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まもなく沖縄・奄美で梅雨入りか ひょっとしたら九州南部も

饒村曜気象予報士
西日本をうかがう東シナ海の雲(5月4日7時)

雨の「こどもの日」

 令和3年(2021年)5月4日(みどりの日)は、日本の南海上を通過している大きな移動性高気圧の影響で全国的に晴れるところが多くなっています。

 昨日までのゴールデンウィークは、上空の寒気の影響で大気が不安定だったのですが、みどりの日は、連休中で一番の安定した晴天になりそうです。

 しかし、東シナ海で発生した前線を伴った低気圧の影響で、西日本では夕方頃から雲が多くなり、九州や中国地方では夜には雨の降り出すところがありそうです(図1)。

図1 予想天気図(5月4日21時の予想)
図1 予想天気図(5月4日21時の予想)

 このため、5月5日の「こどもの日」は、全国的に雨のところが多くなりそうです。

 これまで、高気圧と低気圧が交互に日本列島を通過するという、春に多い天気変化で、この低気圧の通過後も高気圧がやってきます。

 しかし、高気圧の位置が、やや北寄りで、日本列島の南海上には前線が停滞しそうです。

 このため、沖縄地方や鹿児島県奄美地方は、まもなく(早ければ5月5日にも)梅雨入りしそうです。

【追記(5月5日12時)】

 気象庁は、5月5日11時に沖縄地方と鹿児島県奄美地方で梅雨入りしたと発表しました。いずれも平年より早い梅雨入りです。

梅雨入りの平年日の変更

 気象庁では、その時々の気象や天候を評価する基準として平年値を発表しています。

 これは、西暦年の1の位が1の年から続く30年間の平均値で、10年ごとに更新しています。

 令和3年(2021年)5月19日から、平成3年(1991年)から令和2年(2020年)までの30年平均が使われますが、現在は昭和56年(1981年)から平成22年(2010年)までの30年平均が使われています。

 ただ、梅雨入り・梅雨明けの平年値については、平年値を切り替える5月19日以前に梅雨入りする地方がでる可能性もあることから、先行して切り替えています。

 梅雨がないとされる北海道を除くと、各地の梅雨入り・梅雨明けの新平年値は、現平年値と比べて、表のような差があります。

表 梅雨入り・梅雨明けの平年値
表 梅雨入り・梅雨明けの平年値

 梅雨入りは、沖縄地方と奄美地方、及び、東北北部地方では、1日遅くなっていますが、九州南部地方など、多くの地方では早まっています。

 つまり、日本で梅雨が一番早い九州・沖縄地方と、それ以外で一番早い九州南部地方の差が小さくなっています。

 この新平年値によると、全国で一番早い梅雨入りは沖縄地方で5月10日、これより2日遅れた12日が鹿児島県奄美地方の梅雨入りです。

 平均すれば沖縄地方は奄美地方より梅雨入りが早いということができますが、年によっては、奄美地方が沖縄地方より早く梅雨入りすることがあります。

 ただ、近年は少し違います。

 20世紀後半(1951年から2000年)の50年間の梅雨入りと、21世紀になってからの20年間の奄美地方と沖縄地方の梅雨入りを比べると、興味ある傾向がみられます(図2)。

図2 沖縄での梅雨入り日と奄美での梅雨入り日の差(20世紀後半と21世紀)
図2 沖縄での梅雨入り日と奄美での梅雨入り日の差(20世紀後半と21世紀)

 つまり、21世紀は20世紀後半に比べ、「同じ日に梅雨入り」と「1~4日奄美のほうが早く梅雨入り」という年が増えており、「沖縄が5日以上奄美より早く梅雨入り」という年が減っているのです。

 この理由はよくわかりませんが、沖縄地方の梅雨が変わってきた可能性があります。

 直近の10年間では、同日の梅雨入りが6年、奄美地方が早かったのは3年ですが、沖縄地方が早かったのは、昨年、令和2年(2020年)の1回だけです。

 今から10年後、令和13年(2031年)から使われる予定の次期の平年値では、沖縄地方と奄美地方の平年値は逆転しているかもしれません。

沖縄地方・奄美地方の梅雨入り

 沖縄地方の梅雨入りが早かったのは、昭和55年(1980年)の4月20日で、旧平年値の5月9日前(新平年値の5月10日前)のゴールデンウィーク頃の梅雨入りは珍しくありません(図3)。

図3 沖縄地方の梅雨入り
図3 沖縄地方の梅雨入り

 奄美地方も同じです。

 ウェザーマップが発表した16日先までの天気予報によれば、沖縄地方・奄美地方では、5月5日のこどもの日以降、雨には曇りや雨の天気が続きます(図4)。

図4 沖縄県那覇(上)と鹿児島県奄美大島・名瀬(下)の16日先までの予報
図4 沖縄県那覇(上)と鹿児島県奄美大島・名瀬(下)の16日先までの予報

 まだ、天気予報には不確実性が高いのですが、名瀬の方が、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性が高い曇り)が多いので、白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が多い那覇より先に梅雨入りするかもしれません。

 いずれにしても、沖縄地方も、奄美地方も、まもなく梅雨入りです。

九州南部の梅雨入り

 奄美地方から新平年値では18日遅れ(旧平年値では20日遅れ)て九州南部が梅雨入りということになります(図5)。

図5 九州南部地方の梅雨入り
図5 九州南部地方の梅雨入り

 ただ、九州南部で梅雨入りが一番早かったのは、沖縄の平年の梅雨入りより早い5月1日です。

 昭和31年(1956年)のことですが、この年は、沖縄地方が4月28日、奄美地方が4月30日と、梅雨入りが異常に早い年でした。

 ウェザーマップの鹿児島の16日先までの天気予報では、5月11日以降、9日間連続で傘マークです(図6)。

図6 鹿児島の16日先までの天気予報
図6 鹿児島の16日先までの天気予報

 まだ不確実性が高い予報ですが、この予報が変わらなければ、九州南部での梅雨入りは、平年よりかなり早い5月中旬になるかもしれません。

 梅雨入り近しです。

 ゴールデンウィーク後半の晴天は、家族そろって梅雨対策を考えてみませんか。

タイトル画像、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図5、表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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