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ヴィッセル神戸。順位は回復したけれど、「バルサ化」はどこへ行った?

杉山茂樹スポーツライター
川崎Fに勝利した神戸(写真:築田 純/アフロスポーツ)

 最近5試合で4勝。今週末に行われた直近の試合でもJリーグ3連覇を狙う川崎フロンターレに快勝した。15節にトルステン・フィンクを監督に迎えた神戸。一時は、降格圏近くを彷徨っていたが、気がつけばジワジワと順位を上げ、9位にまで回復してきている。降格の心配はほぼなくなった。めでたしめでたしと言いたいところだが、あえて一言いわせてもらいたいことがある。

 バルサ化はどこへ行ってしまったのか。その旗はすでに降ろしたのか。フィンク監督が実践しているサッカーにバルセロナの匂いはするかと言えばノーだ。アンドレス・イニエスタはいる。ダビド・ビジャも頑張っている。セルジ・サンペールも元バルサ。カンテラ出身だ。バルサ経験者は確かに存在する。ボール支配率においても川崎に対して54対46の関係で勝っていた。そうした意味では川崎よりバルサ的だったと言えるのかもしれない。しかし、それはあくまでも昨季より弱体化した川崎との比較に過ぎない。神戸そのもののバルサ度は、フアン・マヌエル・リージョが監督の座に就いていたシーズン当初の方が遙かに高かった。

 違いがハッキリと見て取れるのは布陣だ。4-3-3や4-2-3-1を中心に戦っていたそれまでからフィンク監督が布陣を大きくいじったのは22節の大分戦(8月10日)だった。

 その時、神戸は相変わらず低迷していた。フィンクが監督に就任しても流れを変えられずにいた。順位は15位。J2降格プレーオフを戦うことになる16位は直ぐ後ろに迫っていた。そのタイミングで布陣を3-3-2-2に変更した。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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