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ドジャースも遊撃手と二塁手のポジションを入れ替える。この配置転換がうまくいかなかった場合は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ムーキー・ベッツ(左)とギャビン・ラックス Jul 10, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスのハソン・キムザンダー・ボガーツは、昨年に続き、併殺デュオを形成する。ただ、それぞれのポジションは異なる。昨年は、キムが二塁、ボガーツは遊撃を守った。今年は、キムが遊撃、ボガーツは二塁だ。

 このポジション変更については、こちらで書いた。

「遊撃手と二塁手のポジションを入れ替え、鉄壁の守備陣に!? 一塁と三塁に外野の2人も、かつては遊撃手」

 ロサンゼルス・ドジャースも、二塁と遊撃の選手を入れ替える。今春、ムーキー・ベッツは二塁、ギャビン・ラックスは遊撃を守っていたが、3月8日の試合は、ベッツが「1番・遊撃」、ラックスは「8番・二塁」としてスターティング・ラインナップに並んだ。

 一時的なものではないらしい。ロサンゼルス・タイムズのジャック・ハリスらによると、デーブ・ロバーツ監督は、試合前に2人のポジション変更を発表し、「ここからもずっと、今のところは」と語ったという。

 その理由は、ラックスの守備、なかでも、送球にある。また、三塁を守るマックス・マンシーは、好守とは言い難い。内野の左半分がマンシーとラックスでは、不安が大きい。

 もっとも、ベッツの遊撃転向がうまくいくのかどうかは、わからない。遊撃のレギュラーとしてプレーしたのは、高校時代が最後。現在の年齢は31歳だ。

 ベッツは、2011年のドラフトでボストン・レッドソックスに5巡目・全体172位指名を受けた。2014年6月にメジャーデビューし、2020年2月のトレードにより、レッドソックスからドジャースへ移った。

 2013年までは、主に二塁手としてプレーし、2014年から外野も守り始めた。当時、レッドソックスの二塁は、ダスティン・ペドロイアの定位置だった。ちなみに、2014年から2022年まで、レッドソックスの遊撃は、ボガーツが守っていた。

 ベッツのメジャーリーグにおける先発出場は、ライトが916試合、センターが212試合、二塁が87試合、遊撃が12試合、DHは11試合だ。昨年は、ライトが77試合、二塁が62試合、遊撃は12試合。2022年までは、試合の途中から遊撃の守備についたこともなかった。

 ライトと二塁を行き来した――夏以降は二塁を守ることが増えた――昨年と違い、今年は二塁に定着する予定だった。昨年は、自己最多となる39本のホームランを打ち、5年ぶり2度目の出塁率.400以上を記録した。

 一方、26歳のラックスは、2016年のドラフト全体20位だ。ドジャースに指名され、2019年9月にメジャーデビューした。昨年は遊撃のレギュラーと目されていたが、2月下旬に右膝の靱帯を損傷し、全休となった。

 マイナーリーグでは遊撃出場が最も多かったものの、メジャーリーグの先発出場は、二塁出場が60%以上を占める。二塁が153試合、遊撃が50試合、レフトが34試合、センターが6試合、DHが2試合、三塁は1試合だ。

 2022年は主に二塁を守り、129試合で出塁率.346を記録し、三塁打はリーグ最多タイの7本を数えた。ホームランは6本ながら、パワーのポテンシャルは高く、2019年はAAとAAAの計113試合で26本のホームランを打っている。メジャーリーグの23試合を含めると、計136試合で28本塁打だ。

 ベッツが遊撃手としてうまくいかなかった場合、遊撃は、クリス・テイラーキーケー・ヘルナンデスミゲル・ロハスの併用となりそうだ。テイラーとキーケーは、ともに内外野を守り、そのレパートリーには遊撃も入っている。ロハスは、守備だけなら遊撃のレギュラーが務まる。昨年の先発出場は、遊撃が108試合と二塁が1試合だ。

 そうなると、ベッツはライトに戻り、ジェイソン・ヘイワードは控えに回るだろう。あるいは、ラックスがブレイクできずにいれば、ベッツが二塁を守ることも考えられる。

 さらに、夏のトレード市場で遊撃手を獲得する可能性も出てくる。パドレスが売り手として動くなら、キムがドジャースへ移ることもあり得なくはない。キムは、今年が4年2800万ドルの契約4年目(2025年は相互オプション)だ。同様に、ウィリー・アダメス(ミルウォーキー・ブルワーズ)も、候補になり得る。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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