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コロナ後遺症や骨髄提供から考える企業の休暇制度について

末永雄大アクシス株式会社代表取締役兼キャリアコンサルタント
(写真:アフロ)

こんにちは。アクシス株式会社 代表・転職エージェントの末永雄大です。

中途の人材採用支援をしつつ、月60万人以上の読者を持つ「すべらない転職」という転職メディアを運営している中で、Yahoo!ニュースでは2013年から「働き方3.0」というテーマでキャリアや雇用分野について発信させてもらっています。

収束したように思われた新型コロナウイルスですが、7月に第11波が到来し、まだまだ予断を許さない状況にあります。また、感染者が落ち着いてくると増える後遺症についても不安が残ります。

これまでは新型コロナの後遺症として、せきや味覚障害・嗅覚障害などがありましたが、それに加えて「クラッシュ」と呼ばれる症状もあるようです。

Q.「クラッシュ」はどんな症状でしょうか
 「一般的な医学用語ではないのですが、コロナの後遺症の患者さんがストレスを抱えたときに、急激に症状が悪化する方が一定数います。急に倦怠感とか疲労感が出てしまい、突然動けなくなるような症状。それを“クラッシュ”と表現しています」(柊みみはなのどクリニック大府柊山 内藤孝司院長)
どうして動けなくなるのか?ー「クラッシュ」とは、倦怠感など軽いコロナの後遺症が残っている中、仕事を頑張りすぎたり、激しい運動を続けたりすることで、ストレスが許容範囲を超えてしまい、ほとんど動けなくなり、3日以上寝込んでしまう慢性疲労症候群のことです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/800de428237f6ed879ab1d152704edb996fe8296

この症状は倦怠感などの軽い後遺症を残したまま、活発な活動を行うことでストレスに繋がることが原因として挙げられるようです。

療養期間明けで、休んでいた分の穴埋めをしなくてはいけないと感じてしまう人は少なくないと思います。休むことに対するプレッシャーのようなものが存在していることが、働く人の気持ちを落ち込ませる一因かもしれません。

またこれとは別に、X内で、白血病の小学生の骨髄適合者が16人いたにもかかわらず、全員に辞退されてしまい、提供を受けられなかったということを嘆くニュースが話題となりました。

この16人がどのような理由で辞退したのかは明らかになっていないものの、公益財団法人日本骨髄バンクの調べでは、「仕事を休めない」「ワンオペ育児中で家を空けられない」など健康理由以外の理由で辞退を申し出る人が多いことが明らかになっています。

骨髄移植には当然、準備や体調管理の必要があり、提供までに約8回の通院や平日3泊4日の入院が必要となり、仕事や時期によっては、こうしたまとまった休みを申請しにくいという人もいると思います。

育休、産休などの休暇に対しては制度の充実化が広がりつつあるものの、他の面での休暇制度はあまり知られていなかったり、企業によっては実施がなされていなかったりすることがあります。

どのような休暇制度があるか

福利厚生が重視され、企業側も制度を整えているものの、まだまだ休暇を取りにくいと感じる人は少なくないように思います。

自身の健康、家庭の事情、また、リフレッシュのため、休みを取りたいときに取れる環境にしていく必要があります。そのためにも、どのようなものが制度として存在しているかを、働く人ひとりひとりが知っておくことがその一歩になると思います。

そもそも社内制度の整備にはどういったメリットがあるのでしょうか。

社内制度が充実していることは、社員の満足度に繋がります。

逆に言うと、充実していないことで、不満を感じたり、それが離職に繋がったりすることもあるということです。

また、こうした制度の充実は新規採用のアピールポイントとしても利用できます。

近年は福利厚生やワークライフバランスを重視する人が多いこともあり、企業独自のユニークな休暇制度も多々見られます。

では、実際にはどのような休暇制度があるのでしょうか。

自身の心身の健康のために取得できる休暇として、リフレッシュ休暇があります。

企業によって規定は異なるものの、心身疲労を回復するといった目的のために取得できるものです。

前述した骨髄提供のようなケースのために、ドナー休暇制度を導入している企業があります。

適合者として選ばれても、仕事への影響を考えて辞退する人も多いため、この制度はドナー精神的・心理的な負担を軽減させることができ、ドナーから提供を受けることで多くの患者が救われるという社会的メリットにも繋がります。

また、骨髄提供と同様に複数に渡って休暇を取る必要のある裁判員制度でも、かかる日数に対して裁判員休暇を取ることのできる制度が存在しています。

裁判員制度は、基本的には辞退が難しいとされていることから、休暇を取らざるを得ません。しかし、こうした社会の利益になるものでも、自身にとっては仕事への支障が出たり、その結果、組織や同僚にとっては負担になったりすることもあり、肯定的な感情だけで受けられるものでは無いように感じます。

こうした点からも、企業が制度の整備を進めることや、予め社員ひとりひとりが休暇制度の存在を知り、理解を深めることで、自身や周りの人がそうした立場になった場合でも、快くサポートできる環境へと繋がっていくと思います。

まとめ

まずは知り、必要とする機会が訪れたら利用する。そうした意識をより多くの人が持つことで、自身のために限らず、社会全体にも貢献しうるものとして理解が広まっていくと思います。

そうすることで、普段から休暇へのサポート体制が充実し、急なトラブルでも周囲への申し訳なさを感じたり、自身への負担となることなく、互いに支え合うことのできる働き方ができるようになるでしょう。

アクシス株式会社代表取締役兼キャリアコンサルタント

青山学院大学法学部卒。新卒でリクルートキャリア(旧リクルートエージェント)入社。 リクルーティングアドバイザーとして様々な業界・企業の採用支援に携わる。東京市場開発部・京都支社にて事業部MVP/西日本エリアマーケットMVP等6回受賞。その後サイバーエージェントにてアカウントプランナーとして最大手クライアントを担当し、 インターネットを活用した集客支援を行う。2011年にヘッドハンター・キャリアコンサルタントとして独立。2012年アクシス株式会社を設立。代表取締役に就任。キャリアコンサルタントとして転職支援を行いながら、インターネットビジネスの事業開発や社外での講演活動等、多岐にわたり活躍する。

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