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締め切りまで2日、大谷翔平にかかる日本人4人目のメジャー球宴ファン投票選出。過去3人の顔ぶれは……

菊田康彦フリーランスライター
大谷(右)は球宴ファン投票の1次ラウンドでは、DH部門でダントツの1位(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2年ぶりに開催されるメジャーリーグのオールスターゲームに先発出場する選手を選ぶ、ファン投票の締め切りまであと2日。現在は1次ラウンドで両リーグの各ポジション上位3人(外野手は上位9人、投手は対象外)に入った選手を対象に、2次ラウンドの投票が行われているが、注目は今季、開幕から投打の二刀流を続け、ここまで両リーグ最多タイの26本塁打を放っているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平(26歳)だろう。

 大谷は6月27日(日本時間6月28日)に結果が発表されたファン投票の1次ラウンドでは、196万1511票を獲得してアメリカン・リーグ指名打者(DH)部門でダントツの1位。現在行われている2次ラウンドでもDH部門で1位になれば、7月13日(日本時間7月14日)にコロラド・ロッキーズの本拠地、クアーズ・フィールドで開催されるオールスターゲームに先発メンバーとして出場することになる。

イチローは3年連続最多得票含む9回のファン投票選出

 投手はファン投票の対象にはならないメジャーリーグにあって、ファン投票でオールスターに選ばれた日本人選手はこれまでに3人いる。第1号は日本人では初めてポスティング制度を利用し、2001年にオリックス・ブルーウェーブ(現バファローズ)からシアトル・マリナーズに移籍したイチローである。

 オリックスで7年連続首位打者に輝いた和製安打製造機は、メジャー1年目の前半戦から打率.345、28盗塁の好成績をマーク。バットとスピード、さらに守りでも本場のファンを魅了し、ファン投票では両リーグ最多の337万3035票でトップ当選を果たした。

 さらに2003年まで3年連続で両リーグ最多得票を続けると、その後も2004、2006~2010年と、実に計9回のファン投票選出(2005年は選手間投票で選出)。サンフランシスコで開催された2007年のオールスターでは、球宴史上初のランニングホームランを打つなど、日本人初のMVPにも輝いている。ちなみに外野手部門でのファン投票選出9回は、メジャーリーグ史上でも5位タイの記録だ。

松井秀喜、福留孝介もメジャー1年目にファン投票で“当選”

 このイチローに続いたのが、FAで読売ジャイアンツからニューヨーク・ヤンキースに移籍した松井秀喜。メジャー1年目の2003年、序盤はなかなか調子が上がらず「ゴロキング」などと揶揄されながらも、6月に打率.394、6本塁打、29打点と爆発し、ファン投票では130万1118票を獲得して外野手部門3位で選出された。

 年に1試合しか開催されないメジャーリーグのオールスターでは、原則としてファン投票で選出された野手が先発出場する。シカゴ・ホワイトソックスの本拠地、USセルラー・フィールド(現ギャランティードレイト・フィールド)で行われたこの年の球宴は、ア・リーグの1番にライトのイチロー、7番にセンターの松井と、史上初めて2人の日本人選手がラインナップに名を連ねる、歴史的な試合になった。

 なお、翌2004年のファン投票ではそのイチローと松井がア・リーグ外野手部門3位の座を激しく争い、3万6000票あまりの差でイチローが当選。松井は出場選手最後の1枠を決めるインターネット投票「ファイナル・ボート」の候補5選手にノミネートされ、そこで最多票を集めて“滑り込み”で2年連続のオールスター出場を決めている。

 2008年には中日ドラゴンズからFAとなり、シカゴ・カブスのユニフォームに袖を通した福留孝介が、ナショナル・リーグの外野手部門でファン投票選出。開幕のミルウォーキー・ブルワーズ戦では土壇場の9回に同点3ランを放って地元ファンを狂喜させた福留は、初のオールスターでナ・リーグの八番・センターに名を連ねたが、2打数ノーヒット。イチロー、松井に続く球宴初出場・初安打とはならなかった。

投手では日本人初のメジャー球宴出場の野茂英雄が先発

 なお、この3人以外にも、メジャーリーグのオールスターゲームに先発出場した選手がいる。1995年に海を渡り、日本人選手としては初めてメジャーの球宴メンバーに選ばれたロサンゼルス・ドジャースの野茂英雄である。

 前述のとおりメジャーのオールスターでは投手はファン投票の対象外であり、当時はすべて監督推薦による選出。先発投手もリーグの監督が決めることになっていて、ナ・リーグを率いるモントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)のフェリペ・アルー監督は、前年まで3年連続サイ・ヤング賞のアトランタ・ブレーブスのエース、グレッグ・マダックスを起用するものと見られていた。

 ところが、そのマダックスが前半戦最後の登板で完封勝利を挙げた直後に故障。代わりにナ・リーグの先発に抜擢されたのが、前半戦で6勝1敗、防御率1.99の快投を見せ「ノモ・マニア」と呼ばれるブームを巻き起こしていた野茂だった。まだ日本人にとってメジャーのオールスターが夢舞台だった時代に、真っ向勝負で3つの三振を奪ったそのピッチングは、今も多くのファンの脳裏に刻まれているはずだ。

 現在行われているファン投票の2次ラウンドは、7月1日午後2時(日本時間7月2日午前3時)に終了。その7時間後には、ファン投票による出場メンバーが発表される。既に大谷はオールスター前日に開催されるホームランダービーへの出場が決まっているが、日本人4人目の球宴ファン投票選出の吉報は届くだろうか?

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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