物流の2024問題から考えるワークライフバランスへのアプローチ
こんにちは。アクシス株式会社 代表・転職エージェントの末永雄大です。
中途の人材採用支援をしつつ、月60万人以上の読者を持つ「すべらない転職」という転職メディアを運営している中で、Yahoo!ニュースでは2013年から「働き方3.0」というテーマでキャリアや雇用分野について発信させてもらっています。
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2024年4月にトラック運転手の時間外労働を制限する働き方改革が開始されてから4か月が経過しました。長時間の残業による健康被害が多発したことを理由とする働き方の見直しである一方で、運送能力の低下や、人員の不足といった新たな問題が発生し、物流業界には大きな影響が出ています。
また、時間が制限されたことで今までよりも給与が少なくなることを嘆くドライバーもおり、自身の健康を維持しつつも、それぞれの生活や社会全体の利益を守る方法をとる必要があると考えられます。
近年、就職売り手市場が続いていたり、転職が以前よりも一般的になったことで、人手不足が深刻となっている業界も多くあります。
マイナスなイメージが先行して人気がなかったり、離職率が高かったりすることで加速するような人手不足は、どのように改善を図るべきなのかについて考えたいと思います。
不人気な職業の原因と改善アプローチとは?
上記のアンケートから、「やりたくない」「どちらかと言えばやりたくない」という回答の多い職業は、営業や介護・医療関連が目立つように感じます。
確かに、就職活動をするなかで「営業はちょっと…」という考えを持っている学生は多いように感じます。営業職のイメージとして、多くの人にアプローチすることが考えられ、コミュニケーションの面で不安を感じることが理由と思われます。
また、介護職は近年の高齢化によって需要が高まっている職種である一方で、利用者とのコミュニケーションが必要であることから精神的な負担と、さまざまな行動の介助等の身体的な負担の両方を感じることから、“辛いイメージ”がついてしまっているものと思われます。
こうした職種の不人気や人手不足を解消するために考えられる策の一つが賃金の引き上げです。
初めに書いたように、トラック運転手の中には改革によって残業時間が制限されたことで給与が下がったことを嘆いている人がいます。
改革はドライバーの健康のために作られた必要なものであり、当然、生活を苦しくしたいわけではありません。また、ドライバーがより多くの給与を得るために働きたいと考えるのも理解できます。
つまり、これらが両立できないことに問題があると言えます。
また、不人気の職業の中には薄給激務と言われるように、心身ともに負担が大きいにも関わらず、それに見合うような給与を得られないことが理由となっている場合もあります。
心身への負担を減らすためのアプローチを取る必要があるのも当然ですが、いま現在そうした仕事をしている人を離さないということ、これから働きたいと思わせる魅力にも繋がることから賃金の面でのアプローチは有効となるでしょう。
一つの問題の解決を図るのに、その問題だけを見すぎていると根本的な解決とは言えない状態になったり、働く人のためを思ったことがかえって働く人を別の面で苦しめることに繋がったりする可能性があります。
いくつかの関係する理由を考慮し、並行してアプローチすることが重要となるでしょう。
まとめ
多くの企業がワークライフバランスを重視する傾向にあり、心身ともに健康であることを働く人自身も求めています。しかし、生活のために多少無理をしてでも働きたいと考えるような人も少なくありません。解決すべき問題には、さまざまな要因が絡み合っている事を理解し、多角的な視点から解決策を模索することで、より良い働き方、より良い生活へと繋がっていくでしょう。