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強風で看板倒れ、多数の死傷者 インド・ムンバイ

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
強風で倒れ、ガソリンスタンドの上に横倒しになった巨大な看板(13日ムンバイ)(写真:ロイター/アフロ)

インド最大の経済都市であり、ボリウッド映画発祥地の「夢の街」として知られるムンバイに13日(月)、悲劇が襲いました。強風で巨大な看板が倒れ、14人が死亡、70人超が負傷する大惨事となったのです。

その時の映像が下の動画に収められています。超大型の看板が強風によりそのまま倒れ、ガソリンスタンドを直撃しました。証言によると、突然風雨が強まったため人々がガソリンスタンドに逃げ込んだあと、看板が倒れてきたそうです。閉じ込められた人たちの中には、女性や子供がたくさんいたといいます。

違法の可能性

初めてこのニュースを耳にしたとき、看板が倒れたにしては被害が大きすぎると感じました。ところがその看板の大きさ、そして厚みを見て、愕然としました。

実際どれほど大きいのでしょうか。India Todayによれば、縦、横それぞれの長さは35メートル以上もあり、面積は1,500平方メートルに達するそうです。これはバスケットボールのコートの2倍、テニスコートだと6倍もの大きさに匹敵します。推定される重さは250トンとのことです。

『リンカ・レコード・ブック』という、インド人が持つ世界記録をまとめた本があるのですが、その本にも最大の看板として載っているようです。

しかしながらこの看板は、違法に立てられた可能性があるようです。立てていい大きさは、縦横それぞれ12メートルまでなのだそうですが、この看板はその3倍もあります。そのうえ、看板がよく見えるようにと、周辺の8本の木に薬を撒いて枯らしたという疑いで、自治体が調べていたそうです。

また元議員の話によれば、この看板が立てられた場所は、過去に道路の陥没事故も発生したような湿地帯なのだそうです。看板の基礎部分がどれほど深くまで埋まっていたのかについても疑問の声が上がっています。

モンスーンと落雷被害

インドではまだ雨季が始まっていませんが、6月以降、本格的なモンスーンに突入すると、災害の危険がさらに高まります。特にインドは落雷の被害も大きく、雷に打たれて亡くなる人の数は過去50年間で10万人、年平均で2,500人にも上ります。比較までに、日本はおよそ10人です。

被害が多いのは雷も多いからなのですが、その数、年間1800万回も起こるというデータもあります。しかも近年は雷の回数が急増しているそうです。カリフォルニア大学バークレー校の研究によれば、平均気温が摂氏1度上昇するごとに、雷の発生数は12%増加する可能性があるといいます。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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