日本人メジャーリーガー初の本塁打王を狙う大谷が近づく『もう一つの』日本人初タイトル
2位に8本差の36ホームランで、アメリカン・リーグのホームラン王争いを独走する大谷翔平。日本人初となるMLBでのホームラン・キングのタイトル獲得に向けて、順調に歩んでいる。
46本塁打を放った2021年には、ブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(トロント・ブルージェイズ)とサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)に2本差で惜しくも本塁打王を逃したが、今季は大谷を脅かすようなライバルは見当たらない。
MLB公式サイトは、現地7月25日(日本時間26日)に『大谷、62本塁打の可能性を探る』との特集記事を掲載。昨季にアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)が61年ぶりに塗り替えたアメリカン・リーグ記録の62本塁打に並ぶ可能性を検証している。
日本人初となるホームラン王誕生ばかりに注目が集まるが、実は大谷はもう一つの日本人メジャーリーガー初となるタイトル獲得にも近づいている。
それは、あの安打製造機イチローでも手にできなかった出塁率王だ。
現地7月24日終了時点でのメジャーリーグ全体の出塁率は上の表のようになっており、出塁率.398の大谷はメジャー7位にランクインしている。
しかし、.427でトップのルイス・アラエス(マイアミ・マーリンズ)を筆頭にトップ5までの選手は全員がナショナル・リーグに所属しており、アメリカン・リーグでトップなのは.401のヤンディ・ディアス(タンパベイ・レイズ)。大谷はリーグ2位に位置しており、先頭を入るディアスとの差は.003しか離れていない。
意外にも首位打者のタイトルを2度も獲得しているイチローでも出塁率王のタイトルは手にしたことがなく、日本人メジャーリーガーで出塁率がリーグ1位になった選手はまだ誕生していない。
出塁率4割の壁も非常に高く、日本人選手でこの壁を超えたのは2004年のイチローの1度だけ。2004年のイチローと言えば、メジャー記録となる年間262安打を放ち、打率.372で自身2度目となる首位打者に輝いたが、そのときの出塁率は.414だった。
イチローの出塁率が2番目に高かったのは、打率.351だった2007年に記録した.396。今季の大谷は打率.302ながら、出塁率は.398で2007年のイチローを上回っている。
今後も投手から勝負を避けられ、四球で歩かされる場面は多くなるはずで、出塁率は上がっていくはずだ。
大谷が出塁率王を取るためのライバルは現在リーグ1位のディアスよりも、現時点では規定打席不足のためにランク外にいるコーリー・シーガー(テキサス・レンジャース)。シーガーの出塁率は.413と大谷より1分以上も高い。
しかし、大谷にとってシーガー以上の強敵は、トレードでナショナル・リーグのチームにトレードされること。もしも、大谷がナ・リーグのチームに移籍すると、日本人初となる出塁率王だけでなく、ほぼ確実視されている日本人初の本塁打王のタイトルも逃すことになってしまう。