神戸国際大付と滝川二に大型エース 今年の近畿は兵庫がアツい!
報徳学園(兵庫)が地元の大声援を受け、センバツで準優勝した。社は初戦で敗れたが、昨秋から、今世代の近畿は兵庫のレベルが高いと評判だった。結果的に2校がセンバツに選ばれたが、戦力的に勝るとも劣らないと言われるチームもあり、夏の代表争いは近年まれに見る大激戦となりそうだ。
神戸国際大付は巨漢の2年生エース
高校野球関係者の間で、センバツに出ていれば「間違いなく優勝候補に挙がる」と言われていたのが神戸国際大付だ。何と言っても安定感抜群のエース・津嘉山憲志郎(2年=タイトル写真)の存在が大きい。秋の段階でのサイズは178センチ95キロだが、実際には100キロを超えているようにも見える。最速148キロとされるが、印象としては変化球も含めた制球力が群を抜く技巧派で、好不調の波が小さい。昨秋は近畿大会初戦で大阪桐蔭と当たり、初回の満塁弾で沈んだが、6回で3安打しか許さなかった。それよりも驚いたのは、入学早々の昨夏の投球だった。
1年夏の兵庫決勝で21人連続アウト
昨夏の兵庫大会決勝は社との延長タイブレークの死闘になったが、6回から救援した津嘉山は、先頭打者に四球を与えたあと、12回まで21人連続アウトという離れ業をやってのけた。淡々としたマウンドさばきと落ち着きは、とても下級生とは思えず、青木尚龍監督(58)からは「もっと感情を出してもいいんやぞ」と言われるほどだ。沖縄出身らしく、良くも悪くも穏やかでおっとりしているのだろう。津嘉山以外にも、長身本格派の中村和史(3年)、打線でも中軸を担う高松成毅(3年)ら投手陣は県下一を誇る。
滝川二の坂井は全国トップクラス
右腕では全国トップクラスと言われるのが滝川二の最速149キロ右腕・坂井陽翔(3年)だ。186センチ、81キロとサイズも申し分ない。入学後2年足らずで球速が20キロもアップし、今後の活躍次第では、秋のドラフトを騒がせる存在にもなりうる。昨秋は報徳に敗れて近畿大会出場を逃したが、センバツ後のU18候補選手の合宿にも呼ばれ、剛球を披露して全国の猛者たちを驚かせた。チームは4月に龍谷大平安(京都)OBの服部大輔監督(36)が就任したばかりで、活気にあふれている。投手出身の服部監督の指導を受けて、さらなる成長も期待できそうだ。
岡田監督の東洋大姫路にも注目
昨年の今ごろ、大きな話題となったのが履正社(大阪)で夏の全国制覇を果たした岡田龍生氏(61)の東洋大姫路監督就任だった。最初の夏は4回戦敗退。新チームとなった秋は県大会2回戦で明石商に敗れた。いずれも打線の得点力不足が明らかな試合内容で、履正社時代の豪快な打撃からはほど遠い。専用グラウンドそばには豪華なトレーニング施設も完成し、選手の体力強化を図る岡田監督の指導方針は変わらない。エース左腕の内海誠揮(3年)が計算できるだけに、攻撃陣が地道に鍛えた冬期の成果を発揮したい。
エースの復調が待たれる報徳
受けて立つセンバツ組も黙ってはいない。報徳は打線の頑張りで準優勝まで駆け上がったが、看板の投手陣は明暗が分かれた。エース・盛田智矢(3年)は制球に苦しみ、大事な場面を任せられなかった一方、2年生の間木歩、今朝丸裕喜が大きく成長し、頼もしかった。チームとしては、仙台育英(宮城)、大阪桐蔭を連破した自信が大きく、勝負所で力を発揮できるのが強み。それでも最後の夏は、やはり上級生に懸かっている。そのためにも、盛田の復調は欠かせない。
社の捲土重来を期待
昨夏に続く甲子園となった社は、投打の歯車がかみ合わず、初戦で海星(長崎)に完敗した。最速141キロのエース・高橋大和(3年)は持ち味の緩急を駆使して奮闘したが、海星の攻撃を止められず、8回5失点と、苦しい投球に終始した。さらなるレベルアップが待たれる。ただ、最終回に救援した左腕の年綱皓(3年)が好投し、自信をつけたのは収穫で、前チームのような二枚看板になれば、春夏連続出場も夢ではない。打線も、秋の天理(奈良)戦で見せたような集中打があるはず。センバツでの敗戦を糧に、捲土重来を期待したい。
篠山産には名将が監督就任
兵庫はトップクラスの強豪を追うチームも多士済々で、好投手を擁するチームが目立つのも例年と変わらない。15日に開幕する春季大会では、夏のシード権を懸けた熱い戦いが繰り広げられそうだ。神戸国際大付のブロックは激戦で、東洋大姫路のほか、二人の大型右腕がいる須磨翔風や、神村学園(鹿児島)、創志学園(岡山)を何度も甲子園へ導いた長澤宏行監督(69)率いる篠山(ささやま)産などの公立有力校が入った。市西宮出身の長澤監督が、地元・兵庫でどんな采配を見せるか、注目している。
兵庫の夏は激戦必至
以前、兵庫の高校野球は近畿で最も足と小技を使い、投手中心の守備型チームが多いと分析したことがある。それが災いしてか、近畿では近年、打力のあるチームに力負けすることが多かったが、今年は報徳を筆頭に打てるチームも少なくない。いつも以上に夏の代表争いが激化することは必至だ。