テントのシームテープが剥がれる問題!工事用のコーキング材を使えばアイロン不要で耐候性・耐水性をアップ
テントのシームテープが剥がれ始めると、次第に他の場所からもシームテープが剥がれてきますよね。
これはシームテープが太陽の熱や縫い目から浸み込む水分で劣化し、何度も折り畳みを繰り返す内に粘着力が弱まってくるからです。
新しいテントならアイロンで再接着すれば一時的には直りますが、いずれ剥がれます。
最終的にはシームテープの総貼り替えをしなければならないのですが、これが大変な作業なのです。
そしてシームテープを貼り替えたとしてもテントの保存状態が悪ければ又剥がれます。
専用のシーム剤で修理する方法もありますが容量の割には価格が高い。
そこで、シーム剤として防水工事用に使われるコーキング材を塗れば、もうシームテープの貼り替えが不要になるのでは?という発想で実験してみました。
この記事ではシリコンシーラントを使ってシームをする方法と耐久性について検証してみました。
コーキング材
修理に使用するアイテムは以下の3点です。
・シリコンシーラント
・マスキングテープ
・ヘラ
シリコンシーラントは防水工事などで使われるコーキング材です。
最近はシリコン素材の価格が高騰していますが、ホームセンターに行けば比較的に安価で手に入れることが出来ます。
マスキングテープを貼る
まずは既存のシームテープの両サイドにマスキングテープを貼ります。
シームテープがマスキングテープに挟まれた状態です。
そして、シームテープだけを剥がします。
劣化したシームテープなら簡単に剥がれると思います。
コーキングを塗る
そして、マスキングテープを剥がした箇所にコーキング材を薄く塗っていきます。
作業する際は必ず換気の良い場所で行います。密閉空間では作業しないようにします。
ポイントとして糸の縫い目はヘラで擦り込むように塗り、マスキングテープの境目はコーキング材を削ぎ取るように薄く塗ります。
コーキング材は乾燥するのに時間がかかりますが、なるべく早く作業をしないとダマができることがあります。
マスキングテープを剥がす
コーキング材が乾燥したらマスキングテープを剥がします。
ここで以下の二通りの方法でマスキングテープを剥がしてみました。
①塗ってから5時間後
②塗ってすぐ
①塗ってから5時間後に剥がした場合はコーキング材の境目がマスキングテープに引っ張られて少し剥がれることがありました。
境目は薄く塗っているので綺麗な断面にならないようです。
②塗ってすぐ剥がした場合は、粘着力のあるコーキングが引っ張られて糸を引くことがあります。
でも境目は綺麗に仕上がります。
綺麗に仕上がる②の方法で剥がすのがおススメです。
なお、コーキング材が完全に乾くまで換気の良い場所で保管して下さい。
デメリットについて
今回の修理方法で気になったデメリットは以下の点です。
・完全に乾燥するまで使えない
・PUコートが剥がれる
・元には戻せない
・フライシートの重量が増える
まず、コーキング材はベタベタするので乾くまで動かせません。
乾燥する前に裏返したりすると他の場所にコーキング材が付着してしまいます。
パッケージには「5~7日でゴム状に硬化します」と記載されていますが、24時間経過すれば表面を触ってもコーキング材が付着することはありませんでした。
なので、作業する場合は何日かに分けてする必要があります。
そして、完全に乾燥するまではテントの使用は厳禁です。
次にマスキングテープの粘着性が強い、または裏面の防水加工が劣化しているとマスキングテープを剥がす際にPUコーティングも一緒に剥がれてしまうリスクがあります。
対策として弱粘着のマスキングテープを使うと防げるかも知れません。
そして、コーキング材を塗ると、もうシームテープでは接着不可能になります。
シリコーンゴムに粘着テープは貼れませんからね。
あと、コーキング材を極力薄く塗っても重量は確実にアップすると思います。
軽量化を目指す方ならシームテープで張り替えた方が良いでしょう。
防水性能
コーキング材でシームした箇所の防水性能を確かめてみました。
フライシートのシーム部分に1リットルの水を入れて放置してみました。
1時間後。
シームした箇所を裏から確かめてみると水漏れは全くありませんでした。
更に2時間後。
生地全体に微小な水滴がついていましたが、縫い目に水漏れはありません。
これは結露なのか生地自体が耐水圧に負けてしまったのか不明です。
ちなみにテントのフライシートは生地が薄く、耐水圧は1200mmです。
雨の日は、このくらい結露するのは当たり前なので問題ないレベルだと思います。
そして実際に雨の日に2日間、家の裏庭にテントを放置してみました。
激しい大雨が降りましたが、インナーテントに濡れた跡はありませんでした。
インナーテントは天井部分がメッシュになっているので、もしフライシートから雨漏れしたらメッシュを貫通して水滴が落ちてくるのですぐに分かります。
シームテープの水漏れに関しては問題なしという結論です。
耐久性能
その後、雨のキャンプを何度も経験して3年が経過しました。
最初はシリコンゴム特有のベタつきがあるのでテントフレームとの摩擦で剥がれてしまわないかと不安でしたが今のところ問題はありません。
3年経った現在でもコーキング材の粘着力は強く、剥がれる気配は全く無いですね。
シリコーン素材は紫外線に強く耐候性に優れているのでフライシートとの相性も良いのだと思います。
最後に
今回紹介したテントのメインテナンス法にはメリットとデメリットがあります。
まず、メリットは。
・シーム部分が剥がれない※3年検証
・耐水性・耐候性がアップする
・安価なコーキング材でも使える
・アイロンが不要
そして、デメリットは以下になります。
・失敗すると元には戻せない
・裏面の防水コートが剥がれる可能性
・シームテープが貼れなくなる
・フライシートの重量が増える
私はメリットの方がデメリットを上回ると実感しました。
その後の耐久性については更に検証を続けたいと思います。
シームテープの貼り替えを検討している方の参考になれば幸いです。