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東京都台東区/谷中の築100年リノベ古民家で「東京ビエンナーレ2023」展示開催中!会期11/5まで

デヤブロウ街歩きWebライター(東京都台東区)

 台東区谷中を拠点に活動する組織「未来定番研究所」の古民家オフィスで現在、一風変わった展示が開催されています。
 2年に一度開催される国際芸術祭「東京ビエンナーレ2023」の展示として、通常非公開であるオフィスの一部を展示スペースに開放中。古民家の生活感や手触りを肌で感じつつ、谷中地域の歴史や文化に触れる貴重な体験ができます。11月5日までの期間限定なので、谷中散歩の折に覗いてみては如何でしょうか。

◆東京ビエンナーレとは?その特色と今回のテーマ

 「東京ビエンナーレ」は東京都内を舞台にした隔年開催の国際芸術祭。多くの作家やクリエイターが、地域住民と協力して展示内容を作成するのが最大の特徴かつ魅力です。

 2023年のテーマは「リンケージ つながりをつくる」。台東区や千代田区など23区北側~都心部を中心として、私たちの日常に溢れるさまざまな繋がりに焦点を当てています。

 その中で今回、後述の谷中・未来定番研究所オフィスを用いて設置されたのが「谷中インフォメーションセンター」。こちらではイベント情報のPR拠点と展示ギャラリーを兼ねており、そのテーマは「まちが教えてくれるまち ラーニング谷中」となっています。

◆歴史と現代が交錯する未来定番研究所の空間

 未来定番研究所は、2017年3月に設立された株式会社大丸松坂屋百貨店の創造型マーケティング組織で、5年先の未来に定番となるモノやコトのタネを発見し、育てる活動を行っています。

 現在のオフィスである谷中の古民家は、その歴史なんと築約100年!かつては銅細工職人の「銅菊」という屋号で知られていました。

 1階の土間には、銅細工製作の工房で実際に使用されていた工具類が壁にも床にもズラリ。土間自体も一部のリノベーション部分を除き、実際に工房として使用されていた頃の姿をそのまま留めています。

 いずれも深い年季と経歴を感じさせる質感で、この道具類が谷中地域の人々と歩んだ長い歴史を感じさせます。

 土間の床下には太平洋戦争中の防空壕もあります。戦後、この住居に家族が住んでいた頃は、子供用のかくれんぼスペースになっていたそうです。
 この古民家は、谷中でも東京大空襲などの被害を奇跡的に免れた一帯に位置しています。そのため、この防空壕が戦禍の備えとして役立つ機会は無かったのかも知れませんが、それが時代を経て平和な遊び場に転用されたことは、むしろ幸いなことだったのかも知れません。

◆谷中地域が100年で築いた「リンケージ」を感じさせる展示

 靴を脱いで土間を抜けると、縁側と和室が広がります。

 このスペースでは、谷中の地域史について分かる書籍の展示や、谷中の歴史や人々に関するVTRのディスプレイ上映もあります。

 ちゃぶ台に広げられた手書きの地図は、訪問者が付箋で谷中のオススメスポット情報を追加していける仕組み

 美味しいカフェや飲食店の情報を可愛らしいイラスト付きで貼られた方もいて、谷中コミュニティの奥深さを感じさせます。

 窓はごらんの通り広々。畳に腰を降ろして外に目を向けると、室内に差し込む柔らかな外光と、そよぐ木々の緑が心を優しく撫でてくれます。100年前から続く歴史が培った、こうした景色を見つめて精神をクリアにしてこそ、100年後よりも先までの未来を見据えるヒントが浮かんでくることもありそうです。

 入口近くには「東京ビエンナーレ2023」の物販や広報ブースも設置あり。ここを起点として他地点の展示もチェックする良い機会です。

 今回「谷中インフォメーションセンター」となっている未来定番研究所のオフィスは、通常非公開。貴重な機会なので、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

東京ビエンナーレ2023
【会期(秋)】
2023年9月23日(土)〜同11月5日(日)
【会場】
東京都心東北エリア(千代田区・中央区・文京区・台東区)
※台東区の谷中・上野を含む都内5箇所にインフォメーションセンターを設置
【リンク】
ホームページ
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Instagram

谷中インフォメーションセンター/作品展示「まちが教えてくれるまち:ラーニング谷中」
【開場期間】
2023年9月23日(土)〜同11月5日(日)
【会場】
未来定番研究所
【住所】
東京都台東区谷中5−9−21
【最寄駅】
JR日暮里駅西口から徒歩4分
【開場時間】
11:00〜16:00
※「東京ビエンナーレ2023」会期中のみ開放(通常非公開)
【定休日】
開場期間中の火曜日

街歩きWebライター(東京都台東区)

カフェ・居酒屋探し、博物館・美術館見学、銭湯巡りや寺社探訪など、都心部の街歩きが大好き!特に都内で暮らし始めた頃に住んでいた浅草近辺、博物館・美術館が沢山ある上野界隈など、台東区内を月に2~3回は散策しています。東京23区でも面積最小ながら、歴史と見所が詰まった台東区の魅力を積極的に発掘・発信していきます!

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