の低下や社員のモチベーション向上にもつながり、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。
まとめ
人材不足が深刻化する現代において、リスキリングは企業が持続的な成長を遂げるための重要な戦略です。少子高齢化や技術革新に対応するためには、新規採用だけに頼るのではなく、既存の社員に投資し、彼らのスキルを高めることが欠かせません。
リスキリングを通じて、多様なスキルを持つ人材を育成することは、企業の競争力を高め、変化の激しい市場での生き残りを図るための鍵となるでしょう。