モドリッチ問題。マドリーのクラブ方針と経験豊富なクラックの去り際。
スーパーゴールを沈めて、チームの勝利に貢献した。
リーガエスパニョーラ第26節、レアル・マドリーは本拠地サンティアゴ・ベルナベウにセビージャを迎えた。膠着状態が続いた試合は、終盤にルカ・モドリッチがゴラッソを決めてマドリーが制している。
「モドリッチは素晴らしい選手だ。誰もが僕たちの年齢に焦点を当てようとする。しかし、彼は高いレベルでプレーできることを示し続けている」
これはセルヒオ・ラモスの言葉だ。
■キャリアの終盤とクラブ方針
モドリッチは現在、38歳だ。今年9月には、39歳を迎える。
マドリーは2021年以降、モドリッチと毎年、契約延長を行ってきた。30歳を超えた選手とは単年契約を締結するというクラブの基本方針があるためだ。
2021−22シーズン、マドリーがデシモ・クアルタ(クラブ史上14度目のチャンピオンズリーグ制覇)を達成し、それに非常に貢献した直後でさえ、単年契約を結ぶに留まっていた。
そう、モドリッチは今季終了時にマドリー との契約が満了する。
「テクニカルなテーマで、私はそこに介入しないつもりだ」とはカルロ・アンチェロッティ監督の弁だ。
「今後数ヶ月で、モドリッチとクラブは問題解決を試みるだろう。モドリッチ次第だ。彼とは、1ヶ月前に話をした。我々の間では、全てがクリアになっている」
■盤石の中盤と「CMK」
2015−16シーズン、2016ー17シーズン、2017−18シーズン、マドリーはチャンピオンズリーグで3連覇を達成した。
そのジダン・マドリーで、チームの中心を担ったのがカゼミロ、モドリッチ、トニ・クロースである。「CMK」の愛称で親しまれた3選手は、不動の存在として中盤に君臨していた。
だが2022年夏を境に、変化が生じた。
カゼミロは、移籍金固定額7000万ユーロ(約112億円)でマンチェスター・ユナイテッドに移籍。モドリッチとクロースに関しても、プレータイムを保証されない旨がアンチェロッティ監督から伝えられた。
■世代交代の流れ
マドリーは近年、世代交代を推し進めている。
エドゥアルド・カマヴィンガ(現在21歳/2021年夏加入)、オウレリアン・チュアメニ(24歳/2022年夏加入)、ジュード・ベリンガム(20歳/2023年夏加入)と若い選手を積極的に獲得してきた。
また今季、アンチェロッティ監督は戦術変更とシステムチェンジを断行した。シーズン序盤、【4−3―3】から【4−4−2】にして、中盤ダイヤモンド型のシステムで、ベリンガムをトップ下に組み込んだ。
カリム・ベンゼマの退団を受けて、アンチェロッティ監督は新たな得点パターンを確立しなければいけなかった。
そこで期待したのはベリンガムの得点力だった。そして、そのベリンガムを生かすため、あるいは彼の守備負担を軽減するため、中盤には自ずとフィジカルベースの高いヤングプレーヤーが重宝されるようになった。フェデリコ・バルベルデ、カマヴィンガ、チュアメニといった選手たちだ。
■クロースとの類似性と相違性
今季、クロースがレギュラーポジションを再奪取した一方で、モドリッチは苦しんだ。
クロースは現在、34歳だ。モドリッチと一括りにされがちだが、彼らには4歳の年齢差がある。それは、この年齢になってくると、大きいものだ。
加えて、アンチェロッティ監督はクロースのビルドアップ能力を再評価した。「左落ち」して、後方からボールを配球するクロースの能力が、チームに必要になった。GKティボ・クルトワ、エデル・ミリトン、ダビド・アラバと守備陣に負傷者が続出する状況で、クロースの必要性は増していった。
モドリッチのプレータイムは、2022−23シーズン(57%)、2023−24シーズン(43%)と減ってきている。
「クラブから残留を望まれていた。僕も同じ気持ちだった。僕が提示した条件は、過去のキャリアに関係なく、自分を競争的な選手として扱って欲しいというものだった。僕に対する評価は変わらないと言われた。だから、この夏、レアル・マドリーとの契約にサインしたんだ」とモドリッチは地元メディアに語っている。
クリスティアーノ・ロナウド(2018年夏)、セルヒオ・ラモス(2021年夏)、ベンゼマ(2023年夏)とこの数年で偉大な選手たちがクラブを去っている。
もう少し遡れば、イケル・カシージャス、ラウール・ゴンサレスといったカンテラーノでさえ、マドリーでの引退はかなわなかった。フットボール近代史において、マドリディスタに最も愛される選手の一人になったモドリッチの最後の決断に、注目が集まる。